南アフリカの野生生物保護地域・ロンバーディニで、ツノを密猟者に奪われ大けがを負っているサイが発見された。この4歳のメスのサイは、保護され様々な治療を受け安定した容態だが、40cmを超える大きな傷が癒えるまでには一年程かかるとされている。救助されたこのサイは、“Hope(希望)”と名付けられた。
傷を負って数日後のHopeを発見した猟場番によると、この3年で襲われた動物達が負った傷の中でも、Hopeの傷は最大のものだったという。獣医がウジ虫や死んだ組織を取り除いたのち、繊維ガラスでできた包帯を鉄のねじで留め、傷跡を保護した。プレトリア大学のゲルハルト・スティーンカンプ博士は「もしHopeを治療し、自然に返すことができたら、彼女は子孫を残すことができ、種の保存にも大きく貢献することができる」とコメントしている。
密猟者たちはツノを奪う際に鎮静剤を使い、Hopeが過度な鎮静状態にある間にツノを奪ったと思われる。Hopeの鼻の骨は鼻腔が露出してしまった状態で、酷く傷つけられていた。
サイのツノはアジアでステータスシンボルとして、また科学的な根拠はないものの病気の治療薬として価値があるとされている。Hopeが保護されたロンバーディニでは昨今、密猟者によるサイの被害が続いていた。
密猟者による被害にあったサイの傷の治療などを行なう南アフリカの団体Save the Survivorsのスザンヌ・ボスウェルは「Hopeは順調に回復している」と話す。同団体によると、これまで密猟者によりツノを奪われたサイのうち1頭のメスは、無事回復し出産することができたという。