初代ローマ皇帝アウグストゥスの肖像画が刻まれた金貨が見つかった
発見者の同国北部に住むローリー・ライモンさん
イスラエル北部のガリラヤ地方でハイキングしていた女性が、草原に落ちていた2000年前の金貨を発見した。表面にはローマ皇帝の肖像画が刻まれており、ほかに1枚しか見つかっていない極めて希少な金貨だったことが分かった。
発見者は同国北部に住むローリー・ライモンさん。聖書の中でイエス・キリストが水の上を歩く奇跡を起こしたと記されている場所の近くをハイキング中に、光る物体を見付けて手に取った。
イスラエル考古学局の専門家が調べたところ、世界的にも珍しい金貨だったことが分かり、ライモンさんは同局に金貨を寄贈した。「手放すのは惜しかったけれど、近い将来、博物館に展示してもらえればと思う」と話す。
金貨に刻まれていたのは初代ローマ皇帝アウグストゥス(紀元前27~紀元14年)の肖像画だった。後のトラヤヌス帝が紀元107年に歴代の皇帝の肖像画を刻んだ在位記念金貨を発行した時のもので、死後にアウグストゥス帝が神格化されたことを示す「神アウグストゥス」の文字が入っていた。
ガリラヤ地方になぜこれほど貴重な金貨があったのかは不明。日常生活で使うには価値が高すぎることから、ローマ帝国に対して反乱を起こしたユダヤ人指導者バル・コクバを鎮圧するため同地に派遣されたローマ兵の給与の一部だった可能性もあると専門家は指摘する。
同地ではトラヤヌス帝が鋳造させた銅貨や銀貨はよく目にするが、金貨は極めて希少だという。
トラヤヌス帝が鋳造させたアウグストゥス帝の金貨はほかに1枚のみ見つかっており、大英博物館に収蔵されている。