イラク政府軍が最近、過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」からの奪還を宣言した要衝ラマディ。その地下には、ISISが掘ったトンネル網が張り巡らされていた。
政府軍と米軍主導の有志連合は数カ月に及ぶ戦闘の末、ラマディ中心部からISISを撃退した。だが地元の部族指導者によれば、ISISはほかの拠点と同様、ラマディでも依然として市内の約4分の1を支配している。
ISISの残党は、有志連合による激しい空爆からどのようにして逃れてきたのか。その答えは地下にあった。
イラク軍で対テロ特殊部隊を指揮するサミ・カシム少将がCNNに語ったところによると、同部隊はISIS戦闘員の行方を追うなかで、かれらが逃げ込む地下トンネルを発見した。
ISISはひとつの領土を支配するたび、まずそこにトンネルを掘るという。トンネルの深さは約10メートル、幅はわずか1~2メートル。民家の間をつなぎ、道路を横断しなくてもこっそり行き来できるようにしてある。
カシム少将は一本の通路を指し、「ここに見えるトンネルは約1キロ先まで続いている。700~800メートルのトンネルもある」と説明した。
ラマディ市街の地下を通るトンネルに、ISISの幹部1人が潜伏しているところも発見された。
兵士の1人はCNNに「ISISは地下にこもる準備として、全てのトンネル同士をつなぎ合わせる。中には電気まで通っているトンネルもある」と話した。
地上との出入り口には人の動きを隠すため、仮設の建物が置かれている。
トンネル内での掃討作戦には時間がかかるうえ、命の危険がともなう。ISISが爆発物を仕掛けている恐れもあるからだ。「先頭に立って中へ入る者には、後に続く全員の命がかかっている」と、カシム少将は強調した。