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疏水と庭園、面的保存へ 重文景観に京都・岡崎

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山県有朋の別荘だった国の名勝「無鄰菴」の庭園。重要文化的景観の構成要素に別荘・庭園群も含まれている(京都市左京区)

山県有朋の別荘だった国の名勝「無鄰菴」の庭園。重要文化的景観の構成要素に別荘・庭園群も含まれている(京都市左京区) 京都の近代化を象徴する京都市左京区岡崎地区を中心とした地域が19日、国の重要文化的景観に選定されることになった。同地区では今春、琵琶湖疏水で京都と大津を結ぶ船の復活に向けた試験運航があり、来年1月にはロームシアター京都(旧京都会館)の再開館が控え、新しいにぎわいが生まれようとしている。東山の連なりを望む美観の保全が図られることで、一帯の観光振興にさらに弾みがつきそうだ。

 南禅寺門前の料亭「順正」の取締役大西隆さん(56)は「岡崎の歴史や文化への注目が高まることで一層の集客が期待できる」と喜ぶ。重要文化的景観に選定される地域には紅葉で有名な南禅寺や永観堂があり、多くの人々が訪れる。地元でつくる「南禅寺地域の環境を守る会」の役員でもある大西さんは、「観光シーズン最盛期の渋滞など地域の課題解決にも行政の協力を得やすくなるのではないか」と期待を寄せる。

 界わいには明治期、政財界の有力者たちが疏水の整備に伴い、優れた庭園を持つ別荘を建て、今も数多く残る。国の名勝「無鄰菴(むりんあん)」など一部は公開されており、潜在力を秘めた観光資源でもある。この地域の邸宅群に詳しい京都工芸繊維大の矢ケ崎善太郎准教授(日本建築史)は、「多くの庭園の池は疏水からの水路でつながり、個別の保護では限界がある。文化的景観の選定で面的な保存が可能になる」と話す。

 京都市は今回の選定を「岡崎の景観的な価値を地域で共有し、より良い景観をつくっていく出発点」と位置づけ、「張り巡らされた水路の保存といった細かいルールづくりを地域と取り組んでいく」としている。





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