イランの首都テヘランで起きた米大使館占拠事件から36年。先週、米議会で可決された予算関連法案により、同事件で人質となった人々が補償金を受け取る道が開けた。
元人質たちへの補償金支払いを求めて16年にわたり活動してきたトーマス・ランクフォード弁護士によれば、元人質それぞれに対し、1日あたり1万ドル(約120万円)の補償金が拘束の日数分支払われる。また、元人質の配偶者や子どもにも、60万ドルの一時金が支払われる。支払いの対象となるのは150人近いという。
1979年11月に起きた占拠事件では、53人が人質に取られ、拘束日数は444日間に及んだ。
これまで元人質は、イラン政府に対する賠償訴訟を起こすことが認められてこなかった。それが解放に際して米政府がイラン政府と合意した条件だった。
補償金の原資となるのは、米国の対イラン経済制裁に違反した金融機関から徴収した罰金だ。
過去にも元人質への経済的支援を求める法案が提出されたことがあったが成立には至らなかった。だが今回は、事件に題材を採った映画『アルゴ』が2012年に公開されたことや、今年のイランとの核合意などが追い風となった。
「イランで人質になっていた人々にとって、このプロセスは事件に終止符を打ち、過去の扉を閉めるきっかけになると思う」と、当時大使館に勤務していた元海兵隊員のケビン・ハーメニング氏はCNNに語った。「最も重要な点は、ゴールが見えてきたということだ」