朴大統領に特大ブーメラン直撃! 側近に巨額裏金疑惑…自殺の実業家が暴露
韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領に、特大ブーメランが直撃した。李明博(イ・ミョンバク)前政権が進めた「資源外交」に絡むスキャンダルに、朴政権の高官らが関与していた疑いが浮上したのだ。疑惑が直撃して9日に自殺した与党セヌリ党前議員が、死の直前、朴氏の側近2人に巨額の金銭を渡していたことを暴露していたという。疑惑追及で政権浮揚を狙った朴政権だったが、致命的な打撃を受ける可能性も出てきた。
衝撃的な告白の後、自ら命を絶ったのは、与党セヌリ党前議員で、建設関連会社「キョンナム企業」の会長を務めた成完鍾(ソン・ワンジョン)氏。
韓国紙・京郷新聞は10日、成氏への電話インタビュー(9日)の内容を、電子版で音声とともに報じた。成氏は「2006年9月、金淇春(キム・ギチュン)前秘書室長に10万ドル(約1200万円)、07年には許泰烈(ホ・テヨル)元秘書室長に7億ウォン(約7600万円)を渡した」と語った。2人は当時、野党ハンナラ党(現セヌリ党)議員で、朴氏の秘書室長を務めた側近だ。
さらに、聯合ニュースは、自殺した成氏のポケットから、有力政治家らの名前と金額を記したメモが見つかったと伝えた。メモには、金氏や許氏のほか、現秘書室長の李丙●(=王へんに其)(イ・ビョンギ)氏、李完九(イ・ワング)首相らの名前もあったという。
成氏は06~13年に会社の財務状況を偽り、海外資源開発を支援する政府・公社の融資や金融機関の貸出金など約800億ウォン(約87億円)を受け取り、うち約250億ウォン(約27億円)を横領した疑いで、検察から事情聴取を受けていた。逮捕令状も請求されており、捜査の成り行きに注目が集まっていた。
成氏は、李前大統領の当選直後からの側近。李氏が進めた多数の資源開発事業にも関わり、李政権末期の12年には国会議員に初当選していた。事件の背景ともなった李政権による「資源外交」では、最大60兆ウォン(約6兆5400億円)の損失が出る可能性が指摘されており、朴政権が失政を追及してきた経緯がある。
韓国事情に精通するジャーナリストの室谷克実氏は「韓国では『道連れ心中』さながらに、死ぬ間際に恨みを持つ相手を貶める中傷やデマを流すことがよくある。情報の真がんをよく見極める必要がある」と指摘し、続けた。
「『資源外交』にまつわる疑惑は、朴政権が政権批判をかわすため、積極的に追及してきた側面があった。ところが、今回、朴政権に近い人物にも疑惑が飛び火したことで、逆に政権側が窮地に追い込まれる可能性も出てきた」