東方財富網は、「あなたの日本人の印象を徹底的に変える」と題する記事のなかで、列に並ばない中国人が考えを改めることとなった日本の電車内での体験談を紹介した。以下はその概要。
日本で仕事をしていると、1日中どこかが疲れている。その上、通勤の道のりも長い。地下鉄では何とかして座りたいと考え、私は中国人特有の賢さを発揮する。電車がホームにゆっくり入ってきたとき、目を凝らして車両をくまなく見渡す。空いている席を見つければ、降りる人がいようが乗る人が並んでいようが構うことなく、頭を低くして突っ込んでいく。車両に空いている席がありさえすれば、私は必ず座れた。
しかし、時間が経つと私は「無敵」であるが故の悲哀を感じた。私を遮る人や、私と競争する人に1度も出くわしたことがなかったからだ。私が突っ込んでいくと、降りようとする人は避け、乗ろうとして並んでいた人もとがめなかった……。正確にいえば、悲哀ではなく不安になったのだ。
あるとき、私は乗ろうとした車両に1つしか席が空いていないのを発見した。しかし、ホームは長蛇の列だ。ドアが開き、いつものように突入しようとしたところ、なんと、もう1人並ばないやつが現れた。その上、列の先頭に並んでいた乗客は動きもしない。ついに“ライバル”が現れたのだ!私は「遅れをとってなるものか」とばかりにすかさず突っ込んでいき、彼の動きが鈍いのに乗じて席を奪い取ることに成功した。
席についてふと顔を上げると、私ははっとした。その“ライバル”はなんと、足元のおぼつかない老人だったのだ。おそらく私の祖父くらいの年であろう老人は、震える手で吊り革をつかんでいた。車内のほかの乗客全員の視線を感じた。私はゆっくりと立ち上がると老人のもとへ行き、支えながら席に座らせた。老人は私に何度も礼を言ったが、私は逃げるように別の車両に移動した。それから私は、きちんと列に並んで乗車するようになった。