中国主要政府系メディアはこのほど、中国各地の貧困地域の住民生活実態を取材し、報道した。農村部総人口の7.2%にあたる7千万人強が貧困で、住居が無く、医療と学校教育を受けられない生活を送っているという。
国営新華社通信は22日、四川省や貴州省、安徽省などの貧困地域での現地取材の内容を報じた。
四川省大涼山区美姑県では、取材班が訪れた農民の自宅はいまにも壊れそうなドアに窓のない真っ暗な部屋であった。左側は牛のエリアで右側は人間の居住スペース。レンガの上に置いた木の板が一家5人の寝床。調理スペースは数枚のレンガを「コ」の字に組み立てられ、レンガの上に鍋を置いて下で柴を燃やす。室内に椅子やテーブルは一つもない。この日の一家の昼食は発芽した茹でジャガイモだった。肉は正月など年に3回ほどしか口にできない。米を食べるのは10日に一回という。
45歳の世帯主は左目を失明していた。3年前に目の不調を感じたが治療費用や交通費などをねん出できず病院に行けなかった。こんな一家の生活実態が村民全体の縮図であるという。村の学齢期児童のうち100人余りは貧困という理由で学校に行けない。
貴州省茘波県の農村で取材を受けた住民。自宅の壁は草や木の枝を束ねて作られ、その隙間に充填してあるのは牛糞だ。雨漏れはもちろん、冬に寒風が入るのは非常につらいとのこと。薄く裂いた竹で囲んだ2つのエリアが親子の「寝室」である。
安徽省金寨県で訪れた家庭では、その自宅の土壁には無数の穴があり、山ネズミが掘ったという大きな穴がそのまま残っている。数年前の大雨により2軒が倒壊したという。もう一人の78歳の村民のすみかは石で造られた小屋で300年前に建てたという、片側一面の壁は完全に消えていた。
貴州省のある村では、34世帯に約300坪の農地しかない。湖南省のある村では村民は「快晴が数日間続くと、井戸の水が消え、遠く離れたところから水を担いでくるしかない」と話した。干ばつが深刻であるため、農作物がまったく育たない年もあるという。
甘粛省の住民約500人の村では、いままで高校の卒業生は一人もいないという。
国内外で周知のとおり、中国の貧富の格差は拡大する一方で、今回の政府系メディアの報道も中国貧困層の生活実態の一角を反映したに過ぎない。北京大学中国社科調査センターの報告書「中国民生発展報告2014」によれば、1%の世帯が3分の1以上の総資産を占め、25%の世帯の総資産は全体の1%しかない。