オリックスの新人が23日、マーリンズ・イチロー外野手(42)と電撃合同練習を行った。ほっともっとフィールド神戸で行われていた新人合同自主トレが、イチローの自主練習と偶然にも重なり、途中からイチローの誘いで合同練習に発展。ドラフト3位の大城滉二内野手(22=立大)ら新人野手4人が、希代のバットマンと代わる代わるフリー打撃を行うなど夢のような時間を満喫した。
その瞬間は突如、訪れた。イチローのフリー打撃を、新人が直立不動で見守っていたときだ。「もし、一緒に打つ子がいたらいいよ。おじさん一人じゃ、しんどいわ」。イチローが笑いながら手招きする。新人は全員硬直。お互いに顔を見合わせるばかりだったが、元プロレスラー・高田延彦ばりの「出てこいや~」というイチローの優しい掛け声に、ドラフト10位の杉本(JR西日本)が打席に入った。
そこからは夢のような時間の始まり。6球目、左中間へのライナー性の打球に「いいね~」とイチローがポツリ。声が耳に届いた杉本は「昇天するかと思いました」と笑いながら告白した。その後も同7位の鈴木昂(三菱重工名古屋)、育成2位の赤松(四国・香川)、同3位の大城が、代わる代わる打席に立った。体重113キロの赤松が登場すると「でか!キャプテン翼のなにわのゴールキーパー(難波小のGK中西太一)でいたよね」という冗談で新人も少し緊張がほぐれた。約30分ほどの貴重体験を全員が満喫していた。
通常、新人合同自主トレとイチローの自主トレは時間が重ならないように設定されている。この日はスケジュールの都合で偶然に近いサプライズ。13日には恒例のイチローへのあいさつを済ませていたが、同じ空間で練習するとなると別格だ。ランニングやキャッチボールをする度にみんなチラチラ。その極めつけがフリー打撃だった。
明らかに新人とは違う打球音で、イチローは柵越えを20本超。日米通算4213安打の極上レベルを見せるのも、先輩の優しさかもしれない。杉本は勇気を振り絞り、「どこか悪いところはないですか」と自ら歩み寄り質問。「(身長1メートル90で)そんなに体がでかいんだから、思い切り振っていればいいよ」と現時点での助言を受けて、さらに感激した。エールを受けた新人たちは、さらに練習に熱が入りそうだ。 (鶴崎 唯史)
▼大城 緊張しました。めったにない経験ができました。体の使い方やタイミングの取り方が全然違った。
▼鈴木昂 恐れ多いですが、鈴木競演させてもらいました。フリー打撃は緊張しました。始動が早いし、打ちにいくと、ちゅうちょせずに振っていたのがすごかった。
▼赤松 (キャプテン翼に出てくる)ゴールキーパーは誰のことか分かりませんでした。自分なりにいい打球は打てたと思います。
▼吉田正 (左ふくらはぎの筋膜炎で別メニューのため、フリー打撃に参加できず、見学)やっぱり、すごいですね。足は大丈夫かと声を掛けてもらいました。スイングと飛距離がすごかった。
(スポニチ)