<台湾>旅客機が着陸失敗、47人死亡 台風通過天候不良か
台湾南西部にある澎湖(ほうこ)諸島の澎湖本島で23日午後7時(日本時間同8時)過ぎ、復興(トランスアジア)航空の旅客機(乗客54人、乗員4人)が着陸に失敗して墜落、炎上した。台湾当局によると、少なくとも47人が死亡し、11人が負傷した模様だ。台湾では23日未明に台風10号が通過しており、天候不良で、着陸に失敗した可能性がある。日本の対台湾窓口機関の交流協会高雄事務所によると、午後11時半現在、搭乗者名簿に日本人らしき名前はなく、日本人が乗っていたという情報も入っていないという。
同機は双発プロペラ機でフランスとイタリア合弁の航空機メーカーATR社のATR72。台湾南部・高雄から台湾本島の西約50キロの台湾海峡にある澎湖諸島の馬公空港に向かっていた。同日午後4時(日本時間同5時)の出発予定だったが、天候不良のため午後5時43分に出発した。地元メディアなどによると、午後7時6分、馬公空港に着陸を試みたがうまくいかず、再上昇を試みた際に空港付近の西渓村に突っ込んだとみられる。周辺民家にも被害が出ている模様だ。
台湾メディアは、飛行機がぶつかったとみられる屋根などが破壊された民家や、大破した機体とみられる残骸に放水する消防隊員らの姿を伝えている。住民らの話では事故当時、雨や風が強かったという。
復興航空は1951年、台湾初の民間航空会社として創立。現在は日本やタイとの間で国際線も運航している。同航空による過去の事故は2002年12月、台北発マカオ行きのATR72の貨物機が澎湖島南西の台湾海峡に墜落し、乗員2人が死亡した。
澎湖諸島は大小90の島からなる。美しい海と砂浜を持ち、「台湾のハワイ」とも呼ばれる。夏を中心に年間約80万人の観光客が訪れるが、日本人を含めた外国人は3%と少ない。軍事遺跡が数多く残る。
【産経新聞】
台湾の復興航空ATR72型プロペラ機が澎湖諸島・馬公空港付近に墜落した23日、台湾では台風10号が直撃したため、全土で企業や学校が休みとなっていた。同機が離陸した時間帯には、台風の中心部はまだ台湾海峡上にあったとみられ、運航を決めた同社の判断が問われそうだ。
復興航空機墜落の一報を受け、台湾メディアは現場や家族の状況を相次いで伝えた。テレビでは、澎湖県西溪村の墜落現場を住民が撮影した写真を放映。炎を背に、民家が黒く浮かび上がる様子が映し出された。
また、澎湖県の消防隊員らが放水する様子や、黒く焼け焦げた地面に散らばる機体の残骸から生存者を捜索する場面も報じられた。
報道では、死傷者の人数について情報が錯綜(さくそう)し、記者団が交通部民航局の担当者を取り囲む姿も。飛行場の復興航空のカウンター前では、遺族が床をたたいて泣き叫んでいた。
【時事通信】
台湾南西部の離島、澎湖島の馬公空港付近で23日午後7時(日本時間午後8時)ごろ、復興航空(トランスアジア航空)の旅客機が着陸に失敗して墜落、炎上した。台湾消防当局は乗客・乗員58人のうち、42人の遺体を確認、10人が負傷したと明らかにした。6人が依然不明となっており、48人が死亡した可能性が高い。交流協会台北事務所(大使館に相当)によると、日本人の乗客はいないという。
墜落したのは、南部の高雄発澎湖行きのATR72型のプロペラ機。事故当時、台風10号の影響で天候は荒れており、予定時刻を1時間40分遅れて高雄を出発した。現場上空でも着陸前に旋回を繰り返し、着陸しようとしたところ、付近の村に墜落して大破した。交通部が詳しい原因を調査しており、現場でブラックボックス1個を回収した。
台湾メディアによると、復興航空機が墜落した際、現場付近は大雨で、雨の中、巨大な音が響いた。同機は出火し、近くの住民が救助に向かおうとしたが、機体は火に包まれた。目撃者によれば、けが人は自分ではい出てきて、火の海から脱出したという。火は周辺の民家にも燃え移り、消防隊が懸命に消火・救助活動を続けた。