24日放送の「中居正広の金曜日のスマたちへ」(TBS系)で、歌手の一青窈が、「ハナミズキ」へ込めた思いについて語る場面があった。
一青の「ハナミズキ」はカラオケで不動の人気を誇り、2000年代で最も歌われている曲。現在は合唱曲として教科書にも採用されるほどの国民的名曲になっているが、「君と好きな人が百年つづきますように」という、大切な人の普遍的な幸せを願うこの歌詞の裏側には、一青と家族の物語があったという。
一青の父は、彼女が8歳のときにがんで他界。母も彼女が16歳のときにがんで他界しているが、父と母が病に苦しんでいるとき、一青はその事実を亡くなる直前まで知らなかったという。
番組では、一青の母の日記を元にした再現VTRが流れた。当時は、がん告知は患者本人にはされない時代であり、一青の母も父ががんに侵されたとき、親戚と話し合って本人には事実を伝えないと決心し、嘘の病名を伝え続けていたという。
しかし、真実を語らない母に対して、父は徹底した無視をするようになり、それは1年にも及んだのだとか。結局、ふたりが和解したのは、父の亡くなる1カ月前だったそうだ。
番組後半では、母の死までの再現VTRを放送。そこでは、母の亡くなる12時間前に、一青が姉の口から母の病状について知らされる様子が伝えられた。一青は、あまりショックでこのときの記憶がないというが、当時の日記には「驚きで涙も出なかった」「私はママに愛されてしあわせです」と書かれていた。
姉はこの当時、一青を残酷な事実から守りたい思いで、母ががんであることを黙っていたそう。しかし、今でもその選択が正しかったのか悩んでいるようで、番組の取材スタッフに「守りたかったんだっていうふうに今は言い聞かせていますけど、逆に妹からは恨まれてもしょうがないかなとは思っています」と涙ながらに語った。
VTR終了後、一青は姉について「全く姉が心配していることはなくて、とにかく言わないでいてくれてありがとうという気持ちしかないので」とコメントした。
ここで司会のSMAP中居正広が、ハナミズキの歌詞の意味について「パパとママが幸せになって欲しいなという思いが、(一青が)自分で作ったんだけど、自分への家族からのメッセージに(なっているのでは)」と、一青に尋ねた。
すると一青は、「書かされたんですかね…、ひょっとしたら」と答え、これからは子どもと子どもの好きな人のことを思いながら歌うのだろうと、もうすぐ生まれてくる子どもへの思いを明かしたのだった。