「お、お、お巡りさん、早く来てください。たぶん子どもの死体です。目の前にあるんです!!」――。浙江省諸〓市警察に通報があった。年配の女性の怯えた声だった。「事故か? ひょっとしたら事件か?」。署内に緊張が走った。警察官が現場に急行した。銭江晩報が伝えた。(〓は「既」の下に「旦」)
通報があったのは8日早朝。女性の清掃員からだった。道のそばの草むらに、子どもの遺体があったという。警察官がただちに現場に向かった。
女性清掃員は60代。警察官が到着した時、震えていた。「もうびっくりしてしまって。早く行って、見てください」と、草むらを指差した。
警察官は、女性が指し示す先を見た。中国でよく用いられる、ビニールで編んだ布で作った袋があった。成人の遺体を入れられるほどには大きくない。しかし袋の上端から、人の頭のようなものが見える。黒髪に覆われている。
すぐに確認せねばならないが、不用意に近づいたり動かしたりすることはできない。警察官はカメラを構え、写真を撮りながらゆっくりと近づいた。
袋の置かれている場所に達した。上端から見える「人の頭」を詳細に見た。それまで慎重に作業を進めていたのに、やや乱雑に手をかけた。袋から「首」が転がり出た。女性の顔だ。目は閉じている。長いまつげが印象的だ。唇は赤い。ビニール製だった。
体の部分も見つかった。首から切り離されて「ぐにゃぐにゃ」の状態だった。女性の等身大の人形、空気を入れて膨らませて使うタイプの商品だ。紙製の包装箱に入れられていた。箱は濃いピンク色で、扇情的な白人女性の姿と「商品の完成図」と思われる写真が印刷されていた。「CRAZY LAURA(クレージー・ローラ)」との“身元の表示”もあった。
現場の草むらの周辺は樹木が多く、早朝には日当たりが悪い。袋に入れられていたために派手な包装箱も見えず、清掃員は「袋に入れられた子どもの死体」と勘違いしたという。
「真相」が判明しても、女性清掃員の激しい動悸は、なかなか収まらなかった。路上に多くの警察官がいれば、人目を引く。通勤の途中だろうか、多くの人が横目で見ながら通り過ぎる。
「何かあったのだろうか」と足を止める人も出始めた。事情を知り、捨てられていた「ダミー女性」を見て、口々に「こんな物をそこらへんに捨てるなんて、どうかしてるよ! びっくりするじゃないか。民度が低すぎる!」などと憤慨したという。