台湾の馬総統、党内の混乱かわす 次期総裁選でも主導権
台湾の与党、国民党は10日、台中で党大会を開き、党員が総統在任中は自動的に党主席を兼ねることを決めた。党主席の馬英九総統は、2014年末にある地方選で苦戦した場合も辞任せずに済むことになり、16年の次期総統選や立法委員(国会議員)の候補者選びで主導権を確保した。
馬氏は党内の実力者、王金平・立法院長(議長)との対立が表面化。王氏の支持者や、馬氏に不満を持つ参加者の動きが注目されていた。だが、大会では表だっては党指導部に反対する声は出ず、馬氏としては党内の混乱をかろうじて乗り切った形だ。
国民党はもともと9月末に台北中心部で大会を開く予定だったが、王氏との対立などで抗議機運が盛り上がったため、開催を延期。場所も、台中の郊外にある体育館に変更した。この日は会場周辺に数百人が集まり、靴を投げるなどの抗議活動を行ったが、大きな混乱は見られなかった。
国民党全国代表大会 馬英九総統が政権の成果を強調/台湾
(台中 10日 中央社)中国国民党第19回全国代表大会がきょう、台中市の台中港区体育館で行われ、馬英九総統兼国民党主席(=写真)は今年における政権運営の成果を強調、新たに6つの約束を打ち出し、社会問題や将来の課題に真摯に向き合うことを誓った。
馬総統は「努力して前進、改革のレベルを引き上げ、大きく団結」と題した演説を行い、過去の民進党政権が成し遂げられなかった現政権の成果を強調、特に今年は「対外関係では豊作となった」と語り、台日漁業取り決め締結や、フィリピン沿岸警備隊台湾漁船銃撃事件の対応協議と漁業取り決め調印、APEC首脳会議参加など、外交面での進展をアピールした。
また「清く、忠実に政務を行い、民を愛す」ことを前提に、司法の独立と報道の自由の堅持を表明、「決して揺るがない決心だ」と語ったほか、来年に迫った地方公職人員選挙へ向けて団結し、勝利するとの覚悟を示した。
このほか、民衆に対しては6つの約束を提示、偽装表示や違法添加物の混入が問題となっている食品安全、高齢社会への突入を目前に対策が急務となっている老人介護、故宮博物院南分院建設などの文化創造、アジア太平洋地区との経済協力関係構築をはじめとする地域経済統合に向けた努力などそれぞれの分野で取り組みを強化するとした。
本来は9月29日に台北で行われる予定だった全代会だが、馬政権に不満を抱く民衆の抗議活動などで会場付近の混乱が予測されたためきょうまで延期、場所を台中に変更して実施された。台中港区体育館周辺では早朝から市民らが抗議運動を展開、国内外からのメディアもつめかけ、警察側も2000人近くを動員し警戒にあたった。
「中国人は煮卵も買えない」台湾人の“中国観”が話題
7日、中国の電子掲示板サイトに登場した討論テーマ「台湾人はこんな風に中国人を見ている」が、ネットユーザーの間で大きな話題に。台湾の女性タレントで司会者のタオ・ジンインが、内容に大きな誤解があることを指摘した。写真はタオ・ジンイン。
2013年11月7日、中国の電子掲示板サイトに登場した討論テーマ「台湾人はこんな風に中国人を見ている」が、ネットユーザーの間で大きな話題に。台湾の女性タレントで司会者のタオ・ジンイン(陶晶瑩)が、内容に大きな誤解があることを指摘した。聯合報が伝えた。
中国の2ちゃんねる的な電子掲示板サイト・天涯論壇にこのほど出現したのが、「台湾人はこんな風に中国人を見ている」というテーマ。内容は台湾のタレントやテレビ番組が“中国のリアルな姿”として紹介した驚きエピソードを取り上げていくもの。瞬く間にページビューが70万件を突破し、中国の各大手ニュースサイトもこぞって取り上げるホットな話題となっている。
その内容は以下のようなもの。台湾人タレントの談として「中国には宝くじがない」「鉄道駅でカップラーメンを食べたら数十人に取り囲まれた。食べたことがないのだろう」など。さらに、「中国人は煮卵さえ買えない」「河北省と河南省は最貧困地域だ」「台湾人女性は高嶺の花と思われている」というものもある。中国のニュースサイト大手・新浪(SINA)は、「一部の台湾人の中には、過去の中国のイメージしかない。現在の姿を理解しようとする意欲も判断力もない」「テレビ番組が娯楽性を意識して故意に作ったもの」など、この“誤解”の原因を分析。天涯論壇の投稿ユーザーからは、「こういうエピソードが出た番組は過去のものか、人気がなくすでに終了したもの。これを真に受けて怒ったほうがバカを見る」との意見も聞かれている。
中国にも進出している人気女性タレントで司会者のタオ・ジンインは7日、「中国に長年行ったことがないのなら、狭い見方で判断するのは間違っている」とコメント。「国際的な有名ブランドのショップも、まだ台湾にないものまで中国にはある」と話し、勝手な誤解と独断で意見を言うのは、「お互いのためにならない」と語っている。
中国が台湾の外交封じ込め政策を緩和、台湾とシンガポールがFTA締結―米メディア
8日、米メディアは、台湾とシンガポールが7日に自由貿易協定(FTA)を締結したことについて、台湾の外交封じ込め政策を中国が緩和した結果だと指摘した。写真は台北。
2013年11月8日、米ラジオ局ボイス・オブ・アメリカ(VOA)中国語版は、台湾とシンガポールが7日に自由貿易協定(FTA)に当たる経済パートナーシップ協定を締結したことから、諸外国が台湾と直接交流することを禁ずる中国の台湾政策が「緩和された」と指摘した。
シンガポールは台湾にとって5番目に大きい貿易相手国であり、昨年の両国間の貿易総額は282億ドルにも上っている。「1つの中国」を主張している中国は、諸外国と自由に交渉する台湾の権利を認めていない。過去において、台湾が外国と協定を結ぶことを中国政府は阻止しており、その結果、台湾は国交のあるごくわずかな国のみと貿易協定を結ぶしかなかった。
有識者は、2010年に中台経済協力枠組み協定(ECFA)が結ばれた後、中国が台湾と他国のFTAを容認するようになったと指摘する。ECFAは中台双方が60年間の敵対関係を乗り越えた努力の結果といえよう。だが、台北の中国文化大学の蔡[王韋](ツァイ・ウェイ)教授は、「中国が台湾を1つの国家と認めたと暗示しているわけではない」と話す。その理由として、蔡教授は「協定の締結に外交官のサインがない。今回結ばれた協定も『FTA』という文言は使われず、『経済パートナーシップ協定(ASTEP)』という言葉が使われている」と説明する。
中国政府はその強大な経済力を盾に、台湾が170以上もある国々と国交を樹立することを阻止してきた。中国は台湾を自国の領土の一部とみなし、過去には武力行使で統一を実現しようとした。だが、この5年間で、中国政府は貿易や投資の拡大により台湾の民意を取り込んで、最終的な統一につなげようと方針を転換したようだ。今回、台湾がシンガポールと自由貿易協定を結んだことで、馬英九(マー・インジウ)総統の支持率アップが見込まれている。現在、馬総統の支持率はわずか20%ほどでしかない。
ショウ・ルオ、CDヒットでスー・チー「印税いただかないと」/台湾
「アジアのダンスキング」と呼ばれる歌手のショウ・ルオ(羅志祥)が今月8日にニューアルバム「LION ROAD」をリリースし、きょう台北でイベントを開催した。発売からわずか3日で10万枚がセールスされるヒットとなったのを受け、プロモーション・ビデオ(PV)で共演した女優のスー・チー(舒淇)から「印税を分けていただかないと」とお願いされる一幕があった。
ショウはきょう、西門町でミニコンサートとサイン会を実施、ファンに対して大ヒットを達成したことを報告した。台湾で今年公開された映画「西遊・降魔篇」で共演したスー・チーとは新曲「未完的承諾」のPVでも再共演、キスシーンを含む過激な映像で話題となっている。
会場にはそのスー・チーも電話で登場、「100万枚売れたんですって?印税を分けていただかないと」と冗談をいって会場を沸かせたほか、ショウはスーに「何か約束を実現させないといけないんじゃなかった?」といわせると「3年後にお前を嫁にもらいにいくんだよ」と答え、会場からは黄色い歓声と大きな笑い声が上がった。
ショウはPV撮影時を振り返り「スー・チーを相手にとても緊張して、股と腋に汗をかいた」と茶目っ気たっぷりに話した。きょうのイベントでは約3万枚のCDにサインをしなければならず、ショウは以前実施した台中でのサイン会では9000枚にサインし、家に帰宅した際には疲れ果ててリビングで寝てしまい、右手はトレーニングをしたように痛くなったと笑うが、きょうは15人のスタッフがサポートするほか、万一に備え医師も待機させたといい、集まったファンの期待に応えた。
巨大アヒル 桃園にさよなら 次は年末に基隆で公開/台湾
先月26日から桃園県で展示され、破裂事故などの不運を乗り越えてきた巨大アヒル「ラバーダック」の公開がきょうで終了した。今朝にはアヒルがしぼんでしまうハプニングに見舞われたが、可愛らしい姿は最後まで観客を楽しませた。
桃園県で開催されていた「ランドアートフェスティバル」(地景芸術祭)がきょう終了するのに合わせ、目玉として注目を集めたラバーダックも会場にお別れを告げた。先月31日に発生した地震の影響で今月1日に破裂、その後急遽高雄から代替品が届けられるも、強風の影響で空気充填作業ができず、8日になってやっと展示が再開されるなど、たびたび不運に見舞われたがそれでも人気は衰えず、主催者側は午後3時現在で20万人以上は訪れただろうと発表している。
ところが今朝もアヒルがしぼみ頭を垂れるハプニングが発生、原因を調べた結果、送風機の空気取り入れ口に大量の蚊の死骸がこびりついているのが見つかり除去したところ、5分後に再び愛らしい姿を現したという。
また主催者側によれば、「ランドアートフェスティバル」計画当初は期間中に30万人程度の来場者を見込んでいたが、その後ラバーダックの展示権を獲得し、結果的に240万人を超える人が押し寄せたという。会場となった人口4万8000人の新屋郷はアヒル効果で一躍脚光をあび、思わぬ知名度向上や経済効果をもたらした。
台湾で一大旋風を巻き起こしたラバーダックは12月21日から基隆で年を跨いで展示される予定。
秋の好天もきょうまで 北部は今夜から天気下り坂/台湾
中央気象局は、今夜から前線が台湾を通過し東北季節風が強まる関係であしたの北部の最高気温は24度前後と、きょうまでのぽかぽか陽気から一変すると予報している。
台湾では立冬を過ぎた9日に新北市板橋で最高気温31.9度を観測したが、きょうも台北で31.1度を記録、台北市内では半袖で外を歩く人の姿も見られた。しかしこの暖かさもきょうまでで、今夜からは降水確率が上昇、気象局では外出時には雨具を携帯するよう呼びかけている。
北部ではあしたの日中も気温が上がらず、予想最高気温は22〜24度と、きょうよりも8度前後下がる恐れがあるとしているが、中南部では27〜29度、花蓮・台東地区では24〜26度と、きょうと同様の天気が続く見込み。
また台風30号の直接的な影響はないとしながらも、東部や西南部の沿海、恒春半島、緑島、蘭嶼などではこれによる高波に警戒を呼びかけている。
双生児、多胎児が大集合 双子の日記念でイベント/台湾・台北
台北市東門小学校できょう、11月11日の双子の日を前に双生児、多胎児ばかりが集まったイベントが行われ、お遊戯や、保護者らの座談会が行われた。
この催しは台北市双生児協会が30組以上の双生児や多胎児を招いて行ったもので、中国大陸からも1組の双子が参加した。協会理事長によると台湾で双子が生まれる確率は1%としながらも、国内には少なくとも40万人の双子がいるとし、「小さくはないグループだ」と話した。
お遊戯では興味深い光景が見られ、双子の1人はリズム感が良くても、もう1人はそうではなかったり、早々と飽きてしまう1人の一方で、もう1人は黙々と最後までやり通すなど、うり二つの外見でもそれぞれが個性を持っているのがうかがえた。
邱麗君さんは38歳の時に人工授精で一卵性双生児と二卵性双生児の三つ子を出産、まだ子供が歩けなかった時、外出は必ず“一家総出”、風邪をひけば必ず“集団感染”で運命共同体になっていると多胎児を育てるがゆえに起こるエピソードを語る。「今思えば、つらいことは覚えてられません」というが「高齢にもかかわらず3人の子を授かり、みんな健康でいることは幸運だと思います」と語った。
日台強化試合、陽岱鋼が有言実行 全塁打で台湾コーラふるまう
野球のチャイニーズ・タイペイ(台湾)と侍ジャパンの強化試合で9日、陽岱鋼(ヨウ・ダイカン)がホームランを放ち、球場では観客に対して陽がイメージキャラクターを務める「黒松沙士」がふるまわれた。ファンからは「もう1本!」との声が上がっている。
これは陽が7日にSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)上でファンに「約束する。ホームランを打ったら観客全員に黒松沙士をおごることを」と書き込んだことから行われた“粋な”はからい。「沙士」は独特の風味が特徴の炭酸飲料で、台湾では風邪をひいたら塩を加えて飲むともいわれる国民的商品。
きのうの試合で台湾は1回、大歓声に迎えられた陽がセンターバックスクリーン左横に飛び込むホームランを打ち放ち先制。SNSのファンページには「沙士が飲めるぞ!」などの喜びの声が投稿された。その後2回では日本に4点の大量得点を許し、8回で1点を奪うも巻き返しとはならず、2−4で日本に2敗目を喫したが、球場では約束どおり沙士が配られ、受け取ったカンを片手に写真を撮影するファンも。
陽は「有言実行できて嬉しい。ただきょうは惜しかった。チームはよいプレーをしているので、最後の1戦での勝利を信じている」とコメント。日台強化試合は今夜、天母球場(台北市)で第3戦が行われるが、ファンは2本目が飲めることを心待ちにしている。
楽しい休日が一転 高波にさらわれ8人死亡/台湾・新北
新北市政府消防局によると、同市東部・貢寮区の海岸で9日、野外学校のイベント参加者らが高波に飲み込まれ、そのうち小学生2人を含む8人が死亡、8人が負傷した。
事故はきのう午後発生。同市樹林区にある生涯学習センター(社区大学)の講師とその受講者ら26人が龍洞地質公園で授業を行っていたところ、突然の高波に襲われ数名が海に流された。消防局では通報を受け救助艇やヘリコプターなどで捜索に当たり、小学生2人を含む女性7人と男性1人が救助され病院に運ばれたが、その後いずれも死亡が確認された。
辛くも難を逃れた人は当時の状況を「高波が押し寄せてきて、みんな散り散りになって逃げた。海に流された人もいた」、「5メートルくらいの波が3回も押し寄せてきた」と語った。また、生存者も逃げる際に転ぶなどして負傷したという。
現場付近を管理する交通部東北角風景管理処は10日、管理を強化し特定の期間には(立ち入りを)制限する必要があるとして今後の対応を検討するとしている。現場には高波への警戒を促す警告看板が2カ所に設置されているが、過去に同様の事故が発生したことはないという。
中央気象局によれば、きのうの東北角一帯は5〜10メートル程度の風が吹いていたとしながらも、事故を起こした高波は台風30号の影響によるものだとして、10日も引き続き突然の大きな波に注意するように呼びかけている。
国際自転車競技 日本人選手が女子ベスト記録/台湾
交通部観光局が主催する「2013年台湾サイクリング・フェスティバル」が9日から開催され、マウンテンバイク・レースの「台湾自行車登山王挑戦」(自転車KOMチャレンジ)では、イランのラヒン・エマミ選手と日本の與那嶺恵理選手がそれぞれ大会優勝と女子ベスト記録に輝いた。
地元台湾をはじめ、日本、アメリカ、カナダ、イタリアなど28カ国・地域から集まった440人の選手は9日午前、花蓮・七星潭を出発、タロコ(太魯閣)渓谷などの景勝地を経由し合歓山武嶺を終点とする距離105キロメートル、高低差3275メートルのコースで速さを競った。エマミ選手は3時間26分59秒の成績で大会優勝を獲得、與那嶺選手は4時間16分12秒で大会51位で女子ベスト記録に輝いた。
一方、台湾の選手では去年台湾チャンピオンの座を射止めた王胤之が3時間27分53秒で3位となり、競技前に宣言した3時間30分の目標を達成した。王選手は2位のイラン選手・ザガリと27秒の僅差だった。
去年に続いてアジア1位となり2連覇を成し遂げた王選手は試合後、「レースの後半で3位と5位の間を維持し、最後の1.5キロで全力を尽くした」と競技の経過を振り返った。
また日本国内のさまざまな自転車大会で優勝経験を持つ與那嶺選手(22)は、日本では今回のような登山レースに参加した経験はなく、貴重な体験になったと感想を語った。