<中国人訪日客“爆買い”実態調査>月収の2倍超の買い物も、購入の決め手は?
唯一衝動買いする商品とは?不人気なのは意外なあれ?
中国人訪日観光客が急増し、“爆買い”が日本の景気を下支えしているが、その実態が「訪日中国人旅行者の実態アンケート」結果で明らかになった。大半が事前に情報収集しており、役に立ったのは訪日経験のある中国人からの口コミ。人気の商品は化粧品、ファッションで、特にファッションは衝動買いの傾向があることも分かった。7割以上が自分の月収以上の買い物をし、「デザイン」と「価格」が決め手。次の訪日では「大都会以外」に足を伸ばしたい人が多かった。
日本の大手広告会社ADK(アサ・ツー・デーケー)と中国国営新華社の合弁会社である東方三盟公共関係顧問有限公司(本社上海)が調査した。調査対象人数は120人(男性47人・女性73人、20歳~40歳が中心)。今年7月に大阪~京都に4泊5日の社員旅行(在上海中国系企業所属)に行った中国人から収集、60%が初訪日だった。月収の中心帯は5000~20000人民元(9万5000~38万円)。訪日の回数は1回目が39%、2回目は44%、3回以上は17%だった。
調査結果によると、3人に1人はスマホで日本の情報を収集、3人に2人は旅行前に情報収集している。まったく情報収集せずにガイドの案内に頼るのはわずか13%にとどまった。渡航前に日本の旅行商品を検討する際、「最も役に立った情報源は?」との問いに対して、中国版ツイッター(微博)や在日中国人情報より、以前日本に行ったことのある中国人の口コミが最も有益な情報源と答えた割合が高かった。
「日本でのショッピングで不便と感じたことは?」との問いに対しては、
(1)商品の特徴が分からない、
(2)中国語が通じない、
(3)類似商品が多くてどれがいいか選べない
―の3点を指摘する回答が多かった。「日本製品を買った理由は?」との質問に対しては、「品質がいい」「ニセモノではない」「デザインかいい」「価格が安い」―などを挙げた人が大勢だった。
「再度訪日する際、してみたいことは?」との問いに対しては46%が「東京、大阪以外の空気のきれいなところに行きたい」と回答。大都会以外に足を伸ばしたい考えが多いことが分かった。
◆高額製品を買うのは「富裕層」だけではない
東方三盟公共関係顧問有限公司はアンケート結果を踏まえて、日本の観光業者の留意すべきこととして以下の点を指摘している。
訪日中国人の大半が渡航前の情報収集に注力。その際、使われるのは「観光ウェブサイト」と「ポータルサイトの旅遊ページ」。情報収集の中で重要視するのは「観光評論家」や「在日本の中国人知人」ではなく、「日本に行ったことのある人の口コミ」。訪日客の満足度を高めることによって、帰国した訪日客が良いコメントを伝え、それが評判になり、選んでもらえる。
また全体の72%が自分の月収以上の買い物をしており、30%以上が月収の2倍以上の買い物をしている。高額商品であっても、ターゲット層を「富裕層」などと決めつけないこと。収入だけでターゲット層を決めると、見込み客を逃してしまう。
商品の特徴については中国語表記が必須。類似商品が多くなぜこの商品がよいのか分からない訪日客が多い。買い物時間が限られているので、一言で他社との違いがわかり、「商品を買わなくてはならない理由」を端的に中国語で明示することが肝要だ。
たとえ訪日客の事前買い物リストに入ってなくても、ファッションなら「衝動買い」してくれるチャンスがあり、店頭ディスプレイや店頭呼び込みで、購買の可能性を高められる。それ以外の商品は、買い物リストに入ることを第一に目指す。
「品質がよい」のは最低条件で、差別化にならない。「デザイン性」「価格」が重要だ。「日本製」であることだけでは勝負にならない。
「ファッション」と「化粧品」は非常に満足度が高く、リピーターになる可能性が高い。一方、お酒、工芸品は2度と買いたいと思われていないので、大幅な改善が必要だ。