世界各国ですでに定着しつつある日本料理が、米国でまったく新しいものに生まれ変わっている。日本の飲食店で勤務経験のある外国人らが、日本独特の接客方法を自身の母国に持ち帰ったり、あるいは現地の人の好みに合うように新たなアレンジを加えた新種の日本料理を生み出したりして、人気を呼んでいるという。サンフランシスコで誕生したオリジナルおにぎりも、そのひとつだ。中国新聞社が伝えた。
サンフランシスコではあるおにぎり専門店が、ランチタイムに大盛況だという。2010年、ワゴン車販売からスタートしたこの店。現地にはあふれるほど寿司店があるのに、日本人にとってはもっと身近なおにぎりがまったく知られていないことにショックを受けたある日本人男性が立ち上げた。おにぎりはそもそも、“日本伝統のファストフード”。ヘルシーである上に、手で食べられるという手軽さが米国人の嗜好(しこう)にマッチした。当初は「これ、寿司とは違うんだね」などと違和感を訴える客もおり、徐々にローカライズしていったという。現在はスタンダードなおにぎり以外に、「スパイシーベーコン」「テリヤキトーフ」などのオリジナルも販売し、市内2店舗で1日1200~1700個を売り上げる。
こうしたブームはニューヨークなどの大都市だけでなく、地方都市にも波及しつつあるという。高級なものから庶民的なものまで、日本食はすでに米国の飲食文化に溶け込んでおり、日本食のおいしさの秘密を科学的に分析する本が話題を呼び、ミシュランに掲載されている日本の高級寿司店を攻略するガイドブックがまもなく発売されるという。