米国務省のケリー長官は17日、過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」がイラクとシリアで少数宗派ヤジディなどに対して行っている行為はジェノサイド(集団殺害)に該当するとの見解を示した。
国務省で記者会見したケリー長官は、「私の判断では(ISISが)支配地域でヤジディ、キリスト教徒、イスラム教シーア派に対するジェノサイドを行っている」と語った。
ケリー長官によると、ISISは2014年にヤジディを追い詰めて殺害し、何千人もの女性を奴隷として扱った。ヤジディが何世代にもわたって受け継いできた地は破壊された
キリスト教徒に対しては「信仰のみを理由に」処刑し、女性は奴隷にしたと述べ、「我々の介入がなければそうした人たちは虐殺されていた」と強調した。
米国がジェノサイドを宣言するのは、スーダン西部のダルフール地域での武力紛争を対象とした2004年以来。これに先立ち米下院は14日、ISISによるキリスト教徒の殺害をジェノサイドと断定する決議を全会一致で採択していた。国務省はこの用語を使うことに二の足を踏んでいた。
ジェノサイドと断定したことで、米国に特定の行動を起こす責任が生じるわけではない。しかしオバマ政権に対してISISに対する軍事行動強化の圧力がかかり、難民の受け入れ増加を求める声が強まることも予想される。