◇7月13~16日開催の戦没者慰霊の夏祭り 出店中止は初
東京・九段北の靖国神社は、戦没者を慰霊する夏祭りとして親しまれてきた「みたままつり」(7月13~16日)で露店の出店を中止することを決めた。みたままつりは終戦から2年後の1947年に始まったが、出店の中止は初めて。期間中は約30万人の参拝客でにぎわう一方、最近は若者らが遅くまで酒を飲んで騒いだり、男女が出会いを求めて集う「ナンパ祭り」とインターネット上に書かれたりし、神社などが対応に苦慮していた。
靖国神社によると、まつりの期間中、例年は参道に約200の露店が並び、午後10時ごろまで軽食などを販売していた。約10年前から多数の若者らが集まり、「(露店が閉まった後も)近隣で遅くまで飲み食いしている」「騒がしい」との苦情が住民から神社に寄せられ、周辺の道路にはごみがあふれるようになったという。
周辺の警備を担当する警視庁麹町署によると、把握できているだけで昨年の期間中はけんかや器物損壊などのトラブルが計11件あった。神社側も近年、警備員を増やすなど対策を講じたが「状況が改善しなかったため」(担当者)、出店見合わせを決めた。
29日に神社に参拝した大田区の女性会社員(33)は「昨年の祭りで、男性が浴衣の女の子に声を掛けたり、酒を飲んだ人が騒いだりしているのを見かけて不愉快だったので、大歓迎」と話した。一方、近所に住む主婦(53)は「自分が幼い頃や、子供が小さい時に祭りの楽しみの一つだった露店がなくなるのは寂しい」と惜しんだ。