この夏、日韓国交正常化50周年のセミナーで「韓国はなぜ日韓協力の成果をちゃんと国民に教えないのか」と韓国側を追及したところ「国内で歴史認識の対立があって正直に語れないのだ。理解してほしい」といわれた。日韓対立の前に“韓韓対立”があるというわけだ。
韓国政府が最近、現行の検定制度下の歴史教科書(複数)は左翼的に偏向しているとして、単一の国定教科書に戻す方針を発表し大騒ぎになっている。歴史大好きの国だからこれはただでは収まらない。
同じくこの夏、ソウル中心部の「大韓民国歴史博物館」が光復70周年記念で大々的な「70年展」をやっていた。その展示を見ると、1965年の日韓国交正常化はそれに反対した学生運動の方が大きく出ていた。「漢江(ハンガン)の奇跡」といわれた高度経済成長についても、スラム街や下積み労働者の生活、焼身自殺した活動家のことなどがやたら大きく展示されていた。
歴史教科書とともに国営の博物館さえも、国家的なことより反対勢力のことを重視する左翼偏向になっているのだ。日本のことを肯定的に紹介すると左派系からたちまち圧力がかかる。国定化に反対し「多様な歴史観」を主張する左派が、右派の歴史教科書には執拗(しつよう)に反対するという矛盾は日本と同じだ。