台湾新幹線に破綻の恐れ 財務改善法案の見通し立たず
日本の新幹線技術を海外で初めて採用し、「台湾新幹線」として知られる台湾高速鉄道(高鉄)に経営破綻の可能性が浮上している。立法院(国会に相当)で審議中の財務改善法案が成立の見通しが立たないためだ。当局は、早ければ3月にも破綻するとしており、回避できなければイメージの悪化で日本の新幹線輸出にも影響を及ぼしかねない。
高鉄は、建設費の大半を融資でまかなったため、2007年の開業時から経営が厳しく、09年にも破綻懸念が浮上した。累積赤字は470億台湾元(約1760億円)。1日の乗客数は当初見積もりの17万5千~33万3千人を大きく下回っている(14年は1日13万1千人)ほか、低運賃や駅周辺の開発の遅れが経営を圧迫してきた。
主管する行政院交通部(国土交通省)によると、約400億台湾元分の優先株のうち、一部の株主が配当金の支払いと株の買い戻しを求めて提訴しており、3月にも判決が出る。高鉄には手元資金が18億台湾元しかなく、それ以上の支払いを命じられれば、資金ショートで破産するという。
高鉄は民間が建設と運営を担い、35年後に資産を当局に移管するBOT方式で整備された。
交通部は、期間を75年に延長し、1年当たりの減価償却費を圧縮するなどの財務改善法案を立法院に提出。金融機関が経営悪化を理由に凍結している436億台湾元の資金口座の解除を目指してきた。
だが、与党、中国国民党の立法委員団は7日、「(優先株の株主の)財閥を利する案だ」などとして当局案への反対を決定。これを受け葉匡時交通部長(国土交通相)は9日辞任した。高鉄の范志強董事長(会長)も辞任を決めた。
交通部は、実際に破綻した場合、運行を維持するため6月末までに資産を買い取って接収するとしており、完全公営化による公的負担は7千億台湾元に達すると警告している。だが、立法委員の間では、判決で高額の支払い命令が出る可能性はなく「破綻懸念は完全な作り話だ」との主張もあり、当局と与党の溝は埋まっていない。
行政院「高鐵を接収、運行は止まらず」
行政院の孫立群・報道官は10日、台湾新幹線こと、台湾高速鉄道(高鐵)の財務危機について、政府がその運営を引き継ぐ方向に向けて進める方針を示し、行政院の毛治国・院長は、国民と台湾高速鉄道の職員の権益保護のため、台湾高速鉄道の運行を継続するよう指示したと明らかにした。
「世界最大のBOT案(BOTとはビルト・オペレーション・トランスファーで、民間が建設し、一定期間運営した後で政府に移譲する方式。)」と言われる、台湾高速鉄道は財務が悪化しているため、経営破たんの可能性が指摘されている。交通部は財務改善案を通じてその財務状況を改善しようとしていたが、この財務改善案は、立法院で可決されることができなく、交通部の葉匡時・部長(大臣)がそのため、引責辞任した事態まで発展した。
一部のメディアは、交通部は新たな財務改善案を提出する可能性を報じている。それについて孫立群・報道官は、政府は台湾高速鉄道を引き継ぐ方向で調整を進めていると明らかにし、新たな財務改善案の提出を否定した。
商機300億元、春節用商品と正月料理商戦が本格化
春節(旧正月)に向け、300億元の商機といわれる正月料理商戦が始まった。今年の旧暦元日は例年より遅めの2月19日で、各社前倒しで業績獲得に動いた。
量販大手の愛買(a.mart)は7日から早期割引を打ち出し予約販売を開始、2~3割の業績増を狙う。カルフール(家楽福)は正月関連商品を年末から発売しており、前年比2割増を見込む。大潤発(RT Mart)は14日から生鮮品を半額とするなどの販促を開始し、同じく売上2割増を目指す。ネット商店でも商戦は始まっており、台湾楽天市場は7日から、momo購物網は8日から、有名レストランとのコラボ商品など正月料理の予約受付を開始した。スーパーの全聯福利中心(PX mart)では正月関連商品の売上がこの3週間で前年比83%増と大幅に伸びた。この他、デパート大手各社、有名ホテルなどでも正月料理や手土産用菓子などの販売が始まった。
台湾の大学統合、教育部は推進も実現は前途多難
少子化が進む台湾では、教育部が中心となり大学の統合を進めている。だが、実際には解決すべき課題が山積しており、各大学の円滑な統合は前途多難だ。
台湾には現在、159校の高等教育機関がある。教育部はこれまでにも、同一自治体内にあり、学生数が1万人未満の国立大学の統合を進めてきた。呉思華教育部長は、将来的には100校程度に減らすとしている。これを受け、台湾大学と台北教育大学、高雄第一科技大学と高雄応用科技大学、高雄海洋科技大学などで統合に向けた話し合いが続けられている。
ただ、これまでに統合が実現したのは嘉義師範学院と嘉義技術学院の嘉義大学、花蓮教育大学と旧東華大学の東華大学などわずか5校。また、統合後の名称や運営組織などの調整、学生や卒業生らの感情などをめぐり、計画自体が頓挫するケースもあるという。
教育部では2カ月以内にも学生減少が顕著な学校などに対して募集停止や他校との統合などの改革を求める政策を公表する見込みで、魅力ある大学作りを促進したい考えだ。
台湾で鳥インフルH5N8型の感染初確認 山口、宮崎などと同型
行政院農業委員会は11日、南部の嘉義で死んだガチョウから鳥インフルエンザウイルス「H5N8」が検出されたと発表した。台湾では初めての確認となる。昨年韓国で流行し、今冬になり山口県や宮崎県で確認されたのと同型で、渡り鳥によってウイルスが運ばれた可能性が高い。
台湾ではこれまでに、屏東、嘉義、雲林、台南など中南部23カ所の飼育場でガチョウなどが大量死しており、解析作業が続けられている。また、今年に入り屏東の養鶏場ではニワトリから「H5N2型」ウイルスが9日に確認され、約12万羽が処分されたばかり。
農業委員会では鳥インフルエンザに感染したニワトリ、カモ、ガチョウの肉は市場には流入しないと強調している。
14年12月輸出額、11カ月ぶりマイナスに[経済]
財政部統計処が9日に発表した2014年12月の輸出額(速報値)は256億5,000万米ドル(約3兆680億円)で、前年同月比2.8%減った。前年同月比での減少は11カ月ぶり。同処は「国際原油価格の下落が続き、鉱物やプラスチックなどに対し買い手の様子見ムードが高まったため」と分析した。輸入額も12.3%と大幅に減ったため、貿易黒字は44億5,000万米ドルで前年同月比約2倍に増えた。
12月の輸出額を主要製品別にみると、全体の約3割を占める電子製品のみが9.7%増のプラス成長。ICの輸出が14.8%増えたことで、電子製品全体の数値を押し上げた。鉱物の輸出は39.7%減と最も減少幅が大きく、軽油やガソリン、航空機用燃料などの需要がいずれも大幅に縮小した。
主要仕向け地別では、米国が14.6%の大幅増となった以外は軒並みマイナス。全体の約2割を占め最大の輸出先である中国(香港含む)は、プラスチック製品などが落ち込み、5.6%減となった。東南アジア諸国連合(ASEAN)6カ国や日本、欧米も、鉱物や機械などが減り、前年同月を下回った。米国向けは、基礎金属とその製品(29.3%増)やIT・通信製品(22.2%増)などが好調だった。
財政部は当面の輸出動向について、モバイル端末の新製品の発売やモノのインターネット(IoT)が商機となるほか、中国の春節(旧正月)を前に需要が増加すると予測。一方、原油価格の下落傾向や中国におけるサプライチェーンの現地化、国際競争の激化などが輸出の伸びを抑える要因になるとした。
故宮、屠蘇酒-皇帝新春1杯目特別展開催
日本のお正月で飲まれるお屠蘇の歴史などを紹介する特別展、「屠蘇酒-皇帝新春の1杯目特別展」が3月25日まで、台北市にある国立故宮博物院本館208陳列室で展示されている。
この特別展は、「説屠蘇(屠蘇の紹介)」、「写屠蘇(屠蘇に関する古典の展示)」、「飲屠蘇(屠蘇を飲もう)」の三つのコーナーに分かれており、国立故宮博物院に収蔵されている、清朝乾隆帝、嘉慶帝の時代の宮中にあった屠蘇酒と関係のある古典、書、絵画作品、器が展示され、屠蘇酒の由来とそれが象徴する意義などが紹介されている。
古代中国の明朝の古典、「本草綱目」によると、屠蘇は、「蘇虺」という鬼を退治できるため、そう名付けられたという。古代中国は東晋(317年~420年)の時代から元旦に屠蘇酒を飲む風習がある。新年の到来を迎え、一家の平穏無事、長生きを祈るため。清朝の乾隆帝(1736年~1796年)は元旦の子の刻になると、養心殿の東暖閣で書初め式を行い、新春(年明け)の初めての酒(屠蘇酒)を飲み、新年の到来を迎える。乾隆帝はまず、政権の安定を示す「金甌永固杯」で屠蘇酒を飲み、それから、無病息災や自然災害のないことを象徴する、玉でできた燭台でろうそくを点し、最後に「万青筆」という筆でめでたい文句を書き、国の安泰と国民の平安を祈るという。
国立故宮博物院の馮明珠・院長によると、現在、台湾中部の南投県城隍廟では旧正月の元旦に初詣客に屠蘇酒を振舞う風習があるという。
台湾で服用量が多いのは糖尿病薬に便秘薬 生活習慣の乱れ顕著に
衛生福利部中央健康保険署の調べで、2013年に台湾で最も服用された薬は糖尿病治療薬だったことが分かった。便秘薬の使用量も多く、専門家は台湾の人の生活習慣の乱れが顕著に表れたとしている。複数のメディアが伝えた。
糖尿病治療薬のメトホルミンは台湾で年間4億5000万錠が服用されていた。また、高血圧治療薬のマムロジピンは3億5000万錠使用された。
胃酸の分泌を抑え、便秘薬としても使われる酸化マグネシウムは3億錠が使用されたほか、センノシドと呼ばれる便秘薬も1億7000万錠使用され、睡眠薬より多く飲まれていた。
中央健康保険署の研究員は調査結果について、食事、睡眠、ストレスなど生活の変化を反映していると指摘する。医師は高齢者や女性が便秘になりやすいとして、食物繊維の摂取や適度な運動を呼びかけている。
シェンゲン査証免除4年、次は経済協定
外交部が10日、EU・ヨーロッパ連合が中華民国台湾に対してシェンゲン査証免除を実施して11日で満4年になった。シェンゲン査証免除は、台湾とヨーロッパとの関係のさらなる強化と深化の原動力だとしている。
外交部によると、シェンゲン査証の免除は、中華民国のパスポートなどの安全性に対するEUの信頼を示し、台湾の発展、社会の進歩、国民の質への評価の表れだ。その実施により、台湾とヨーロッパの人々の交流の利便性がさらに高まり、台湾とEU、およびヨーロッパ各国の往来、並びに実質的な協力関係がさらに促進された。
過去4年、台湾とヨーロッパとの関係は、著しく進展を見せ、2011年から2013年までの相互貿易額は480億ドルを超え、この間の台湾の対外貿易総額の9%を占めている。EUは5度声明を発表して台湾への支持を表明、欧州議会も台湾を支持する決議案を5度採択したという。
今年を展望して、外交部は、馬英九・総統が提示した、「活路外交(中国大陸との友好国の奪い合いなどをやめる休戦外交)」に基づいてヨーロッパの国々との関係をさらに強化する方針。
重要な目標として、台湾とEUとの「経済協力協定(ECA)」、「二者間投資協定(BIA)」の締結に向けた交渉が挙げられる。外交部は、経済部と協力してEUの加盟国の支持取り付けに努め、一日も早く協定の締結に向けての交渉を開始するよう努力するとともに、商機の開拓、ヨーロッパからの投資誘致、台湾の経済貿易の発展に有利な各種の協定の調印に関する交渉、ヨーロッパ各国との経済貿易関係の強化などにも取り組む予定。
妻を探してラーメン店開業の日本人男性、情報求める
失踪した台湾出身の妻を探すため、一昨年台湾でラーメン店を開業した日本人男性がいる。2年が経過した今でも妻の行方は分かっておらず、目撃者などからの情報提供を求めている。台湾の複数メディアが伝えた。
この男性の妻は2012年6月に彰化県の親戚に会いに行くと渡台後、同県二水で目撃されたのを最後に行方不明になった。男性は、妻が敬虔な仏教徒だったことから、寺廟が多い南投県集集なら何かの手がかりが見つかるのではと思い、日本から台湾に移り住んだ。
男性は中国語も台湾語も分からなかったが、地元住民の協力を得てラーメン店を開き、集集鎮長も激励に駆けつけた。店頭には妻に関する情報を求めるチラシをはるなどして、来店客らに協力を呼びかけているものの、有力な情報は得られていない。
男性は今後、集集の観光名所、武昌宮前に移転するとしており、より多くの人が集まる場所で妻を探したいと話している。
人口が北部に集中、桃園への移住が最多
内政部が10日、2014年の県と市における人口移動報告を公表した。それによると、昨年12月25日に行政院直轄市に昇格した台湾北部の桃園市は、転入者数8799人で、最も多かった。次は、台湾中部、台中市と離島の金門県。転出者数は、台湾中南部の彰化県が最多、6808人だった。次は、台湾北部の新北市、台湾南部の高雄市。過去6年、人口が引き続き北部に集中している。
内政部によると、2014年、台湾の移動者数(住所変更を含めて)は172万人で、前年比2.5%増。1000人あたりの移出入者数は73人で、前年比1.6人増加。これまでの人口移動状況を見てみると、行政院の直轄市六都市が比較的多く、この六都市の移動人口の合計は、全国の72%を占めている。
しかし、過去5年の人口の移動を見た場合、台湾北部の台北市、新北市、桃園市への転入者数は合わせて10万7974人で、中部と南部にある直轄市三都市(台中市、台南市、高雄市)への転入者数3万3487人をはるかに上回っている。各直轄市のうち、台北市への転入者数が4万6699人で最多。次は桃園市の4万5061人。それに対して高雄市はマイナス成長を示し、6118人転出した。桃園市の不動産価格が台北市と新北市より低く、台湾桃園国際空港と台北市内の松山空港とを結ぶ、新交通システムが年内に開業するなどの好材料があることから、桃園市への転入者は2012年から増加を見せている。
台鉄、12日より当日払い戻し手数料2割
在来線、台湾鉄道(台鉄)では12日より乗車券の払い戻しについて、当日の場合、乗車料金の20%に相当する手数料を引く方針を明らかにした。現在、乗車券の払い戻しについて、払い戻しを求める時間に関係なく、一枚につき台湾元13元の手数料が取られている。12日以降、乗車券の払い戻しについて、乗車日を基準とする制度が実施され、払い戻しを求める時間に基づいて金額の異なる手数料が取られることになる。
乗車日に料金払い戻しを求める場合、乗車料金の20%(最低台湾元20元)に相当する手数料が、乗車日の2日から3日前に払い戻しを求める場合、乗車料金の10%(最低台湾元20元)の手数料が、乗車日の4日から12日前の場合、一枚につき台湾元20元の手数料が、乗車日の13日以前の場合、一枚につき台湾元10元の手数料が取られる。
台湾鉄道は乗車券の払い戻し手数料の引き上げで、乗客が使用しない乗車券を放出するよう促し、列車の座席の利用率を高める狙い。