外国人観光客が東京下町商店街に殺到=「ホッとする空間がたまらない」―“猫のまち”谷中銀座商店街、人気スポットに
外国人観光客が急増している。東京の人気スポットといえば銀座、秋葉原、浅草が定番だったが、最近では下町情緒を楽しむ外国人が増えている。
日暮里駅から歩いて5分の谷中銀座商店街。下町情緒があふれ、古き良き時代の懐かしい世界が広がっている。昔ながらの個人商店を中心に、様々な業種約70店舗が全長170メートルほどの通りに並ぶ。ドラマやバラエティー番組などでたびたび取り上げられ人気のスポットに。最近では中国、台湾、韓国、米国、欧州からの外国人観光客も多く、国際色豊かなエリアに変貌している。
谷中銀座商店街は第二次大戦後に自然発生的に生まれ、近隣型の商店街として発展してきたが、老舗商店主によると、「発展するまでには近隣への大型スーパーの進出、コンビニエンスストアーの相次ぐ開店など大きな危機があった。危機が訪れる度に商店街が一丸となり、特別セールや商店街夏まつり創設、スタンプによるディナー招待など、アイデアと工夫で乗り越えてきた」という。
20年ほど前から、谷中・根津・千駄木の界隈が「谷根千」と呼ばれ注目され、NHKのテレビ小説「ひまわり」の舞台となったことで、全国的な人気スポットとして脚光を浴びた。その後、商店街の外観整備、ホームページ開設、日よけの統一や袖看板の設置などを次々に行い、商店街の観光や散策の地としての魅力を高めてきた。2014年の調査によると、一日当たり来訪者は、平日に約7千人、土日祭日には約1万4千人が訪れる。23年前の調査では平日、土日祭日とも約8千人だったので、この間に平日以外は2倍近くに増えた計算だ。
この結果、観光客向けの店が増える一方で、昔ながらの洋装店や鮮魚店、肉店など地元向けの商店が減少、カフェや土産物、スイーツ等の新店舗が開店している。
この変化に対し、商店街では「地域に根差した商店街」を維持しつつ、同時に内外の観光客にも愛される商店街を目指す「両立」の道を追求。谷中銀座商店街では開放的な商店街を目指し地域との連携や広域への対応に意欲的に取り組んでいる。プロの音楽家イベントでの地域小学生の共演、スタンプを集めた客のディナー会招待、ソーシャルメディアを使った情報発信、遠くからの来訪者向けの「谷中マップ」作りなど、地元、観光両方の客に満足してもらえる様々な取組みも推進している。
谷中には、可愛らしい猫が多いため、「猫のまち」をアピール。谷中銀座商店街に七福神ならぬ「七福猫」7匹を設置。ユーモラスな本物そっくりな木彫りの猫たちで、記念撮影の被写体となっている。
ドイツ人グループの一人は「この通りをそぞろ歩くと日本の情緒と生活の両方をを楽しめる」と言葉を弾ませた。中国・上海から来たという中国人女性は「日本の良さがこの狭い通りにはホッとする空間がある。店もとても小ぎれい」と感心することしきりだった。