日本とタイがこのほどバンコクとチェンマイを結ぶ路線について新幹線方式を採用することを前提に、事業の採算性などを調査する覚書を交わしたことについて、中国メディアの経済参考網は5日、「新幹線の競争力を見くびってはいけない」と論じた。
記事は、タイ高速鉄道のバンコク-チェンマイルートにおいて新幹線が採用される可能性があることを指摘する一方で、中国とタイの高速鉄道における協力は「まだ未知数」の段階にあると指摘した。
また、「中国高速鉄道が受注できる確率は極めて高い」と考えられていたプロジェクトにおいて、まだ受注が確定していないことについて「世界の高速鉄道市場の競争がそれだけ激しいことを意味する」と論じた。
さらに、世界の高速鉄道は主に3つの陣営に別れると主張し、1つ目は低コストを強みとする中国高速鉄道、2つ目は高い安全性を誇る日本の新幹線、3つ目は欧州の高速鉄道メーカーであると伝える一方、「欧州は相対的に競争力は低い」と主張。続けて、世界の高速鉄道市場において「新幹線は間違いなく中国高速鉄道の最大の好敵手」と主張し、品質と安全性こそ新幹線の強みだと論じた。
続けて記事は、高速鉄道の輸出は単なる経済協力ではなく、その背後には「政治」の存在もあるとし、日本はタイに多額の直接投資を行っていると紹介し、タイと日本の関係が極めて親密であることは事実と指摘。
単に経済的角度から見れば、タイは中国高速鉄道を導入したほうがコストも安く済むとしつつも、タイが新幹線の導入を前提に日本と覚書を交わしたことは新幹線の競争力だけでなく、政治的駆け引きもあったとの見方を示したうえで、「中国高速鉄道が国外の市場を開拓するうえでは新幹線の実力を見くびってはいけない」と論じた。