川崎のブラジル人FWレナト(26)が中国1部の広州富力に完全移籍することが14日、決定的となった。13日に正式オファーが届き、約1億円の年俸、3億円超の違約金など条件面がクリアになったことが判明。本人も練習前に選手やスタッフにあいさつ。15日に中国入りし、就労ビザ取得やメディカルチェック後、正式契約となる見込み。J1リーグ第2ステージ(S)開幕直後に攻撃の中心が電撃移籍。J1初タイトルを狙う風間フロンターレにとって大打撃になりそうだ。
中国の“爆買い”による電撃移籍だ。クラブに正式オファーが届いたのが13日。すると、14日にレナトが退団のあいさつを済ませ、きょう15日にはメディカルチェックなどのため、現地入りすることが分かった。
16日に閉じる中国リーグの移籍市場に合わせた、いわば駆け込みオファー。両クラブ間での交渉の末、3億円超の違約金も満額で支払われることが決定。13日午後からレナト本人と話し合いを重ねたクラブ幹部は「貴重な戦力だし、引き留めはしたが、本人の意思が固かった」と話した。練習前のあいさつで、初めて知った選手たちも「声を出して驚いた。全く知らなかったし、本当にビックリした」と声をそろえた。
12年に加入したレナトは高速ドリブルを武器に、FW大久保やMF中村らとJ屈指の攻撃陣を形成。4年目を迎えた今季はシュートの正確性も向上し、得点ランク5位タイの9得点を記録。J1通算104試合37得点と、現在の「J最強助っ人」として活躍してきた。
川崎にすれば第2S開幕直後に、攻撃の要が寝耳に水の電撃移籍。けがで離脱していた中村や大島らが戦列復帰し、ドイツ2部ボーフムの田坂が加入。5位に終わった第1Sから巻き返し、悲願のJ1リーグ初優勝を狙う風間フロンターレにとっては大きな痛手だ。クラブ幹部は「既存の選手がさらに奮起してほしい。それに加え、新戦力を補強する方向でも進めていく」と新たな助っ人の獲得も示唆。“レナト・ショック”を振り払うことができれば、悲願のタイトルはグッと近づくはずだ。
◆レナト 本名レナト・リベイロ・カリスト・アギアル。1988年10月4日、ブラジル・カルドソ生まれ。26歳。2007年にコリチーバに入団し、08年にロンドリーナ、10年にアトレチコ・ゴイアニエンセに期限付き移籍し、11年はポンチ・プレッタでプレー。12年に川崎に加入し14年に完全移籍した。167センチ、68キロ。