中国の国際法を無視した南シナ海の岩礁埋め立てをめぐり、オバマ米大統領が朴槿恵(パク・クネ)大統領に突きつけた“踏み絵”に、韓国政府が大混乱している。尹炳世(ユン・ビョンセ)外相が火消しに走ったが、かえって炎上、国内メディアも対中の弱腰姿勢を批判した。
16日の米韓首脳会談後の共同記者会見でオバマ氏は、中国が国際規範に反する行動を取った際には「韓国が米国と同じ声を上げることを期待する」と述べ、中国傾斜を続ける朴氏に踏み絵を迫った。発言は中国の南シナ海問題を念頭に置いたものというのが共通認識だったが、親中の朴政権にとっては都合が悪い。
そこで尹外相は19日の国会答弁で、「(首脳会談では)南シナ海の『南』の字も出てこなかった。一部のメディアが誤って解釈したものだ」と強調した。
しかし、聯合ニュースは、尹氏が同日午前にソウル市内で開かれた会合の基調演説で、「(朴氏の)先週の訪米時にオバマ大統領が南シナ海問題について言及した」と述べていたと報じた。
矛盾する発言について、外交省の当局者は報道陣に「(尹氏が)演説を読む過程でミスをした」と苦しい言い訳をしたが、韓国メディアもさすがに収まらない。
東亜日報は21日の社説で「(韓国外交省は)マスコミをばかにしている」としたうえで、「韓国が中国の顔色をうかがって環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加の機会を逃したことに続き、高高度防衛ミサイル(THAAD)配置でもあいまいさを駆使するので、米国で韓国の安保ただ乗り論が出てくるのだろう」と朴政権の二股外交を厳しく批判した。