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VW不正問題で追い風?と思いきや日本車メーカーにも不穏な兆候

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世界販売台数でトヨタと熾烈な争いを続けるフォルクスワーゲン(VW)が今年1~9月でトヨタに首位の座を譲った。

しかも、これはVWのディーゼル車の排ガス不正問題が発覚する前の数字。スキャンダルの影響が出てくる今後は、ますます販売台数は落ち込むだろうと見られている。

さらに今回の不正問題をきっかけに、これまでディーゼル天国だった欧州でも、一気に規制強化の流れが加速するのは間違いない。

最大のライバルであるVWが自らの不正で失速し、今後のディーゼル規制が強化されるのならハイブリッド技術で世界をリードする日本メーカー中でもその盟主であるトヨタにとっては大きなチャンスのはず。

間もなく発売される新型プリウスはリッター40kmという驚異の燃費を実現しているという話だし、ここで一気に「一強体制」を確かなものにするのでは? だが、自動車評論家の舘内端(たてうちただし)氏がこう語る。

「いや、そのトヨタも決して油断はできません。先日、トヨタが『2050年には脱エンジン』を宣言し、EVやFCV(燃料電池車)など将来的な電動化車両へのシフトを明確に打ち出しましたが、FCVにはコストやインフラ面で課題が多く、現実的にはPHV(プラグインハイブリッド車)やEVなどが主流になってゆく可能性が高い。

そうなると今後、本格的なPHV、EV時代を迎える際に勝負の分かれ目となるのがバッテリーに関する技術です。

ところが、この分野で数年前まで世界No.1だった日本の技術が、韓国や中国の企業によるヘッドハンティングなどで海外へと流出してしまい、トヨタをはじめとした日本の自動車メーカーは以前ほどのアドバンテージを持っていない。

一方、今回の事件の『火元』となったVWをはじめとして、ドイツのメーカー各社は着々と優れたバッテリー技術を囲い込み始めている。自動車メーカーの未来は、バッテリー技術が握っているのです。ここで判断をひとつ間違えれば、たとえ“巨人トヨタ”といえども一瞬にして危機に直面するかもしれないのが自動車業界の近未来なのです」(舘内氏)

生き残りをかけて、仁義なき戦いと合従連衡が続く自動車業界。今回のVW事件で本当に得をするのは誰なのか? その答えはまだわからない。

だが、強まる環境規制への対応が、そのカギになることはどうやら間違いなさそうだ。



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