台湾の墜落事故で露呈したパイロット危機
墜落事故で操縦ミスの可能性も指摘されている台湾のトランスアジア航空。そのパイロットの多くが不適格──そんな驚愕の事実が明らかになった。
今年2月初めに台北で同社のATR72型機が墜落した事故を受けて、台湾の民間航空局(CAA)は同社のパイロットを対象に緊急時の対応に関する口頭試験を実施した。
墜落機と同型機種を操縦する49人が試験を受けたが、10人が不合格となり操縦資格を取り消された。さらに、19人が病気や国外滞在などを理由に試験を受けなかったという。
「受け入れ難い結果だ」と、同社のピーター・チェンCEOは言う。「当然ながら訓練を強化する」。台湾政府は国内のすべての航空会社に、安全手順の再検証を指示している。
実際、今回の事故では重大な操縦ミスの可能性が指摘されている。ボイスレコーダーなどの解析によると、故障したのは右のエンジンだけだったが、再始動させるためになぜか左側のエンジンまで一度停止させていたからだ。
パイロットは救難信号を発信し、異常の感知から35秒後にエンジンの停止を報告した。しかしCAAによると、「管制官が事故機に呼び掛けたものの、同時に事故機側からも呼び掛けており、応答に雑音が生じた。そのせいで救難信号を確認できなかったと考えられる」。
2月の景気信号、2カ月連続「安定」の緑[経済]
台湾の国家発展委員会(国発会)が27日に発表した2月の景気概況の総合判断指数は、前月より1ポイント高い24だった。景気対策信号は2カ月連続で安定を示す「緑」となった。国発会は「先行指数と一致指数がともに下げたが、下げ幅は小さい。台湾経済はおおむね安定している」との見解を示した。
景気対策信号の判断材料となる9項目のうち、「株価指数」と「機械・電機設備の輸出額」は緑から好調を示す「黄赤」に、「商業売上高」は後退を示す「青」から安定と後退の中間を示す「黄青」にそれぞれ引き上げた。一方、「マネーサプライ(通貨供給量)のM1B(現金通貨と預金の合計)」と「製造業販売量指数」は緑から黄青に引き下げた。「工業生産指数」と「製造業営業気候観測ポイント」は緑に、「非農業部門就業人数」と「輸出額」は青にそれぞれ据え置いた。
先行指標の指数は前月の99.70から99.60に、一致指数は100.84から100.62にそれぞれ引き下げた。
国発会は今年の世界経済について、米国とユーロ圏、日本の経済成長がいずれも昨年より良く、台湾の輸出を支えると予測。一方、中国経済の減速が台湾の貿易に与える影響については注視する必要があるとした。内需に関しては、モバイル端末や高性能のICチップなどの商機が関連産業の投資の原動力になるほか、就業状況の改善や石油製品価格の下落が民間消費の購買力を押し上げるとみる。その上で、「今年の台湾の経済は安定した成長が望める」との見方を示した。
台湾先住民関連の文物展示する国立民族学博物館 映像資料強化目指す
国立民族学博物館(大阪府吹田市)では過去に撮影された台湾原住民(先住民)関連を含む貴重な映像資料の再編集作業を進めている。中には現在では見られなくなった儀式の様子なども記録されており、一般公開を通じて原住民をはじめとする世界の人々の生活を多くの人に知ってもらいたい考えだ。
1977年に開館した同館に収蔵されている台湾関連の資料は約6000点。そのうち9割は原住民関連で、1930年代に収集された文物も残されている。館内での展示は多くはないが、中国大陸や朝鮮半島など東アジア全体の民族との比較ができるほか、外部の研究者の調査も受け入れており、学術面での評価は高い。
映像資料の大半は研究者らが世界各地で現地調査した際に撮影された。研究の進展や時代の変化で現在では使用されなくなった用語などを修正する作業などが行われている。同作業の中心的役割を担っている同館文化資源研究センターの野林厚志センター長は「存在を知らせるのが博物館の大事な目的」と話し、文物やパネル展示が中心だった旧来の展示を変えたいと取り組んでいる。
原住民研究を手がける野林さんは数年前から台東県太麻里郷大王村に通い、パイワン族の女性から刺繍を習っている。伝統工芸の継承者が少なくなる中で、文化を伝えたいという考えからだ。今年も渡台を予定しており、技術を習得したいと意気込んでいる。
高雄ライトレール、今年8月に一部区間がプレ開業へ
高雄ライトレール(LRT)の先行区間の一部が今年8月にもプレ開業する見通しとなった。
同ライトレールは籬仔内から哈瑪星までの第1期区間、8.7キロメートルで建設が進む。ホームや車両はバリアフリー設計を採用し、高齢者や体に障害を持つ人などにも優しい配慮がなされた。
同区間の工事はすでに7割が終了。すでに一部区間では車両試験も行われている。沿線には商業、文化施設が立ち並ぶ経済貿易パークがあり、ライトレールの開通で利便性の向上が期待されている。
廃虚だった日本統治時代の宿舎が様変わり 庭園レストランに
日本統治時代の1920~30年代ごろに建てられ、宿舎として使用されていた建物が、日本風の庭園レストランとして新たな歴史を刻み始めた。店内では食材にこだわった和風の定食ランチやフレンチスタイルのディナーが提供されている。
「楽埔町」と名付けられた同店は、台北市内の観光地、中正紀念堂にほど近い杭州南路にある。廃虚と化していたこの建物は、同市政府文化局が推し進める古い建物を文化拠点として再生させる試み「老房子文化運動」により、一年半近くにおよんだ修復工事を経て新たな姿に生まれ変わり、昨年12月22日にオープニングイベントが開かれた。
同店では、台湾の旬の食材と日本やフランスの調理法を組み合わせた創意あふれるメニューを提供しているほか、食器も台湾製の柴焼や釉焼(ゆうやき)のものを厳選して使用。
日本から専門チームを招いて造った色彩豊かな枯山水庭園は、店内のどの席からも楽しめるようになっている。
店内では今後、草木染めの専門家による工芸講座も不定期で開催予定だという。
水不足の台湾 時間指定断水の実施を1週間延期へ
行政院(内閣)の毛治国院長(首相)は30日、4月1日から新北市の一部や桃園市などで実施予定だった時間指定断水を1週間延期すると発表した。北部の水がめ、石門ダム(桃園市)の貯水量が先週降った雨によりやや回復したためなどとしている。
石門ダムの貯水率は23日の時点で20%に低下したものの、29日午前7時までに24.4%まで回復。だが、水不足の解消にはなっておらず、毛院長は引き続き節水を呼びかけている。
経済部の干ばつ対策チーム「干災経済部災害緊急応変小組」は、石門ダム(桃園市)の貯水量不足が改善されないことから、新北市(板橋区、新荘区、林口区)、桃園市を対象とした第三段階の給水制限(七日間のうち五日給水、二日断水)を予定通り4月1日に開始することを決定した。
先週は前線の働きが活発になり北部で雨天が続いたが、大半が台北市、新北市、宜蘭県に集中し、石門ダムの集水区での雨量は期待されたほどではなかった。元大宝華総合経済研究院は先ごろ、台湾の今年の経済成長率を3.66%と予測した。しかし4月からの給水制限が3カ月を超えた場合、産業面では電子、金属、化学材料、石油化学、紡織、製紙の6大産業で年間20%減産の可能性があり、経済成長にも影響が出る恐れがある。
台湾・エバー航空、31日に高雄―福岡線就航
エバー(長栄)航空は31日から高雄―福岡線を開設する。エアバスA321-200型機(ビジネスクラス8席、エコノミークラス176席)を使用し週2便の運航。7~8月には週5便に増便する計画もある。
同社では、台湾からの訪日旅行者数は今後も増加すると予測。同日からは同線の開設以外にも、現行週16便の桃園―関西線、週4便の桃園―函館線もそれぞれ週21便、週7便に増便する。
AIIBの商機大、銀行は参加支持
台湾銀行の李紀珠・董事長(右)は29日、ボアオ・アジア・フォーラムに出席。台湾のアジアインフラ投資銀行参加はビジネスチャンスにつながると前向き。
中国大陸が設立を提唱するアジアインフラ投資銀行(AIIB)へ参加を表明する国家が相次いでいる。中国大陸は、「一帯一路」構想(「シルクロード経済帯」と「21世紀海上シルクロード」を中国大陸が中心となって建設していく構想)の詳細を徐々に明らかにしており、同銀行は「一帯一路」の周辺国にインフラ建設資金を提供する。このため向こう数年、毎年約8000億米ドルの融資のニーズが生まれるという。
台湾銀行の李紀珠・董事長は29日、アジアインフラ銀行はビジネスチャンスを生み出し、台湾の金融機関にも、より多くの外国金融機関と提携する機会をもたらすと指摘、台湾は尊厳が保たれることを前提に同銀行に参加すべきだと述べた。
永豊金融持ち株会社の何寿川・董事長も、こうした世界的な金融メカニズムに台湾が加わらないわけにはいかないと主張。アジアインフラ投資銀行への参加名義について、永豊銀行の邱正雄・董事長は、APEC(アジア太平洋経済協力)の方式で、「チャイニーズタイペイ」での参加を提案した。
王・立法院長が来月訪日、千葉視察
王金平・立法院長の来月初めの訪日日程がほぼ決まり、千葉県では食品の安全管理体制を視察するもよう。立法院台日交流聯誼会会長を務める、与党・国民党の李鴻鈞・立法委員によると、王金平・立法院長が4月6日から9日まで日本を訪問するスケジュールがほぼ決定した。
王・立法院長は先ごろ、昨年10月の双十国慶節に日本の議員数十名が来台したが、その後、中華民国台湾から政府上層部の訪日が行われておらず、昨年12月に日本で第三次安倍内閣が成立後、日本側からの要請もあると今回の訪日のいきさつを説明している。
李・立法委員によると、王・立法院長の日本滞在中のスケジュールはほぼ決定、台湾で最近、日本で生産された食品の放射能汚染に関する不安が広がっていることから、特別に千葉県を訪れて食品の安全管理状況を理解する日程を盛り込んだ。王・立法院長は、台湾の消費者に代わって現地で視察するに等しい。
王・立法院長らはまた、日華議員懇談会の平沼赳夫会長、衆参両院の正副議長、自民党と民主党の代表らを表敬訪問し、観光や経済面での議題について意見交換するという。
告製マニキュア「ホルムアルデヒドが基準超え」、台湾で輸入業者を起訴
台湾台中市で韓国製化粧品を輸入・販売する業者が先ごろ、輸入した韓国製マニキュア2品目が放出するホルムアルデヒドの量が基準を超えているとして、化粧品衛生管理条例違反で起訴されていたことが分かった。ホルムアルデヒドは発がん性物質。台湾・自由時報が27日伝えた。
台湾の韓国ファンの間では韓国製化粧品が人気だが、販売されている商品の質はまちまちだという。
起訴状によると、この業者は2013年11月と14年3月に韓国から紫色とオレンジ色のマニキュアを輸入したが、これらが放出するホルムアルデヒドの量は基準値を超え、特に紫色のものは基準値の4倍以上だった。台中の警察などが昨年6月に行った取り締まりで分かり、業者は起訴された。
韓国Hydis社員らが永豊銀行で抗議の集団ダンス、閉鎖撤回求め
台湾・永豊餘グループ傘下の電子ペーパー大手、台湾E LnK(元太科技)が、韓国Hydisの生産ライン閉鎖を発表したことを受け、韓国から現地従業員が抗議のために台湾入りし、台北市の永豊銀行東門支店で撤回を訴えた。27日付で台湾紙・自由時報が伝えた。
27日午前9時(現地時間)ごろ、韓国Hydisの従業員20数人が永豊銀行東門支店に集団で押し入り、「閉鎖を撤回しろ、解雇を撤回しろ」などと叫びながらダンスするという抗議活動を行った。
従業員らは台湾入りした後、労働部や永豊餘本部などを連日訪問したり、雨の中をデモ行進して永豊餘グループ総裁との面会を求めたりしてきたが、回答を得られないままだったという。