中国本土の地方公安局から、台湾の地方警察へ送られた「捜査命令」の通知書が、混乱を招いている。中央政府を通さない要請は、両岸犯罪捜査協力協定に違反しているためだ。「台湾は中国の一部か?」と地方警察幹部は怒りをあらわにした。台湾地方紙・大成報が12日に報じた。
7日、台湾高雄市の塩テイ区警察に、広東省恵州市博羅県の警察から、ある通知書が届いた。博羅県収容所に留置されている、台湾出身の黄という容疑者の家族に連絡をとるよう要請するものだった。容疑については明らかになっていない。
手紙の内容は、実質、博羅県公安局が調べる事件の詳細と、黄容疑者の背景を探るための「捜査要請」にあたるものだった。塩テイ区警察幹部は、「一体何が起きているのか。台湾は中国の一部か?(地方警察が)捜査を命じてきた」と台北時報に述べた。
中国と台湾は2009年、犯罪捜査と司法の相互協力協定を結んでいる。それによると、本土が犯罪捜査協力を求める場合、台湾中央政府が管理する、刑事捜査局の両岸情勢部を通じなければならない。
台北時報によると、高雄市警察署長・陳家欽氏は、博羅県公安の通知書はルールを犯すものだとして、塩テイ区警察に「台湾の地方警察は、中国本土の地方公安と警察からの要請に応じないよう」命じたという。