尖閣は日本の領土=李元総統が講演
台湾の李登輝元総統が16日、台北市内のホテルで日本企業の駐在員らを前に講演を行った。李氏は台湾も領有権を主張する沖縄県・尖閣諸島について、「国際法的に見ても日本の領土だ」との認識を改めて示した。
李氏は「今ある問題は尖閣諸島を中心とした漁場を台湾の漁民も利用できるかだ」と指摘。日台の漁業交渉の進展に期待を示した。
一方、李氏は安倍晋三首相のリーダーシップを高く評価し、「20年の不景気を経て、日本はやっと立ち上がることができた。これが継続されることを望む」と述べた。
李氏は15日に91歳の誕生日を迎えた。質疑応答を含む講演は全て日本語で行われ、李氏は約1時間熱弁を振るった。
中華航空、中華風おせち機内食提供
中華航空は旧暦の大晦日にあたる1月30日〜新年2日目の2月1日まで、桃園空港、松山空港を出発する一部の便のファーストクラスとビジネスクラスで中華風おせち料理の機内食を提供する。期間中、「カラスミの玉子焼き」や鶏肉をじっくりと煮込んだスープの「仏跳牆」、家庭円満を願う「酒醸干焼蝦球」など新年の縁起物といわれる食材をふんだんに使った料理を提供し、新年の訪れを盛り上げる。一方、アンバサダーホテルとのコラボ機内食は4月1日から日本、中国路線で提供する。
経済部、太陽光で210億元の新商機
経済部能源局は16日、今年の太陽光発電設備の導入目標を従来の572MWから607MWに、来年に関しても747MWから847MWへと上方修正した。今年の投資額は昨年比210億台湾元増、設備容量も50%増が見込まれる。国内の太陽光発電設備の9割は台湾製で、今回の上方修正は地場業者にとって朗報となる。
レノボ、コンパルとの合弁企業を完全買収か
レノボが、2011年に仁宝電脳(コンパル)と設立した中国の合弁企業・聯宝電子科技を完全買収するとのうわさについて、コンパルの陳瑞聡・総経理は16日、「金額次第だ」と朗らかに笑った。台湾の業界ではコンパルの技術とノウハウがレノボに流れることを危惧する声も上がっている。しかし、陳総経理はレノボのコスト構造では100%自社製造は不可能として自社の優位性に自信を見せ、聯宝の持ち株比率に変更はなく増資の計画もないと述べた。
CNNが「台湾の魅力10」を発表
米CNNが、台湾が他の地域に比べて優れているとする10の項目を発表した。屋台街やテーマレストラン、無線LAN、野球などが挙げられた。交通部観光局では、風光明媚な景色よりも親しみやすいアジア的なライフスタイルのほうが現在の台湾観光の大きなモチベーションになっているとしている。CNNは台湾の魅力として、スイスより小さな土地に300カ所ほどある夜市を真っ先に挙げたほか、トイレや学校、監獄などをモチーフにしたテーマレストランを紹介した。
台北ランタンフェスタ、メインランタン発表
台北市は16日、今年の台北ランタンフェスティバルで設置されるメインランタンのデザインを公開した。資源回収で集められたコンパクトディスク(CD)を組み合わせた光り輝く巨大な馬だ。2月7日から花博円山・美術公園で開催されるのに先立って公開されたメインランタンは高さ14メートル、長さ11メートル、幅11メートルの駿馬。台座には貨物コンテナが利用され、市民の願いごとが書き込まれた1万7868枚のCDが取り付けられる。」
謝長廷氏、民進党主席に意欲
元行政院長の謝長廷氏は16日、ラジオ番組で民進党執行部の中国政策を批判していることで「主席選挙に立候補するウオーミングアップ」かと問われ「否定も肯定もしない」と答えた。蘇貞昌主席が唱えている相互の能力を尊重しあう「中国加一」を問われ、「内容がハッキリわからない。どうして『台湾加一』ではないのか」と疑問を呈し、「選挙を前に対中政策を調整しているが有権者を騙してはいけない」と語った。
花蓮県の農家、日本のコメのコンクールで受賞
コメのコンクールとしては日本最大級の「米・食味分析鑑定コンクール」で、花蓮県の彭鏡興さんが受賞し、このほど県から表彰状と賞金10万台湾元が贈られた。 同コンクールは昨年11月、宮城県七ヶ宿町で第15回大会が開かれた。彭さんが出品した「台中194号」は世界中から集まった4000近くの検体の中から、金賞に次ぐ特別優秀賞に選出された。彭さんの受賞は2008年に海外からの出品が認められて以来3回目。
大沢たかおが来台、映画「KANO」宣伝で
2月末に公開予定の映画「KANO」で、八田与一を演じた大沢たかおが16日、プロモーションのため台湾を訪問した。台湾でも「JIN-仁」の放送ですでにお馴染み。記者会見では、ロケで習得した台湾語を披露したが、通じなかったよう。大沢はきょう17日、台南の烏山頭ダムを訪問し、そっくりさんと評判の頼清徳・台南市長と会見する。頼市長は医師出身で大沢も「JIN-仁」で医者を演じていた。
群創、4K液晶TVパネルのシェア64%に[IT]
市場調査会社、集邦科技(トレンドフォース)傘下のウィッツビューは15日、4K(約4,000×約2,000ピクセル、4K2K)規格テレビ向け液晶パネルの2013年の世界での出荷量が310万枚だったと発表した。メーカー別シェアでは、群創光電(イノラックス)が64%でトップ。3位の友達光電(AUO)と合わせると台湾勢で76%を占めた。
4Kテレビ向けパネルの出荷量は、昨年第1四半期には18万枚だったのが第3四半期には約118万枚と急増、第4四半期は前年同期比約14%増の134万枚と順調に伸びた。
ウィッツビューの陳建安・資深研究経理によると、昨年のシェアが64%に上った群創は、50インチ以上のハイエンド製品だけでなく製品の多様化を図り、85インチの大型パネルや39、40、42インチなどの中・小型製品も開発して市場をリードした。群創はソニーや韓国サムスン電子、中国の海信(ハイセンス)など各国の大手企業に4Kパネルを供給している。また3位の友達のシェアは12%。ソニーや東芝向けに加え、昨年下半期からは中国企業への供給も開始した。
中国・TCL集団傘下の華星光電技術(華星光電)は、55インチの4Kパネル生産で中国国内各社のサプライチェーン入りし、友達を上回るシェア14%を確保した。ウィッツビューは、今年の4Kパネル市場について、中国市場を照準に50インチ以下の開発が進むと予測している。
米や豆を煮込むだけ!ヘルシーで体に優しい中華粥の定番「八宝粥」
中国や台湾で旧暦12月8日に作られ、供えられているのが「八宝粥」。仏教の教えによるものだが、近年では栄養がとれるヘルシー料理として人気。雑穀や豆類、木の実など体に良い具材をゆっくり煮込んで、いただくお粥。中華圏の人々の健康法を取り入れてみよう。(写真はサーチナ編集部撮影)
中国や台湾で旧暦12月8日に作られ、供えられているのが「八宝粥」。仏教の教えによるものだが、近年では栄養がとれるヘルシー料理として人気。雑穀や豆類、木の実など体に良い具材をゆっくり煮込んで、いただくお粥。中華圏の人々の健康法を取り入れてみよう。
中国メディアによると、お粥作りにベストなのは「土鍋」。水につけた黒米を少し煮た後、調味料や具材を加え、20分から30分程度煮込む。中国のサラリーマンに人気の具材は肉類で、イメージよりもがっつりした料理として食べているよう。また消化が良いため、胃腸が弱い人や便秘がちな人にも効果的で、健康面を気遣う人や体の弱い部分を治したい人々にも好まれているようだ。
一般的な材料は、黒米・黒豆、ピーナッツ・はと麦・ユリ根・くるみなどで、ぐつぐつと煮込むだけ。黒米は3〜4時間程度、硬めの材料は事前に水にひたし、やわらかくする必要がある。また土鍋よりも時間を短縮したい場合は、「圧力鍋」がお薦め。5分程度であっという間に出来あがる。そして時間はかかるが、どの家庭にもある炊飯器での調理も可能。炊飯器に材料すべてと多めの水を入れ、スタートボタンを押す。20分後にふたを開け、米のやわらかさなど煮込み具合をチェック。好みのやわらかさになったら、保温モードに切り替え一晩置くなどして整えるとのことだ。
日本人は黒米よりももち米や雑穀米が使いやすく、味の面でも食べやすいかもしれない。小豆や氷砂糖を入れて甘さを出すのも良いだろう。ゴマやナツメなど比較的入手しやすい食材や、好きな具材で、自己流の八宝粥を作ってみるのも良さそうだ。
時間はかかるが、煮込むだけなので手間はほとんどかからない八宝粥。中華圏のスーパーでは、缶入りやレトルトで売られているほど一般的なので、試食感覚で食べて参考にすると良いかもしれない。そして自分好みの具材や味付けを研究してみよう。
台湾の農業者、日本最大のコメのコンクールで受賞
自慢のブランド米「天禾玉」を手にした彭鏡興さんと父親の文球さん。
コメのコンクールとしては日本最大級の「米・食味分析鑑定コンクール」で台湾花蓮県の彭鏡興さんが受賞し、15日に県から表彰状と賞金10万台湾元(約35万円)が贈られた。
このコンクールは昨年11月、宮城県七ヶ宿町で第15回大会が開かれ、彭さんが出品した「台中194号」は世界中から集まった4000近くの検体の中から、金賞に次ぐ特別優秀賞に選出された。彭さんの受賞は2008年に海外からの出品が認められて以来の3回目。
彭さんは高級職業学校(高専)時代に化学工学を専攻していたことから、化学肥料や農薬を使わない有機農法にこだわり、また、コメの加工業者や卸売業者から生産者の利益を守ろうと、近年はコメのブランド化にも力を入れている。これら地道な取り組みが実って年間収穫量360トンの彭さんのコメはいつも売り切れ状態だという。
国産IDF改良型戦闘機 馬総統「F-16に近づいた」
馬英九総統は16日、国産のIDF(経国号)戦闘機の改良型、IDF C/D戦闘機の性能について「米のF-16に近づき、一部の装備はそれを上回る」と語り、高度な攻撃能力に絶対の自信をのぞかせた。
これは空軍が行った記念式典で発言したもので、台湾は昨年P-3C哨戒機や攻撃ヘリコプター・AH-64Eアパッチを米から購入したものの、IDFは国産だと強調。「小F-16」の異名を持つことにも言及し、「大変な成果だ」と賞賛した。また20年以上の使用で軍内部からの評判も良いとし、機種名にかけて「I do fly」、「I do fight」と述べ、開発当初に各界からあがった「I don’t fly」と揶揄する声を一蹴した。
また、今回初めて「万剣遥攻武器系統」と呼ばれる、クラスター型誘導爆弾発射装置が搭載されたIDFが公開された。衛星利用測位システム(GPS)の働きにより、敵の空港設備や港湾施設、ミサイル・レーダー基地などの軍事拠点機能をマヒさせるほか、大きな殺傷能力も擁する。
空軍によると現在までに71機のIDF改良型戦闘機を完成させており、立法院の資料では2017年までに全てのIDF戦闘機に誘導爆弾発射装置を取り付けるとしている。
このほか馬総統は幼い頃の思い出を語り、母親から中華民国空軍のエースパイロットとして活躍した高志航が日本軍に立ち向かい自らを犠牲にした物語を聞かされていたとし、空軍をはじめとする国軍に対し深い尊敬の念を抱いていると述べた。
台湾の映像アーティスト、東京表参道ルイ・ヴィトンでの展示に出展
東京表参道のエスパス ルイ・ヴィトン東京で18日から開催される「Traces of Disappearance(消失の痕跡)」展に台湾のアーティストの映像作品が出品される。
今回、ルイ・ヴィトン側の要請を受け出展するのは国立台北芸術大学ニューメディアアート学科副教授の袁広鳴(ユエン・グアンミン)さん。袁さんの作品は7階の展示スペースと1階フロアの最も目につく所でそれぞれ1点ずつ配置される。1階の作品(=写真)は閉店後も放映し、朝までそばを通行する人々の目にとまることになり、袁さんは驚き喜んでいる。
袁さんによるとこれらの作品は外省人第2世代で日本人女性と結婚したという自分の人生に深くかかわっているものだという。また、台湾そのものが過去にオランダや日本などの植民統治を受け多様化したばかりか、現在もグローバル化の波にさらされ、その主体性や立脚点は揺らいで曖昧になりがちだと指摘した上で、作品を通して解決方法の提示ではなく、台湾の混沌とした不明瞭な現状を表現したかったとしている。
同展ではこのほか、フランスのアンヌ&パトリック・ポワリエ氏、オーストリアのカスパー・コヴィッツ氏、日本の畠中直哉氏による各種アート作品が展示される。
ミシュラン3ツ星「龍吟」の山本シェフ、台湾に店舗オープン
経営するレストランが、世界的に知られる評価本「ミシュラン・ガイド」で最高の3つ星を獲得。業界を始め広い知名度を誇る日本料理人・山本征治さんが、台湾にレストランを開店させるという。現地メディアが伝えた。
テレビ局「民視(民間全民電視、FTV)」は、「香川県出身の山本シェフは、若い時から和食の料理人になることを志し、33歳の時に六本木や海外でレストランを開き有名店にした。食材のうまみを最大限に引き出す方法を、常に考えている料理人だ」などと、プロフィールを紹介。1970年生まれの山本さんが、若いうちから注目され、日本料理界を先導してきた人物であることを伝えている。
続けて日本の自然環境を大切にし、四季の恵みを感じる食材を生かしていることなどに注目し、「日本人の誇りは日本料理で味わえる。予想を裏切り、お客さまを驚かせる料理を作っていきたい」といった、山本さんの掲げるポリシーも伝えた。「日本料理の可能性を追求する使命感を抱く山本シェフの魅力ある料理を、台湾でも味わえるようになる」と期待感を込め、報道を締めくくった。2014年中にも、山本シェフが経営する日本料理店が台湾にオープンするそうだ。
山本さんの日本の店は東京・六本木の「日本料理 龍吟(りゅうぎん)」で、公式サイトによると基本はコース料理を提供しており、金額は1人23100円(税込、サービス料別)。前菜から肉・魚そしてデザートまで、日本の味を堪能できるようだ。夜9時以降に注文できる、アラカルトメニューも準備しているとのこと。こちらは気軽に山本シェフの味を楽しめそうだ。特集番組が組まれたテレビでは、「料理とは、理(ことわり)を料(はか)ること」という座右の銘を挙げ、自身の持つ料理の技を動画に撮りインターネットなどで公開しているのも、山本シェフの特徴だ。料理人一丸となって日本料理を進化させたい、という思いがあるとのこと。
「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録され、味や内容に改めて興味を持つ台湾の人々は多い。山本シェフによって創り出される料理の数々は、台湾ではどのように受け入れられ広がっていくのだろうか。注目が集まりそうだ。
中国から最も人気の渡航先は香港、日本は7位=2013年
中国公安部の出入境管理局によれば、2013年に中国本土住民のうち出境した人の数は延べ9818万7000人で、前年から18.04%増えた。渡航先で最も多かったのは香港。次いでマカオ、韓国、タイ、台湾、米国、日本、ベトナムという順だった。法制日報が16日伝えた。
中国本土への入境者数が最も多かった国は韓国。以下、日本、ロシア、米国、ベトナム、マレーシア、モンゴル、フィリピン、シンガポール、オーストラリアの順だった。
また、出入境管理局が13年に検査した出入境者数は延べ4億5400万人で前年から5.43%増。密航者は2996人、その他の出入境管理にからむ法律などの違反者は4万9200人だった。
日本時代の農協事務所、特産品のPR拠点に/台湾・雲林
台湾南西部の雲林県・水林で日本統治時代の農協事務所が地元特産のサツマイモなどをPRするためのスポットとして活用されることになり、16日に記念式典が行われた。
この建物は1926(大正15)年に建てられた「蔦松信用組合」で、1970年代前後から40年余りにわたって使用されていなかったが、半年間の改修工事を経て地域おこしに一役買う「蕃薯(サツマイモ)会社」として生まれ変わった。関係者によると、内部には特産品売り場や農具などの展示コーナーも設けられており、来場者は農業を中心とした地元産業への理解を深めることができるという。
雲林県では歴史的建造物の活用に取り組んでおり、今月9日にも1899(明治32)年に造られた派出所が子供向けの読書・文化施設としてオープンした。
日本留学の台湾人画家生誕120年巡回展、あす開幕 東京展は9月
日本統治時代の画家で台湾の油絵の第一人者として知られる陳澄波(1895−1947)の生誕120年記念巡回展示会が18日、最初の開催地となる台南市で開幕する。これに先立ち、オークションで日本円約7億円もの値がついた作品「淡水夕照」(淡水の夕日)が16日初めてお披露目され注目を集めた。
「陳澄波生誕120年記念 東アジア巡回展」と題したこの展示会には陳の絵画や書道作品、関連資料など600点余りのほか、コレクターから借り受けた陳の絵画の代表作60点余り計1000点近くが出展される。このうち世界的なオークションハウス・香港クリスティーズの2007年秋の競売会で2億1000万台湾元(約7億円)で落札された名作、「淡水夕照」の公開は今回が初めてで、頼清徳台南市長は「この得難い展覧会をぜひ皆で見に来てほしい」と期待を示した。
イベントは3月30日まで台南市の市立文化センター、新営文化センター、鄭成功文物館、国立台湾文学館の4カ所で行われ、その後、北京(4月)、上海(6月)、東京(9月)、台北(11月)でもそれぞれ開催される。
陳澄波は嘉義生まれで1924(大正13)年に日本へ留学。「嘉義の町はづれ」(嘉義街外)で台湾人として初めて第7回帝国美術展の西洋画で入選を果たしており、その後も数回帝展に入選するなど優れた画才を示した。
カイロ宣言の“亡霊”
二〇一三年はカイロ宣言七〇周年であった。そのため、多くの記念行事が中国、あるいは台湾でも開かれた。これらはみな、尖閣諸島問題、沖縄の位置づけ、ひいては敗戦国としての日本の立場などを意識したものである。
カイロ宣言は一九四三年にカイロで開催されたカイロ会談の末、十二月一日に発表された、プレスリリース的な文書である。この会議には、アメリカのルーズベルト大統領、イギリスのチャーチル首相、そして中国の蒋介石総統が参加した。中国側は蒋介石のほかにも、その夫人の宋美齢、また王寵恵がいた。
カイロ宣言が問題となるのは、そこに領土をめぐる次の内容が含まれているからである。それは、「満洲、台湾及澎湖島ノ如キ日本国カ清国人ヨリ盗取シタル一切ノ地域ヲ中華民国ニ返還スルコトニ在リ」という部分である。中国や台湾から見れば、「中華民国ニ返還」という部分が重要になる。サンフランシスコ講和条約では、日本は台湾などを「放棄」しただけで所属先は明示されないが、このカイロ宣言では明確にされているのである。
このカイロ宣言は署名もないプレスリリース的な文書に過ぎず、どれほどの効力があるかは疑問だ。だが、一九四五年七月末のポツダム宣言の第八項に「『カイロ』宣言ノ条項ハ履行セラルヘク又日本国ノ主権ハ本州、北海道、九州及四国並ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルヘシ」とあるので、カイロ宣言に意味がないとは言えない。一九五一年九月に締結されたサンフランシスコ講和条約の内容とカイロ宣言の内容が前述のように同じではなく、当然条約のほうが優先されるが、中国も台湾もサンフランシスコ講和会議には参加していないので、カイロ宣言を重視するということになる。
だが、筆者はここでひとつの論点を提示したい。昨今、カイロ会談当時、ルーズベルトが蒋介石に対して、中国による沖縄の領有を再三求めたが、蒋介石がそれを拒絶したという話がある。中国側は尖閣諸島が台湾に属すると言っているのだから、この問題と尖閣諸島問題とが直接関わるわけではないが、この米中首脳会談での沖縄をめぐるやりとりは話題性が高い。だが、このカイロ会談での会議記録それ自体の作成過程が問題だ。
この文書は一九五六年になってアメリカから台湾の外交部に照会がなされて作成されたものである。実はカイロ会談には外交部長らは同行しておらず、外交部に会議記録はなかった。結局、王寵恵のメモをもとに会議記録が作成された。そして、その原案を蒋介石が修正した。その修正過程が、台北の中央研究院で公開されている外交文書からつぶさに明らかになる。
カイロ会談では、宋美齢が蒋の英語の通訳にもなったが、蒋は宋の通訳を通じた会議の模様の記憶と、一九五六年当時の台湾の立ち位置などを考慮して、この会議記録に手を入れたのであろう。いずれにせよ、このカイロ会談の会議記録というのは、果たして歴史学でいう一次史料なのか、という疑問が残る。後世(一九五六年)になって過去を振り返って記された史料(二次史料)に依拠して議論するのは危険である。
領土については「古より」とか「固有の」とかいった言葉がつきまとうが、中華民国でも中華人民共和国でも、二十世紀にはほぼ尖閣諸島を尖閣諸島、あるいは尖頭諸島と呼んでいた。名称を変えたのは台湾で、一九七〇年一月十四日に経済部で開かれた「正名座談会」で「釣魚台列嶼」と呼ぶことが決まった。以後次第に定着し、それにつれて中華人民共和国でも名称を変えていったのだ。
カイロ会談の“亡霊”が東アジアを跋扈した二〇一三年、あらためて「歴史」が話題になった。だが肝要なのは、あまり現在の視点に捉われず、史料に立ち戻って、史料を基点に議論することではなかろうか。
台湾が防空能力向上へ、IDF計画「第2弾」に着手
中華民国空軍(台湾空軍)は16日、427戦術戦闘航空団の戦闘機「F−CK−1」56機の換装・改造作業の開始式典を実施した。同戦闘機を71機保有する443戦術戦闘航空団では、同作業がすでに終了。427戦術戦闘航空団では2017年に完了する予定で、主に中国を念頭に整備されている台湾の防空能力が相当程度に向上されるという。
「F−CK−1」の中国語名は「経国」。蒋介石の息子で1978年から88年まで総統を務めた蒋経国氏の名をとった。台湾では米国のノースロップ社が1950年代に開発した戦闘機「F−5」を使用していたが、陳腐・老朽化のため、米国にF−16の売却を打診した。
しかし、米議会が中国との関係を考えて拒否したため、1980年代になり、蒋経国総統は、戦闘機の自主開発に着手することを決めた。開発には米企業のジェネラル・ダイナミクスなどが協力した。同戦闘機は「経国」と名づけられ、1989年に初飛行、94年に軍が制式採用した。
台湾は、戦闘機「経国」を「自製防御戦闘機(Indigenous Defensive Fighter、IDF)と位置づけ、配備した。その後、米国がF−16戦闘機の台湾への売却を決めたため、「経国」は生産数が減らされたが、台湾が自らによる兵器の開発と生産能力を保持し、向上させたことは、政治・軍事の両面で大きな意義があったとされる。
427戦術戦闘航空団は427、443戦術戦闘航空団に配備されたが、その後、軍用機の分野では世界的に、電子制御などの分野で大きな進歩があった。また、「経国」はエンジン推力の強化が必要とされた。そのため、「経国」の改良型である「雄鷹」が開発された。
主な改良点はアビオニクス(搭載電子機器)や射撃管制システムによる対地攻撃能力の向上、降着装置の改良、増槽の取り付けによる航続距離の延長など。「雄鷹」は改良により、F−16に匹敵する性能を持つようになったとの見方がある。
また、台湾の中央科学院は対地攻撃用巡航ミサイルの「万剣弾」の開発にも成功している。同ミサイルの量産が始まり配備されれば、「雄鷹」はさらに大きな攻撃能力を持つことになる。
台湾では、443戦術戦闘航空団が保有する「経国」を「雄鷹」に改造する作業はすでに終了しており、427戦術戦闘航空団における同作業が終了する2017年には、すべての「経国」が新型の「雄鷹」に生まれ変わることになる。
台湾映画「光にふれる」東京試写会 観客から好評
台湾の文化部と読売・日本テレビ文化センター(よみうりカルチャー)は15日、イイノホール(東京都)で台湾映画「光にふれる」(逆光飛翔)の試写会とピアノ演奏会を実施、感動的なストーリーと美しいの旋律で満員となった客席から喝采をあびた。
同映画は台湾で活躍する盲目のピアニスト、ホアン・ユィシアン(黄裕翔)氏(=写真右1)の実話をもとに本人が主演した作品で、日本では2月8日に公開される。この日は黄氏によってテーマ曲の演奏が行われ、東日本大震災被災地でのチャリティーコンサートの様子なども語られた。
主催側のよみうりカルチャーの田中信明社長は、今後も台湾の文化のをPRするような講座を行うとした上で、今回の試写会と演奏会はよいスタートとなったと述べた。
会場には駐日台北経済文化代表処の沈斯淳代表夫妻も激励に訪れたほか、同処顧問で台北文化センターの朱文清主任は、今後よみうりカルチャーと共同で故宮博物院、著名な書道家の張炳煌氏、台湾料理などに関連した講座を20回にわたって開き、台湾文化を日本の多くの人々に広めたいと期待を示した。
黄氏は今後も音楽活動に努力を重ねたいと意気込みを語り、今年中の発売を目指してアルバム制作に取り組む考えだという。
中毒事故防止へ 台湾の大学が有害物質の濾過材開発
閉め切った室内で給湯器などを使用し一酸化炭素中毒で命を落とす人が後を絶たない中、国立台湾科学技術大学(台北市)が有害物質を除去したり、無害なものに変換する濾過(ろか)材を開発した。不慮の事故防止などに役立つとして期待されている。
これは同大学の化学工程学科の洪儒生教授らの研究チームが開発したマルチ大気汚染観測システムに合わせて考案されたもので、給湯器などに組み込んで、一酸化炭素を二酸化炭素に変換するもののほか、新しい家具や内装材から発生する揮発性有機化合物(VOC)の除去などに特化した濾過材があり、仮に量産化が実現すれば、低コストで導入することができるという。
洪教授は、大気汚染観測システムと濾過材の併用で様々な有害物質などの除去が可能として、今後病院や閉め切った室内などに導入し、空気清浄の手助けになるのではと語っている。
台湾では毎年冬季を中心に一酸化炭素による事故が複数件発生しており、今月1日には嘉義市内のマンションで学生ら2人が死亡、3人が病院で治療を受けたほか、11日にも台中市で中毒症状を訴えた一家4人が救急搬送されている。