環球網は仏AFP通信の報道を引用し、「中国人観光客のマナーの悪さが受け入れ国の不評を買う一方、その国の経済を支えている現実もある」と指摘した。その一例として、観光業を経済の柱とするタイの状況を取り上げている。
タイ当局の発表によると、昨年同国を訪れた中国人観光客は延べ4600万人に上り、1人当たりの1日平均消費額は160ドル(約2万円)と欧州からの観光客を大きく引き離した。今年は中国人観光客によって56億ドル(約6870億円)の観光収入がもたらされると予測されており、政府は中国人観光客の誘致に力を入れている。
この一方で、タイの市民からは中国人観光客のマナーの悪さを批判する声が上がっており、先月は「宮殿を訪れた中国人の少女が公衆の面前でおしっこをしていた」とする画像が現地のインターネット上で公開され、攻撃的なコメントが飛び交う事態となった。また、トイレマナーの悪さを重く見た寺院が中国人観光客の拝観を一時禁止するなどの措置を取っており、地元ガイドの1人は「中国人観光客が増えるにつれ、“外交的なテクニック”が鍛えられた」とコメント。「観光客らは痰を吐いたり、大声で話したり、トイレの使い方が悪かったりと問題が多いが、中国人の感情を害したくないから注意は慎んでいる」という。
市民からの声を受け、タイの観光当局は中国人観光客向けのマナーブックを作成するなどしたが、マナー違反については「文化の違いによる誤解」との認識を示すことで事態を収めようとしており、ある関係者は「中国人観光客は魅力的。トラブルなど起こしておらず、たまに文化の違いによる誤解が生じるのだろう」と話している。