中国社会で「1980年代生まれ」という枕詞は特別な響きを持っている。1978年の改革開放路線始動後に生まれた一人っ子世代で、貧しかった時代の中国を知らず、経済発展の恩恵を一身に受け、そして一家のひと粒種として甘やかされて育った若者たちである。彼らの消費動向や斬新なライフスタイル、価値観は社会の注目を集め続けてきたが、果たしてそんなに幸福な世代なのだろうか?中国メディア・網易(NETEASE)は「中国では1980年代生まれの人生が最も悲惨」と題したコラムでその実態を分析した。
「80後(パーリンホウ)」と呼ばれる1980年代生まれの中国人はおよそ2億人。彼らの抱える最大の悩みは「住宅難」「恋愛・結婚」「競争社会」「両親の介護」だと言われる。持ち家を用意しないと結婚できないと言われている中国社会で、「80後」の約半数が借家暮らしか実家に両親と同居している。当然、晩婚化が進む。あるいは結婚できた場合にも、老親の介護と子育てという二重の負担が同時に家庭を襲う。
都市部に集中する「80後」のうち、5割が民間企業に勤める。収入は8割が月給1万元(約20万円)に満たない。うち、6000元~9999元(約12万円~20万円)以下が2割、3000~5999元(約6万円~12万円)が4割、3000元以下が2割。これだけの収入で生活費をまかなうと、都市部に住んでいるならいくらも貯金できない。「80後」の4.5割は毎月の貯金額が999元(約2万円)以下、2割が「月収=月々の生活費=貯金ゼロ」である。また、3割の預金額が5万元(約100万円)以下、8割が10万元(約200万円)以下。よって、彼らの6割は実家にお金を入れていない、あるいは実家に仕送りをしていないという。
話が戻るが、このような状態でどうやって持ち家を買うというのか?そして持ち家が手に入らなければ結婚できない、子供も持てない…と、将来の孤独がちらつく展開となっていく。持ち家を購入した場合でも、3割弱が両親の援助を受けている。全額出してもらったケースも1割弱。自家用車を持っているのは3割。しかし、その後待っているのはローンに苦しむ人生だ。彼らの4割は住宅ローンに、3割は自動車ローンに苦しみ、さらに3割がいまだ両親の扶養を受けている状態だ。
しかし、世間一般では「恵まれた世代」と認知されている。2割は「世間の目がプレッシャー」と感じている。1割にとっては「両親の期待も重荷」だ。上の世代のように悠々の定年後人生が待っているわけでもなく、下の世代ほどわがまま気ままに生きられるわけでもない。1980年代生まれは、中国で最も割を食った世代なのである