「恐るべき日本の女子高生!」=中国メディアがこぞって掲載する記事の中身とは?
中国の各メディアがこぞって掲載する記事がある。「日本の女子高生の言葉に世界が驚く」と題した記事だ。内容の真偽について確かめるすべはないが、この時期に中国メディアがなぜ一斉にこれを報じるのか、その理由について一考する価値はあるだろう。
日本の高校教師が歴史のテストで次のような問題を出した。「日本と中国は100年ごとに戦争をしている。19世紀には日清戦争、20世紀には日中戦争、では21世紀に中国との戦争があるとすれば、その時期はいつか?その原因はどこにあるのか?以下に述べよ」
ある女子高生の解答は、「もし中国との戦争が起こるとすれば、それは中国の台湾統一後。中国は台湾の高雄と基隆を封鎖し、台湾海峡は中国の領海内になる。すると日本の石油タンカーは迂回しなければならなくなり、石油輸送コストがふくらむ。ペルシャ湾からインド洋を通り、マラッカ海峡を抜けて南シナ海から台湾海峡、東シナ海と進む日本の石油タンカーにとって、この海上ルートは生命線といえる。中国が台湾海峡を封鎖すれば、日本はタンカーや輸送船の安全航行確保のために主力艦や駆逐艦を派遣。中国はこれに応じて武力衝突となる。2015年から2020年の間に日中開戦となる可能性は高い。今から日本は中国との戦いの準備をしておかねばならない」というものだった。
国慶節に台湾で本土客急増、香港デモ影響で
中国国家観光局によれば、国慶節連休中(1~7日)に台湾を訪れた中国本土客は7万4,792人に上り、前年同期比70%も増えた。うち個人旅行客は89%増の4万4,690人となり、全体をけん引した。ツアー客は50%増の3万人だった。一方、香港を訪れた本土客は6.8%増にとどまり、伸びが低迷。香港での大規模デモの影響を受け、旅行客が台湾に流れたとみられる。13日付サウスチャイナ・モーニングポストが伝えた。
中国民用航空局(CAAC)によれば、連休初日は台湾行きの航空便で座席の95%が埋まったもよう。
また、本土客の間では海外旅行が人気となっており、連休中は国際線1,200便以上を増便したという。
中央研究院、三角州国際連盟に加盟
中華民国台湾の最高学術研究機関、中央研究院が、「三角州国際連盟(Foundation Delta Alliance International)」に加わった。「三角州国際連盟」は2009年に創設された国際組織で、本部はオランダに置かれている。。知識主導型の国際ネットワーク組織で、世界各地の三角州の適応能力と復元能力を強化し、自然災害による損失を抑えると共に、持続可能な環境の構築を後押しすることを目的としている。現在の会員は世界で14。
中央研究院によると、気候変動に対する台湾の対応能力と、治水、防災能力を強化するため、中央研究院は同連盟に参加、中華民国台湾の代表として連盟会員となった。中央研究院では、将来的には台湾北東部の宜蘭大学、南部の屏東科技大学、中部の東海大学などと協力して、台北、濁水渓、屏東、蘭陽の四大三角州を対象に、自然災害の緩和、適応、復元、食糧の安全、環境変化が引き起こす高齢者の健康問題や伝染病、持続可能な科学などについて研究したいと話している。
中央研究院は、世界の重要な三角州と知識、並びに経験を共有したり、協力計画を推進したりしていく他、世界の重要な環境リソース機関と交流を行なうという。
松山線通車後北捷路線図
台北市民の通勤通学の足、MRT台北新交通システムの新たな路線、松山線がまもなく開通することで、色による路線の表示方法が当初の計画どおりの姿となる。松山線は11月にも開通する見通しとなっており、松山線開通後、台北市の新交通システムは5つの路線にまとめられる。
5つの路線は色、番号、そして区間の名称で表示される。開通した順番に、まず、1番路線とされるのが文湖線で色は茶色。2番路線が淡水信義線で赤色、3番路線は新たに開通する松山線と新北市の新店に向かう新店線がつながり、松山新店線となる。色は緑色。4番路線は新北市から台北市に入って再び新北市へと向かう、中和新蘆洲線で、色はオレンジ色。途中から行き先次第で二股に分かれるため、番号と合わせて4A、4Bとされる。そして、5番路線は板南線で、青色で表示される。
馬・総統、食品問題で国家安全会議開催
馬英九・総統が、食の安全に関する問題で国家安全会議を開催する。台湾では先週、食用油の大手企業の製品の材料に、飼料用油が混入していたことが発覚、9月に続く、食用油の安全性に関する問題で、この企業の製品の不買運動が起きるなど不安と憤りの声が高まっている。
総統府は13日、これについて、これらの問題は国民を不安に陥れている他、国家イメージまで損なったとして、馬英九・総統が自ら13日夜に国家安全会議を執り行うことになったと明らかにした。馬・総統はこの会議を通じて、行政資源の統合、対応レベルの引き上げ、政府の執行能力強化を行い、食品に関する国民の不安を取り除く考えだという。行政院では13日、行政院農業委員会、経済部など関連部会と協議し、国産ラードの製造や販売に支障が出ることを考慮して、海外から輸入する問題の無いラードやその原料の関税を一時的に引き下げる措置をまとめた。
一方、衛生福利部食品薬物管理署では、劣悪な食用油については三つの企業が「不発弾」だと形容、問題のさらなる広がりを示唆した。大手企業グループ、頂新グループ傘下の頂新製油実業はこのほど、食品薬物管理署により、ベトナムから飼料用油を食品の名義で輸入していた疑いが持たれているが、さらに3社が、このベトナムのメーカーから飼料用油を購入していたと伝えられている。
食品薬物管理署地区管理センターの馮潤蘭・主任は13日、立法院での答弁で、頂新、正義、永成の3社がこの資料用油を購入したことがあると述べた。なお、このベトナムのメーカーも、台湾の企業がベトナムで設立した法人で、責任者は身柄を拘束されている。
頂新グループ商品の不買広がる、学校・量販・夜市でも
食用油で相次いで問題を起こした頂新グループへの怒りが、同グループの全ての商品に向かっている。教育部は全国の学校構内で頂新とその傘下の食品会社・味全の全ての商品の販売を禁止する通達を出した。台北市・新北市・宜蘭県の観光夜市業者も同グループ商品の使用を停止した。カルフール宜蘭店では200品目を撤去した結果、客足が1割増えたという。スーパーの楓康超市は全国41店舗で同グループの商品を撤去。台北市飲食業組合(餐飲業公会)は頂新不買と政府批判の署名を始めた。コンビニのファミリーマート(全家)、ドリンクスタンドチェーンの「50嵐」と「貢茶」は味全の牛乳「林鳳営」を他社製品に切り替えると発表した。また、頂新グループ傘下のスーパー「松青」や、通信会社「台湾之星(T STAR)」店頭に黒ペンキで落書きされるなどの被害も出ている。
聯発科、中国・酷比魔方タブレットへチップ供給[IT]
ファブレスの携帯電話向けIC設計大手、聯発科技(メディアテック)の第4世代移動通信システム(4G)対応のオクタコア(8コア)プロセッサー「MT8572」が、中国のタブレット端末メーカー、酷比魔方(CUBE)の新機種「T7」に採用されたことが分かった。13日付蘋果日報などが伝えた。
T7の画面サイズは7インチ。聯発科のMT8572はタブレット向けプロセッサーで、英アーム(ARM)のCPU(中央演算処理装置)コア「Cortex(コーテックス)―A53」を8個搭載している。T7の販売価格は999人民元(約1万7,500円)。聯発科デジタル家庭事業部門の陳冠州総経理によると、予約の受け付けは開始するものの、発売日については未定という。
聯発科は、今年通年のタブレット向け出荷量の目標を4,000万セットに設定している。同社のチップは、米アマゾン・ドット・コムが販売する低価格タブレット「キンドル・ファイア」の6インチモデルと7インチモデルにも採用されている。
鉄スクラップ 関西輸出価格、大幅下落
関西鉄源連合会(会長=黒川友二・扶和メタル社長)は10日、第44回鉄スクラップ共同輸出入札を行い、トン当たり3万10円(大阪湾岸FAS・H2)で成約した。中国の鋼材・ビレット輸出攻勢が鉄スクラップ市場にも影響し、韓国や台湾など東アジアの主要市場における鉄スクラップ需要が低迷。先月16日実施の前回比では3140円安と大幅に下落、日本からの輸出価格は3万円割れ目前に迫っている。
台湾の違法油問題 スナック菓子や即席めんなど326商品回収
食品会社の正義(高雄市)が販売する複数の食用油に飼料用油が混入していた問題で、衛生福利部食品薬物管理署は14日、問題の油を使用していた商品は全326商品、377トンにおよんでいたことを明らかにした。
回収が必要なものには、「乖乖」が販売するスナック菓子や「味丹」の即席めんなどの人気商品も含まれていた。正義を傘下に収める頂新国際グループが販売する商品の不買運動は全台湾に広がるなど、混乱が続いている。
馬英九総統は13日、行政院(内閣)内に食品安全関連の対策室を設置するなどの対応を発表。頂新、正義、強冠など違法な油を製造、販売、流通させていた業者の責任を徹底的に追及し、市民生活の安定に取り組む考えを示した。
全台湾13の地方法院検察署は48の関連案件について捜査を進めており、政府は悪徳業者と違法油の取り締まりに総力を挙げる方針を固めている。
リン・チーリン父、娘と日本人男性の結婚にゴーサイン?「幸せならそれでいい」
台湾のモデル兼女優で、10年のテレビドラマ「月の恋人~Moon Lovers~」で木村拓哉の相手役を演じたことでも知られるリン・チーリン(林志玲、39)の父親がメディアの取材に応じ、娘の結婚相手について「日本人もOK」と語った。台湾・中国時報が伝えた。
チーリンの父・林繁男(リン・ファンナン)さんは、「娘は最近、よく日本人と電話で話している。とても楽しそうな様子だ」とした上で、日本人男性との結婚について「娘が幸せならそれでいい。どこへ嫁ぐかは重要ではない」と語った。
台湾株、8800ポイントの大台割り込む 4月下旬以来の安値
欧米株の大幅下落や違法油問題などの影響で、13日の台北株式市場は急反落し、今年4月下旬以来の安値に落ち込んだ。終値は前営業日比255.05ポイント(2.84%)安の8711.39と、8800ポイントの大台を割り込み、取引高は1027億2500万台湾元(約3625億円)だった。
金融や半導体、食品など主要銘柄のうち、食品株の下落率が最も大きく4.70%を上回った。特に食品大手の味全に売り注文が殺到し、株価はストップ安水準の23.9元にまで下がった。金融株指数は2.50%安、半導体は4.13%安となっている。
市場関係者は台北株式への不確定要素として米ドル高傾向に対する国際市場への影響や香港での民主派デモなどを挙げている。
元阪神・鄭凱文所属の人気球団、4年ぶり後期V
台湾プロ野球は12日、台北市内の天母球場で今季最終戦が行われ、中信兄弟エレファンツが統一セブンイレブン・ライオンズを3-0で破って2010年以来4年ぶり8度目の後期優勝を決めた。
中信兄弟は、1984年に社会人チームとして発足した「兄弟飯店棒球隊」が前身。1990年にプロ野球が始まると2度の3連覇を達成するなど、実力も兼ね備えた人気球団として知られていたが、昨年オフには金融大手の「中信」に身売りされた。
今季は前期を4球団の最下位で終えるも、後期は投手2冠に輝いた元阪神の鄭凱文など「新参者」の活躍もあって上位をキープし続け、最終戦で頂点に立った。
中信兄弟の謝長亨監督は、チームの躍進ぶりについて「信じられない」と喜びを隠せない様子だった。
18日から開催される台湾シリーズでは、8度目の年間チャンピオンをかけて前期優勝のラミゴと対戦する。
紆余曲折を経て先住民の文化施設がオープン
新竹県五峰郷に建設されながら、建築基準を満たさず、1998年の完成後も長らく使用されることのなかった「サイシャット族矮人祭文物館」が、県の協力の下、このたび晴れて合法認定され、12日に開館式が行われた。
邱鏡淳県長は、今後台湾原住民(先住民)の就職支援、雇用促進サービスを行ったり、文化講座や研修の実施など、地域や学校、企業らと協力して活用したいと語ったほか、サイシャット族の文化を伝える場所として観光促進にもつなげたいと期待を示した。
役場によると、同館は1992年に当時の文化建設委員会(現・文化部)の補助を得て建設が行われたが、その後違法建築であることが発覚。のちに県や原住民族委員会、雪覇国家公園管理処などの尽力で改善が図られ、この日、完成から16年後のオープンにこぎつけたという。
日本が日本でなくなってしまう・・台湾人の提案が日本人に否定された瞬間
中国新聞網によると、パリの百貨店オ・プランタンのある店員は、アジア人の客の中で中国人と日本人を容易に見分けることができる。日本人は「とても礼儀正しく、店員にあいさつしてから静かに商品を選ぶ」のに対し、中国人は「声が大きく、店員に構わず、秩序も無視。でも気前はいい」のだという。
一方、中国のあるネットユーザーがネット掲示板に「日本について感じたこと」というスレッドを立て、日本旅行時にガイドから聞いた日本人の融通の利かなさに関するエピソードを紹介した。内容は以下のとおり。
ガイドは台湾人で、その友人である台湾人のZさんも日本で働いているとのこと。Zさんは自動車を買いたいと思った。日本では自動車は質が良く廉価で、ガソリンの価格も人民元に換算すれば9元ちょっとと日本人の収入からすればリーズナブルだ。しかし、奇妙なことに多くの人が車を持っておらず、バスや地下鉄、自転車に乗っているのだ。環境保護意識から車を買わない人もいるだろうが、多くの人は車を停める場所がないから持たないのだ。日本政府は、車を購入するさいにはまず固定の駐車位置を確保するよう規定しており、多くの人が駐車場の費用に尻込みしてしまうのだ。
Zさんは駐車スペースを長期間レンタルし、手続きを済ませたうえで車を購入し、その後レンタルをキャンセルする方法を取った。違約金をいくらか支払うものの、短期間で借りたり路上に停めたりするよりはお金がかからないからだ。一番大事なのは車を買えたことであり、同僚からは羨ましがられた。
最も親しい日本人の同僚も、車を買いたいものの駐車場代が払えないと悩んでいたため、Zさんは自分の「成功」の秘訣をこっそり教えた。教えたとおりにするだろうと思っていたら、あろうことか同僚はしばらく呻いたあとで「日本人がみんなそんなことをしたら、日本は日本ではなくなってしまう」と言ったのだ。
わが民族は聡明でないのではない。ただ、聡明さをどれだけ正しい道に用いているのか、ということを思い知らされた。
短期の海外旅行が人気 タイ、ベトナムやハワイも行ける
週末など、2~3日間程度の休暇を利用した海外旅行を楽しむ人が増えている。これまでも、『安近短』(安く近く短くレジャーを楽しむ)の傾向があり、グアム、韓国、台湾などは定番だったが、若い世代を中心に、タイやベトナム、香港といった東南アジアや平均フライト時間7時間で行けるハワイなど、金曜の夜に出発して、月曜日の朝に帰国し、そのまま出社するという“エクストリーム”的に海外旅行をする人が増えている。国際情勢などの影響で、これまでもっとも人気のあった韓国が落ち込む一方で、台湾が人気を集めたり、東南アジアが短期旅行の目的地になっているようだ。
JTB総合研究所『海外旅行実態調査』によると、海外旅行日数で短期間とされる1~4日間の割合は、過去、出国者数の2番目に高かった2000年で22.3%。これに対し、出国率の最も高かった2012年は33.0%と、10.7%も増えている。昨年、2013年の割合でも33.8%と高い水準を保っており、『安近短』の傾向は続いている。また、同じ日数で東南アジアへ旅行した人の割合は、16.2%(2000年)が18.7%(2012年)、東アジアが74.9%(2000年)が80.4%(2012年)と、各渡航先ともに増えている。
また、インターネットの海外旅行サイト『エクスペディア』によると、スマートフォンを使っての週末旅行の予約数は昨年比で約200%増となっている。スマートフォンの利用数が増えていることもあり、“倍増”というわけではないが、ここ数年、安定して短期海外旅行が支持されている。理由はさまざまだが、大型連休時の際には料金が割高だったり、2000年代に登場したハッピーマンデー制度で、3連休が増えたことなどが挙げられるが、近年の傾向としては、オンラインでの海外旅行予約が可能になったことや、LCC(ロー・コスト・キャリア)の登場が大きいと言える。オンライン予約に関しては、スマートフォンの普及でさらに利用数が増加傾向にある。
例えば、前出のエクスペディアのアプリを利用すれば、フライトやホテル予約まで一連の流れで簡単にできるだけでなく、レビューも充実しているので、旅先の選定にもサポートしてくれる。「週末旅行が増えている理由について、AAE Travel※のCEOキャスリーン・タン氏は「個人の旅行者が増えてきている。それにLCCの成長。LCCが安い料金を提供することで、若い世代が旅行できるようになってきた。航空券だけで買う人、パッケージツアーを選ぶ人、ホテルだけ別で予約する人など、さまざまなニーズになってきて、スマホアプリがそういったニーズに応えてきている」とは説明する。
. 中国に対する台湾の「世代間認識ギャップ」
台湾国立政治大学中国研究センター長の王振寰(Wang Jenn-hwan)が、9月3日付タイペイ・タイムズ紙掲載の論説で、ひまわり運動を契機として、台湾では両岸関係についての世代間の認識ギャップが顕在化しており、中台両政府は、新たな思考を必要としている、と述べています。
すなわち、現在、中台関係に最も大きな影響を与えているのは、世代間の認識ギャップである。ひまわり運動の後、台湾政府は、若い世代が中国との交流のさらなる強化に賛成していないことに気づいた。他方、中国は、台湾に対する経済的、政治的働きかけがあまり奏功していない理由は、中国の台湾社会への理解不足だけでなく、台湾の若者のアイデンティティをコントロールできない点にもあることに気づいた。中台間で、「社会的ギャップ」が拡大、深化していることは明白である。
中台関係にかかわるあらゆる政策が、台湾の若者の疑念、抵抗に遭っており、台湾の社会に浸透していない。経済的統合への抵抗は、次のような、深い構造的要因の結果である。
第一に、40歳以下の若者は、台湾の民主化プロセスの真っ只中、台湾しか知らない世界で成長しており、中国への心情的な愛着やアイデンティティは皆無であるが、40歳以上の人々は、国民党の「偉大な中国」教育を受けて育ち、中国人であるとはどういうことかについて、一定の理解がある。
第二に、多くの若者が台湾は経済を発展させるために中国を利用する必要があると認識し、中国で働く用意もある、との研究結果があるが、これは、若者たちが、経済的統合が政治的統一に至るべきであると考えていることを意味しない。若い世代は、民主主義と自由に、自信とアイデンティティを持っている。それが、彼らが中国の強権的政府に強い不信感を抱いている理由であり、中国が現在の政治体制のまま台湾の若者の心を捉えることは、困難になっている。
第三に、台湾の若者の中国への信頼の欠如は、中国のパワー増大に益々不信感が高まっていることを反映している。彼らは、「アジアの虎」としての経済的奇跡の頂点、緩やかな停滞、給与水準の低下、雇用機会の緩やかな喪失を経験してきた。対照的に、中国は、貧困を脱して強い経済を手に入れ、上海や北京などの大都市はグローバルなメガロポリスになり、そうした都市では給与が台北を上回っている。こうしたことは、台湾の若者に、搾取されていると感じさせ、国民党への不満を増大させ、中国の強権的制度を拒否する原因になっている。
中台関係における「社会的ギャップ」に取り組むには、中台政府は、思考を新たにせねばならない。国民党は、台湾の若者を、経済的グローバリゼーションという言葉で説得しようとすることは最早できない。中台関係の「逆行」を解決するには、彼らの不満、懸念、対中不信を真正面から受け止め、世代間の公正に資する、社会・経済政策を採用しなければならない。中国政府は、ひまわり運動を受け、台湾の社会により目を向けるようになったが、台湾の若者とその考え方への対応には、なお忍耐が必要である。台湾の若い世代は、中国については「血は水よりも濃い」とは感じていない、と論じています。
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論説は、台湾の民主主義が不可逆的であることを改めて示しています。特に、民主主義台湾しか知らない若者の、独裁的な中国に対する不信感が、上の世代よりも著しい、と言っています。また、多くの世論調査がそういう結果を示しています。
本年3月の「ひまわり運動」は、そのことを具体的な抗議活動の形で表面化させただけではなく、何十万人という一般市民たちがこの運動を支持し、行動したところに画期的意味がありました。中国共産党独裁体制は、民主主義の定着した台湾をコントロールすることは容易ではないと認識したはずです。
中国側からの台湾人への呼びかけは「数千年の偉大な中華文明をもつ中国の懐にかえってくるように」というナショナリズムの訴えです。しかし、このような呼びかけも、現実の彼らの生活には「本来、無関係なこと」なのでしょう。台湾人には、自由で民主的な手続きが保障されたシステムのもとで安心感の持てる生活を送れるかどうかということが何よりも重要です。
中台関係の最新の動きの中で注目すべきことは、台湾側大陸委員会副主任(日本式に言えば、大陸問題担当副大臣。事実上の中国との交渉代表者)のスパイ容疑事件です。目下、本人は司法当局の取り調べを受けていますが、この事件は、ひまわり運動と並び、馬英九政権への深刻な打撃となっており、中台接近の動きに対し、また一つ大きな歯止めがかかった形となりました。