日本の賃貸住宅事情をブログにまとめた台湾人女性がいる。新しい部屋を借りる場合の費用や部屋の設備について、台湾との違いを伝えたかったようだ。筆者のNinaさんいわく、台湾で賃貸マンションやアパートを借りる時、大家の配慮で生活で必要とされる一般的な家電製品や家具は配置されているとのこと。「冷蔵庫やテレビ、椅子やその他の家電等は部屋に備え付けられている」そうだ。
「学生の立場ならものすごく楽だ」と続け、手付金を払えば何の心配もなくスーツケース1つ程度の荷物で入居できるのが、台湾の現状だという。一方日本では、部屋を借りたいと思うと「頭を悩ませてばかり」と述べた筆者は、「多くの専門用語が飛び交う上に、費用が高い」と不満をこぼした。
インターネット上で表示される不動産物件の情報を見たり、実際に不動産屋スタッフとのやりとりなどで困ったりした経験があるのだろう。日本の賃貸契約事情を知らない台湾人に向け、文章をつづった。日本で新しい部屋を借りる、引越しを考える時はまず、何をおいても「自分の財布にいくらお金があるか考えなければならない」と筆者は最初に挙げた。
部屋を借りるとなると、「あなたは家賃1ヶ月分に加え、敷金や礼金に仲介手数料、そして火災地震保険費などを払わなければいけない」と述べ、金額の目安としては「おおよそ家賃5ヶ月分」とした。「この金額が、あなたが入居時に払わなければならない合計額だ」とし、1ヶ月の家賃が6万円ならば初期費用は30万円位はかかると示した。
「最近は礼金を払わなくても良い物件もある」と事情通な筆者だが、こんな大金を払ってまでも日本で部屋を借りる必要性はありますかと、問いかけている。不動産屋に支払う費用の他にも、家電製品や家具を自分で買い揃えなければならない現実も待っており、習慣が異なる台湾の人々は大きな負担を感じるだろう。
台湾では、最初の家賃に加え保証金を支払う程度と思われる。保証金は家賃1ヶ月分程度が相場と思われ、新規契約時には家賃2ヶ月分の金額を準備すれば良い計算だ。保証金は退居時に基本的に返金される契約だが、清掃代や破損した備品の補修費に充当されるケースもあるだろう。日本でいう敷金の感覚だ。そして筆者が述べているように、最低限の家電製品や家具は備え付けだ。
次に筆者は「日本の不動産用語を覚えること」を勧め、月額家賃や公共施設の管理費、共益費などを「状況によって支払わなければならない」と説明した。知識があると多少の不安やトラブルを解消できる、と考えた上でのことだろう。続いて敷金は家賃の1~2ヶ月分で契約時に支払い、退居時には清掃費や修繕費を差し引いて戻されること。
家主へ部屋を貸してくれるお礼の意を込めた、礼金なるものがあると伝えた。「礼金の額も家賃の1~2ヶ月分で、返金は一切無し」としている。他にも物件を紹介してくれた不動産屋へ払う仲介手数料0.5~1ヶ月、2年後には更新費用(おおよそ1ヶ月の家賃+火災保険、地震保険等々)が発生すると述べた。
台湾の人々にとっては、支払わねばならない費用がいろいろとあり、理解が難しいだろう。日本で賃貸住宅を契約するには、とにかくお金がかかることがわかる。加えて連帯保証人として、別世帯で独立した家計を持つ日本籍の成人の連絡先の記入が必要である点も「契約に至るまでのハードルが高い」とした。
異国で生活をするには準備や移動に始まり、現地に到着してからも不便なことがいろいろとあるだろう。生活の基本となる住居は最も重要な場所だ。日本と比較すると台湾の賃貸住宅は契約が楽で、費用面の負担も小さい。台湾の人々が日本に移住する場合、住宅事情の現状や情報をしっかりと事前把握しなければ、一層苦労する事態になりそうだ。