韓国の動物園で、ずさんな管理による不祥事が続出している。
特に問題となっているのが、デパートの屋上などに作られる“ミニ動物園”だ。最近デパートでは、客足が落ちると子連れ客を引き込もうと、犬やウサギ、ニワトリなどの動物と触れ合う広場を作るのが流行している。
中でも注目を集めたのが、釜山(プサン)のロッテ百貨店で育てられた鹿のララだ。デパート側は公式ブログを通じて「都心に隠れるヒーリングスポット」と銘打ち、ララや屋上動物園の存在を大々的にアピールしていた。しかし、10月末にある中国人観光客がララの窮状を訴えると、事態は急変。
ララは、頭を柵にこすりつけてグルグル回る、自分の糞を食べる、といった奇行を延々と繰り返していたのだ。檻の中で孤独に過ごすララに衝撃を受けた観光客は、その様子を動画に収め、自身のFacebookで公開。精神に異常を来したララを救いたいと書き込んだ。
この訴えはたちまち拡散され、ロッテ百貨店には非難の声が殺到。ララはすぐに野生に返された。しかし、同園で被害を受けていたのはララだけではなかった。動物の多くが、ずさんな管理によりエサを食べすぎて過剰体重に陥ったり、食べさせてはいけないエサを口にしたりして命を落としていたのだ。
このニュースを受けて、韓国ネット民の多くは「心が痛い」「ここだけではない」「またロッテか……」など、多くのバッシングを浴びせた。
事実、ネット民の言うように“ミニ動物園”の被害は多い。専門家は「韓国では一般のアルバイトが動物の世話をするケースが多く、エサや排泄物の処理が正しくされない場合が多い。また、国内動物園でも獣医がいない場所が多いのに、デパートがまともに管理できているのか、はなはだ疑問だ」と、現状の深刻性を訴えている。
一方、韓国の動物園が抱える問題は、動物の管理だけではない。12月に入ると、釜山の動物園「サムチョンドパーク」で起きた違法営業も話題にもなった。
同施設は経営不振からフードコートが臨時休業に入ったのだが、休日の来場者確保のために、無許可で3台のフードトラックを運営していることが発覚したのだ。これは食品衛生法違反に該当。責任者は、3年以下の懲役、3,000ウォン(約300万円)以下の罰金に処せられる。
もともと「サムチョンドパーク」は、年間120万人の来場者を予想したドンブリ勘定で営業を続けていた。しかし、実際の入場者数はその半分にも満たず、苦しい経営に追い込まれていく。その結果、法律違反のフードトラックを導入したわけだ。