「たま」は葬式でも人気の高さを示した
人気駅長だった「たま」の社葬には、多くの外国人の姿もあった。ドイツ人で三重大に留学中のアンナ・マスラウさん(23)は来日前にドイツのテレビ番組でたまを見て、会いたいと思っていたという。「天国の駅でも、駅長をしていると思います」と言葉を詰まらせた。
中東の衛星テレビ局「アルジャジーラ」も社葬の様子を取材。今月中旬から、日本の鉄道のドキュメンタリー番組制作のため来日していたといい、スタッフのラムジー・ザリフェさんは「この鉄道は、たま駅長のおかげで生き返った。これからも2代目、3代目と猫の駅長が続くのではないか」と話した。
和歌山電鉄貴志川線・貴志駅(和歌山県紀の川市)の三毛猫駅長として親しまれ、22日に16歳で死んだ「たま」(メス)の社葬が28日、同駅で営まれた。大勢のファンらが詰めかけ、たまの冥福を祈った。
社葬では、たまの飼い主の住友利子さんが喪主、小嶋光信社長が葬儀委員長を務め、仁坂吉伸県知事らが参列。たまの元気だったころの写真が掲げられるなか、仁坂知事らが弔辞を読み上げ、玉ぐしがささげられた。駅構内は狭いため、一般の人たちは駅の外に設けられたモニター画面で葬儀の状況を見つめていた。
たまは平成11年4月に同駅で生まれ、19年1月に日本初の「猫の駅長」に就任。20年1月にスーパー駅長、25年に社長代理へとスピード出世を重ねた。海外メディアにも多く取り上げられ、「招き猫」ぶりを発揮した。
しかし今年5月19日から鼻炎で入退院を繰り返し、今月22日夜に急性心不全で死んだ。同社は28日、たまを「名誉永久駅長」に任命した。