産経新聞の加藤達也前ソウル支局長、出国禁止措置の解除
韓国当局が14日、ようやく産経新聞の加藤達也前ソウル支局長に対する出国禁止措置の解除に踏み切った。加藤前支局長や弁護人は、何度も人道的観点などから解除を求めてきたが、そのたびに跳ね返されてきた厚い壁だった。
加藤前支局長の弁護人は、昨年9月30日付でソウル中央地検に出国禁止解除要請書を、10月15日付でソウル中央地裁に出国許可申請書をそれぞれ提出。今年1月9日にも、黄(ファン)教(ギョ)安(アン)法相やソウル中央地検、ソウル中央地裁に、出国禁止措置を速やかに解除するよう文書で求めてきた。
加藤前支局長と弁護側は出国禁止について、韓国の出入国管理法では「必要最小限の範囲でなければならない」「公務を遂行する便宜のためや、行政制裁を加える目的で行ってはならない」などと定められていると指摘。自らが問われている情報通信網法違反(名誉毀損)の場合、出国禁止の延長が繰り返されるほどの重罪とはいえないとした。
また、
(1)証拠はすべて確保されており、証拠隠滅を懸念する必要はない
(2)今回の在宅起訴は国際的な関心事で、公判には誠実に出席する-などと強調。
昨年10月1日付で東京本社社会部編集委員への異動も決まっており、日本に帰国できない状況が続くと、職務への影響だけでなく、経済的負担とともに「家族の精神的苦痛も甚大だ」とした。
その上で、出国禁止は基本的人権を制限する処分であり、必要最小限の範囲でなければならないにもかかわらず、延長措置が取られるのは裁量権の逸脱・乱用に当たるとして、取り消しを求めていた。