安徽省淮南市鳳台県の農村部で10月下旬、川に生活ごみ数千トンが不法投棄された。強烈な悪臭が立ち込め、周辺住民が吐き気で苦しむなどした。容疑者2人が身柄を拘束されたという。
事件が発生したのは、中国でも大河のひとつである淮河の河川敷。10月25日に地元住民から「夜にごみが捨てられている」との通報があり、当局が調査し、ごみの撤去を進めた。同月30日までには2800トンあまりを撤去し、同県内のごみ焼却発電所の敷地内で一時的に保管することにしたという。
ごみの悪臭は強烈で、数キロメートル先まで住民は家の扉を開けられず、洗濯物を室外で干すことができなかった。頭がくらんだり嘔吐するなどで、病院で点滴を受けた高齢者もいるという。
新華社によると、県環境保護局の毛新陸副局長は、捨てられていたごみを検査したが、重金属やその他の危険物質は検出されなかったと説明。さらに信頼できる検査機関に詳しい分析を依頼しており、近くの井戸水で毎日水を採取して、水質への影響を調べているという。
県警察によると、ごみを不法廃棄した容疑者2人の身柄を拘束した。ゴミは浙江省から運んできたもので、10月21日に捨て始めたという。
2人は「浙江省の波止場の責任者を買収して、ごみを入手した」と説明しているという。
中国では、「そんなことをやったら絶対にすぐにばれるだろう」といった犯罪が少なくない。当局も、特定の犯罪や違法行為が多発した場合、「(発覚しないという)偶然の幸運を頼りにするな」と警告する場合がある。
それにしても、上記事件では、周辺住民が体調を崩すほどのごみを同じ場所に何度も捨てれば、違法行為はすぐに発覚し、警察に捕まる可能性は高いと考えそうなものだ。“危険”を冒してまで同様の行為を続けたことは、犯罪者が「偶然の幸運を頼りにする」傾向が強いとされる中国でも異様だ。
新華社によると、鳳台県の警察や環境保護局も容疑者の説明には不審な点があると認識しているという。「生活ごみは合法的に処理しても1トン当たりの費用は数十元にしかすぎない」ことも考えあわせ、ごみの中には処理をするために高額な費用が必要な危険物質が含まれている可能性もあるとして、調べを進めるという。
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◆解説◆
淮河は長江、黄河に次ぐ中国第3の河川。おおむね安徽省より下流は複雑な流路になっており、仮に有害物質が川に入ると、多くの地域が影響を受ける可能性がある。ただし淮河はすでに汚染が深刻だ。流域にはがん発生率が高い地域があり、中国当局も2013年、淮河の汚染度と発がん率の高い地域には相関関係があると発表した。