スペイン南部アンダルシア州にある古い城砦が「修復工事」により外観が大きく変わり、住民や歴史家から批判を浴びている。
問題となったのは同州カディス県ビラマルティン近郊の丘の上に建つ9世紀のアラブの城砦「マトレラ城」だ。
文化遺産保護団体「イスパニア・ノストラ」のカルロス・モレネス副会長は「塔は原形とも、中世の城ともまったく関係のない形になってしまった」「近代的な塔のようになり、地元の人々はショックを受け、怒っている」と述べた。
先ごろ完了した工事は、3年前に部分的に崩れた城の塔を補強するために行われた。厚さ3メートルの崩れかけた壁を保護し、元の形と大きさを復元する目的で、新しい素材が使われた。
地元テレビ局の報道では、近隣住民の評判はさんざんだ。「修復業者じゃなくて建設業者を呼んだんだろう」とある住民は述べた。
ソーシャルメディアでは、今回の修復工事を第2の「エクセ・ホモ」だと言う人も出てきた。2013年にスペインの教会で一般信者の手により「修復」されたキリストの肖像画で、原画とは似ても似つかない状態となり有名になった。
今回の工事に関わった設計士からはコメントを得られていない。
スペイン紙ABCによれば、この設計士は、残存部分を保全するとともに、できる限り元の塔と同じように見えるよう努めたと述べたという。また新旧の素材の違いは、オリジナルを模倣することを禁じた法律に従うためだったと主張しているという。
だがイスパニア・ノストラはこの説明に納得していない。「写真を見れば何も言わなくても分かる話だ」とイスパニア・ノストラは声明で述べた。