シリア内戦の収束に向けて和平協議が再開
ロシアのプーチン大統領は14日、ロシア軍はシリアでの目的を果たしたとして、撤退するよう指示したことを明らかにした。
国営スプートニク通信によると、撤退は15日から始まる見通しだ。
プーチン氏は「国防省と軍全体に課された任務の目標は達成された。シリアからの軍撤退を明日始めるよう、国防相に命じる」と述べた。
ロシア大統領府によると、プーチン氏は撤退について、シリアのアサド大統領と電話で会談した。両首脳は、ロシア空軍がシリアのテロ組織に「相当な」打撃を与えて形勢を逆転させたとの見方で一致し、空軍主要部隊の撤退日程で合意した。ただ、ロシアは「停戦監視のため、シリアに航空援護拠点を維持する」という。
ロシア軍は昨年9月、アサド政権への支援として空爆を開始していた。
軍事アナリストらによると、アサド政権は当時危機に陥っていたが、ロシアの介入によって反体制派や過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」への反撃が可能となった。
シリア反体制派の主要組織「最高交渉委員会」の報道担当者はロシア軍撤退の発表を受け、「プーチン大統領の本心はだれにも分からないが、そもそもプーチン氏には我が国に介入する権利などない。とにかく出ていってほしい」と述べた。
シリア情勢をめぐっては、ジュネーブでの和平協議が14日に再開した。プーチン氏には、撤退表明を通してアサド氏らに政治的解決を促す圧力をかけ、政権存続を後押しする狙いがあるとの見方もある。