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神戸山口組と住吉会有力団体が共闘か 結成式に「幸平一家」総長が出席で急展開

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国内最大の指定暴力団山口組(総本部・神戸市灘区)の分裂問題で、脱退した13団体が大きな動きを見せた。5日には脱退派のトップらが、全国各地から神戸市中央区の山健組事務所に集結。山健組を最大勢力とする新勢力「神戸山口組」の結成式が正式に開かれた。会場では、今後の勢力争いに大きな影響を与えそうな関東を拠点とする第三勢力の重要人物も姿を見せた。暴力団社会の大きな再編に発展する可能性があり、警察当局は警戒を強めている。

 神戸市内の観光地、元町近くにある山健組事務所は5日、横付けされた車列の1台から、事務所内に入る男性の姿が見られた。東京を拠点に暗躍する指定暴力団住吉会(本部・東京都港区)の直系団体「幸平(こうへい)一家」を率いる加藤英幸総長(68)だ。到着時には、多数の組員がガード。厳戒態勢で出迎え、あたりは緊迫した雰囲気に包まれた。

 組事務所では朝から「神戸」や「大阪」「京都」「福井」など全国各地のナンバープレートを付けた車が集結。脱退派13団体のトップらが一堂に会した。

 新団体の名称は「神戸山口組」で、組長には山健組の井上邦雄組長(67)、副組長に入江禎(ただし)・宅見組組長(70)、若頭に寺岡修・侠友会会長(66)の就任が決まった。

 13団体のほか山健組傘下の1団体を昇格させ、拠点を侠友会事務所(兵庫県淡路市)に置くとの情報もある。構成員は3000人規模になるとみられ、山口組全体(約1万300人)の約3割を占める。構成員約2000人を抱える山健組が中核になっている。

 結成式が開かれた事務所向かいのビルに複数の幹部が移動する中、加藤総長は山健組トップの井上組長が先導する形で会場入りしており、その存在感を際立たせていた。

 住吉会は山口組に次ぐ勢力を持つ指定暴力団で、構成員は約3400人。幸平一家は東京都板橋区に本部を置く直系組織で、幕末の侠客(きょうかく)が結成した長い歴史を持つ。傘下の組織は新宿・歌舞伎町を「シマ」(縄張り)としている。

 加藤総長は幸平一家の13代目で、住吉会でも執行部の幹部を歴任。井上組長とは「兄弟盃」を交わした間柄とされており、神戸山口組の正式結成に際し「立会人」などの立場で出席したとみられる。

 今回の加藤総長の出席が、井上組長との個人的な付き合いを重視したものか、または住吉会と新組織との連携を意味するものなのか。

 捜査関係者は「幸平一家は住吉会の直系組織の中でも上位の勢力を持つ。加藤総長の姿を報道関係者に見せることで、新団体の存在感をアピールする狙いもあったのでは。ただ、山口組は山健組の井上組長を暴力団社会からの永久追放を意味する『絶縁』の処分にし、住吉会側にも通告しており、加藤総長の行為は山口組にケンカを売っているのと同じだ」と分析する。

 暴力団事情に詳しいジャーナリストの須田慎一郎氏も「加藤総長は新組織を率いる山健組の井上組長とは兄弟分のような関係だ。こんな状況の中での会合への出席はパフォーマンスとしての側面があるように思う。今後も両組の友好関係を崩さないという姿勢を改めて示した格好だ」と指摘する。

 捜査関係者によれば、幸平一家は、分裂騒動が勃発した直後に、新組織への参加が取り沙汰されたこともあったという。

 首都圏で活動する関東の有力組織が、旗幟(きし)を鮮明にしたことで山口組と新組織との対立の構図にも変化が起きそうだ。

 「幸平一家は住吉会の中でも一、二を争う組織だ。新組織側がその後ろ盾を得た意味は大きい。九州にも山健組を支持する勢力があるという話もあり、暴力団社会の中で大きな再編の動きに発展する可能性がある」(捜査関係者)

 山口組執行部を牛耳る弘道会(名古屋市中村区)と新組織を率いる山健組のシマは、都内の繁華街でも複雑に入り込んでいるとされる。

 2つの組織の争いのなかに住吉会が絡んでくることで、首都圏は大きな火種を抱え込むことにもなる。

 須田氏は「ここ最近、都内では弘道会がどんどん流入してきて、それまでの住吉会や山健組のシマやシノギ(資金獲得活動)を侵食するようになっていた。イケイケドンドンの弘道会のやり方が各地で摩擦を引き起こしていた。特に山健組、弘道会、幸平一家がそれぞれシマを張る歌舞伎町は衝突の危険が高まっている」と警告。一触即発の危うさが漂っている。








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