「新国立競技場」の建設計画を白紙にした安倍政権が、建築家ザハ・ハディド女史(64)の暴走に恐々としている。
「アンビルド(実際に建つことのない)の女王」の烙印を押されたザハ氏はいまだ新国立への採用を諦めていないらしく、「計画見直しに協力する考え」を示した書簡を安倍首相へ送付。巨額工費の“元凶”となったキールアーチの見直しを含めた「改良案」を作成していることも明らかになっている。
ザハ氏に対して、日本はデザイン監修料の一部として13億円をすでに支払い済み。安倍政権は13億円をドブに捨ててでも、ザハ氏とはもう組みたくないのが本音だ。だが、ことはそう簡単には運びそうにないという。
「ザハ氏が次々に“妥協案”を出してきているのは、この先の裁判を見越しているのだと思います。『私はこんなに協力してきたのに白紙撤回された』と訴えたいのでしょう。国際コンペなどで揉めた時、国際裁判所に訴えることは珍しくありません。仮にザハ氏の名誉を傷つけたと、裁判所が名誉毀損を認めれば、損害賠償は最大100億円になる可能性もある。このままいけば、日本は裁判で負けると思う。政府はそれも覚悟の上です」(政府関係者)
裁判以上に、安倍政権が恐れているのが、ザハ氏の来日だ。本人は、8月中に安倍首相との面会を希望。その場で具体的な改良案を提示するという。来日すれば、報道陣が殺到するのは間違いない。世界が注目する中、はたして彼女は何を話すのか。対応を誤り、ザハ氏の怒りを買えば、国際コンペの裏側を“暴露”される危険性もある。
「まさに、安倍首相の器量が試される大きな外交問題です。悪いのはザハ氏の案を選んだ日本であって、ザハ氏は全く悪くない。まず、安倍首相は会って『迷惑をかけた』と謝るべきです。会うのを拒否するなどすれば、ザハ氏だけでなく、国際社会から激しく批判されるでしょう」(元外交官の天木直人氏)
ザハ氏が日本に乗り込んできた時、新国立問題は新たな展開を迎えそうだ。