大山鳴動して、とはこのことだ。米国から国際郵便で麻薬を輸入したとして、先月18日に逮捕されたトヨタ自動車元常務役員のジュリー・ハンプ容疑者(55)は勾留期限の8日、不起訴(起訴猶予)となり、釈放される。
ちなみに「起訴猶予」とは、裁判で有罪は証明できそうだけど、悪質性が低いなどの理由から、検察官の裁量で不起訴になるケースだ。同じ不起訴でも、証拠が足りないなど、裁判で有罪を証明するのが困難と考えられる「嫌疑不十分」とは違う。
「たぶん釈放されたハンプ容疑者が米国に帰国してチャンチャン。『これにて一件落着』ですね」(検察事情通)
ハンプ容疑者逮捕の翌19日にはトヨタの豊田章男社長が“謝罪会見”し、23日には警視庁がトヨタ本社をガサ入れまでした。そこまでやるかと世間を大騒ぎさせておいて“鼠一匹”も出てこない。「なんだそれ」が世間一般の感覚じゃないか。
「ハンプ容疑者が常務役員を辞任し、トヨタも信用を失墜させるなど“制裁”を受けた。『もう十分だろう』と“政治力”がはたらいた、上の方で手打ちしたともっぱらですが、これだけ証拠がそろっていて不起訴なんて、相手が無名の一般人ならあり得ないでしょう」(前出の検察事情通)
東京地検は、ハンプ容疑者は違法性を認識していたものの、膝に持病があり、痛みを止める目的で家族から送ってもらったものだから悪質性は低い。そう判断したとされる。
「今回の一件は、米国から確たる“リーク”があって事件化した。仮に米国側にハンプ容疑者やトヨタに対する何らかの“思惑”があったにしても、膝の痛み程度の話だけで、わざわざ情報を流すと思いますか。現場の捜査員は『いつもの上のやり方』とカンカンですよ」(関係者)