大塚家具株主総会
大塚勝久会長が株主提案を終えると、大塚久美子社長が再び議事を進め、静かに反論を始める。
■不穏当な表現
久美子社長 「株主さまよりご説明頂きました。なお、当社取締役会としては、(株主提案の)第5号議案および第6号議案に反対です。理由はコーポレートガバナンス、コンプライアンス(法令順守)上の問題を解決し、企業価値向上をはかるためには、経営体制の刷新が必要であると考えています」
さらに、「クーデター」発言を念頭に勝久会長にクギを刺す。
「提案株主さまからのご説明のなかにあった1月の社長交代は、取締役会で議論し、多数決でなされてます。先ほどのご説明のなかでは少し不穏当な表現ということがあったが、そのようなことはありません」
大塚家具総会・株主父会長を叱責
(久美子社長)
「今回このような、混乱状態が生じたことに非常に社員もつらい思いをしているし、お客さまにも大変ご迷惑をおかけしておりまして、本当に申し訳なく考えています。本当に申し訳ございません。最終的にお客さまに喜んで頂けるようなビジネスを展開することが、社員やお客さまにとっても関係者にとってもっとも良いことで、これをなんとか推進していきたいので、ぜひともご支持を頂きたい」
久美子社長はこの間、表情はほとんど変化しないものの、後半は口調が早くなってきていた。
■「コンプライアンスを語る資格はない」
総会開始から約40分が経過し、一般の株主質問に入り、厳しい質問が飛ぶ。
男性株主 「まず、勝久会長に意見がある。あなたは株主に対してお願いしますとか、聞いてくださいとかいう姿勢を見せていたが、私はあなたが社長をしていた時代に総会でインサイダー取引問題などを追求すると、『詳細を知らないくせに余計なことをいってくれるな』『黙っていろ』という態度で返事をしてきた。いまコンプライアンスがなんだと言っているが、あなたにその資格はない」
「いまさら『個人株主の方々、お話聞いてくださいなんて』殊勝な態度をとって、心の中ではどう思っているか分からない。勝久氏の提案では後任は、勝之さん(勝久氏の長男で専務)になっているが、修行が足りない。みんなわかってるんだから、親父さんを説得しなさいよ」
■突然の“和解”提案
「久美子氏の経営計画が良いと言っているわけではない、どっちも問題がある。でも、今の会長は聞く耳を持っていない。だったらあなた(勝之氏)が和解するように説得しなさいよ。株主提案は年間配当120円?赤字になっても配当はできるが、内部留保を使ってしまったらどうなるんだ。勝久会長は筆頭株主だから(配当増は)自分のための利益誘導だ」
ヒートアップする株主に対し、久美子社長がまとめるよう促すが、株主が反論する。
男性株主 「何時間かかってもやるべきだと私は思う。久美子社長、あなたに対する個人株主の印象が良くなくなるかもしれない。年に1回の一番大事な時期。それを時間区切ろうなんてよくない」
株主の温かい言葉に久美子社長は感極まり、「恐れ入ります」と涙ぐむ。
男性株主 「あなた(久美子社長)にも悪いところがいっぱいあるが、二者択一となったらあなたなんだ。だけど、勝之くんもよく考えて、なんとかお姉ちゃんと仲良くできないのか。ファミリー企業はしょうがないから、仲良くやってはしい。反論あれば勝久会長の意見を聞きたい」