「ぐっさん」キリン→アサヒ“CM移籍”ありなのか?
かつてビール業界を担当した先輩や同僚の記者から数件の問い合わせがあった。あのCMとは、アサヒビールの第3のビール「クリアアサヒ糖質0(ゼロ)」。「どうなってんだよ」とは、CMキャラクターに俳優でお笑いタレントの山口智充さんこと、「ぐっさん」が起用されていることだ。
ぐっさんといえば、同じジャンルであるキリンビールの第3のビール「のどごし〈生〉」のキャラクターを長年務め、キリンの「顔」的な存在だった。そのため、いきなり違うCMキャラクターになっていることに、かつての担当記者たちも面食らったのだ。
ただ、CMキャラクターが同じ業界内で切り替わることは、たまに時起きることはある。しかし、彼らの言い分は「ぐっさんは違うだろ」だ。
キリンの「顔」を9年務める
平成17年発売の「のどごし〈生〉」は、その誕生時点からぐっさんがキャラクターだった。先輩記者によると、新発売のキャンペーンでは、当時のキリンビールの社長とぐっさんが登場し、「営業部長」の名刺を配っていた。その後も毎年、CMに登場するパートナーとなる女性タレントは変わっても、ぐっさんが営業部長のキャラクターでCMは続いた。先輩記者は、「ぐっさんイコールのどごし〈生〉の営業部長の印象がすり込まれた」と振り返る。
ぐっさんは結局9年間、のどごし〈生〉のキャラクターを務め、昨年平成26年にTVドラマ「半沢直紀」「リーガル・ハイ」などに主演し、一躍注目を集めた堺雅人さんが扮する「旨杉夫(うますぎお)」シリーズに切り替わった。
当然、契約が切れたので、ぐっさんが他社のCMキャラクターになっても問題はない。だが、キリンの「顔」として9年もの歴史があるだけに、ぐっさんが登場するCM発表会は注目していた。
発表会は3月16日午後、東京・大手町のサンケイホールで開かれた。オープニングからCMで使われる軽快な音楽にのって、ぐっさんが踊りながら登場。そして、トークセッションでぐっさんが、アサヒへの“移籍”について口を開いた。
キリンやのどごし〈生〉といった固有名詞は出てこないが、「同じカテゴリーの商品を長年やらせていただいたこともあって、最初はお断りしていたんです」。こうしたCM発表会では異例の他社の話も含まれる告白となった。
それでも、今回のCMキャラクターとなったことについて「会社(アサヒ)や担当の方からいただいた手紙から熱い思いが伝わりました。自分の気持ちの整理がつき始めていたので、断る理由はないなと思えたんです」と、キリンをおもんばかりながら、移籍の背景を語った。