国内最大の指定暴力団山口組(神戸市)から最大勢力の山健組など十数団体が脱退し、新組織設立の動きを見せている分裂騒動で、脱退団体は当初、予測された数よりも下回っていたことが29日、捜査関係者への取材で分かった。警察当局は、土壇場になって説得を受けるなどし、脱退を踏みとどまった団体が増えたとみて、情勢分析を急いでいる。
「当初は関西を中心に四国、九州の最大30団体が抜けるという情報だった。ふたを開けてみて、あまりに少ないので拍子抜けした」
ある捜査関係者は今回の分裂騒動について、こう漏らした。
関係者によると、脱退したのは5代目組長の出身母体で、直系組織として最多となる約2000人の構成員を抱える山健組をはじめ、十数団体。当初、脱退が予測されて十数団体が切り崩しを受けて脱退を踏みとどまり、山口組に残留する道を選んだとみられるという。
山口組をめぐっては1984年から89年にかけて4代目組長就任をめぐる内部対立から独立した一和会との間で死者25人を出す「山一抗争」が発生。山口組の脱退派に対する激しい切り崩し工作で一和会は解散、メンバーは山口組に再吸収された。
別の捜査関係者も「過去に山口組を脱退した直系組織はことごとく、切り崩しにあって解散の憂き目にあっている。いったんは脱退の意思をみせながらも土壇場で説得され、翻意した組織も多いのでは」と指摘する。
山口組が27日、脱退するなどした13団体に対して、出した制裁処分についても温度差が表れている。山健組や宅見組など5団体を暴力団社会からの永久追放する「絶縁」の重い処分にしたのに対し、ほかの8団体は将来的に復帰も可能な「破門」にとどめた。
山口組関係者は「山口組による脱退団体の切り崩し工作は早くも進んでいる」と話している。