イスラム教で飲酒が禁止されるなか、中国新疆ウイグル自治区ニヤ県当局はイスラム教の断食月「ラマダン」3日前の15日、「ビール早飲み祭り」を開催した。最高優勝賞は約1000元(約2万円)に当たる賞品だった。フランス通信社(AFP)などが報じた。
ウイグル人権団体は、当局による、イスラム教徒への抑圧が民族間の緊張状態を悪化させると非難した。しかし、中国政府は「宗教的過激主義者」が絶えず暴力事件を起こし、新疆がテロの脅威に直面していると主張している。
ドイツに拠点を置く亡命者組織「世界ウイグル会議」(WUC)の広報官、ディルクサット・ラクシット氏はAFPの取材に対し、新疆の「ビール祭」が「イスラン教の戒律に対する公然の挑発行為だ」として、当局の動きを厳しく批判した。
23日付中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(電子版)は「ビール祭」を賞賛した記事を掲載した。なかで新疆の党校教員1人の話として、「酒好きなウイグル人が多くいる」「ビール祭を反対するものは過激派と分離独立主義者にすぎない」と報じた。
こうした中、ネットユーザが投稿した多くの関連コメントが削除された。世論の動向に神経を尖らせる当局の姿勢が浮き彫りになっている。
「ビール祭」に関する報道は23日までに、中国国内インターネットからすべて削除されてしまった。
一方、イスラム教のラマダン(断食月)が始まった中国新疆ウイグル自治区で、公務員や教員、学生に対し、ラマダン中の断食を禁止する通知が出されている。