鎌倉時代のお地蔵様は、見えない所まで金ピカでした――。京都府宇治市の橋寺放生院(はしでらほうじょういん)の本尊、地蔵菩薩(ぼさつ)立像(13世紀、国重要文化財)が、体の表面だけでなく、足の裏にも金粉を溶いた金泥(きんでい)が塗られていることがわかった。
立像は木造の高さ1・93メートルで、普段は非公開。ほぼ全身に金泥を塗った上に極彩色の文様が描かれている。彩色の剥落(はくらく)止めを施すため台座から下ろして横たえたところ、足の裏も金色で、台座に固定する部材のほぞも黒漆が塗られていた。
修理にあたる美術院国宝修理所の橋本麿嗣(まろつぐ)技師は「見えない所は手を抜いてもいいのに。これほど丁寧な仕事は珍しい」と驚く。
灯明のすすで真っ黒だった両眼と、眉間(みけん)の「白毫(びゃくごう)」(知恵を表す白い巻き毛)も汚れが落とされ、造立当初の輝きを取り戻した。修理は19日に終了予定。黒木英雄住職は「これまで秘仏だったが、一般公開も検討する。足の裏はご覧いただけませんが、彩色の美しさを知ってほしい」と話す。