立法院占拠の学生、10日夜に退去
立法院を占拠中のヒマワリ運動の学生たちは7日、10日午後6時をもって退去することを決定した。リーダーの陳為廷氏は「守りを転じて攻めとなす。学生運動を国民運動に開花させよう」と叫んだ。これに対し、馬英九総統は「大多数の国民の期待に合致している」と歓迎した。学生の代表30人は6日午後11時から撤退について話し合い、結論を出すのが遅れていた。退去が決まったものの、一部占拠者は「退去を決めたプロセスは密室協議だ。馬総統と変わらない」と叫び、徹底抗戦を訴える場面もあった。しかし討論の後、最後に「ご苦労さん! ありがとう」と叫んで同意した。しかし「撤退の決定はリーダーの独断」との批判もある。
東元、神奈川でモーター組み立て工場計画
東元電機が、神奈川県に標準モーター組み立て工場の設置を計画している模様だ。7日に同社が明らかにした。「受注から7日間で引き渡し」の高効率サービスを展開し、外資最大のモーターメーカーを目指す。経産省は2015年にすべてのモーターをIE3(プレミアム効率)にアップグレードさせる政策を打ち出しており、大きな取り替え需要の発生が見込まれている。
大江生医、奈良の薬品メーカーと提携
健康食品製造の大江生医(TCI)は8日、大同薬品工業(奈良県葛城市)と、中国を中心とするアジア地域での健康食品販売に関する提携契約を結ぶ。大江生医はLVMH傘下で化粧品を販売するセフォラにフェイスマスクの供給を始めており、今年の納入量は50万枚に達する見通し。
中国料理「点水楼」が日本出店へ
南僑化学工業は、同社が台湾で展開する中国料理店チェーン「点水楼」を、早ければ年内に日本で出店する方針だ。日本の業者から出店の打診があり、交渉を進めている。同社は3月に日本で開かれたフーデックスジャパンに冷凍刀削麺を出展した。今後は日本の飲食チェーンやホテルへの販売にも力を入れていく。
蕭萬長氏がボアオへ、中国首相と会談も
ボアオ・アジアフォーラムの年次総会が10日、中国・海南島で開幕する。台湾からは前副総統の蕭萬長氏が出席、開幕式当日に中国の李克強首相と面談する。台湾で学生たちによる中台サービス貿易協定反対運動が続いていることから、蕭-李会談で中台経済協力の「次のステップ」についてどのようなやり取りが行われるのか、また、李氏が同協定に関して意見表明するのかどうかに注目が集まっている。
台湾の高等教育人口の割合、OECD平均上回る
内政部の統計によると、台湾で25〜64歳の年齢層に占める高等教育(大学、高等専門学校以上など)を受けた人の割合は2011年末の時点で41%となり、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均値である32%を上回った。高等教育を受けた人口は10年前の調査に比べ11.2ポイント増加。アジアでは日本(46%)より低いが、韓国(40%)より高かった。欧米の主要国では、カナダ(51%)と米国(42%)だけが台湾を上回った。
「KANO」の興行収入2・9億元に
2月末の公開以来大ヒット中の映画「KANO」の先週末までの興行収入が、2億9000万台湾元に達した。 3連休となった先週末、「KANO」のメンバーらは2組に分かれて劇場でのお礼行脚を実施。馬志翔監督率いるグループは台北で、ピッチャーの呉明捷を演じた曹佑寧らは3月27日に公開されたばかりの香港で映画館をまわった。先週末までの台北エリアでの興行収入は1億元を越え、今年初めて同エリアで1億元を突破した映画となった。
波多野結衣、携帯ゲームのイメージキャラに
台湾でも高い人気を誇るAV女優の波多野結衣が7日、スマートフォン向けゲームアプリ「神鬼幻想」のイメージキャラクターとして記者会見に登場し、胸元を大きく開けた魔法使いの衣装で注目を集めた。普段から携帯電話でゲームをするという波多野は、「今回のオファーを非常に嬉しく思う」として、高画質で可愛らしいイラストのアプリのリリースを心待ちにしているとコメント。一方、情熱的で優しい台湾の男性が大好きだと話した。
鴻海、CATV最大手の中嘉買収か[IT]
EMS(電子製品の受託製造サービス)世界最大手の鴻海精密工業が、ケーブルテレビ(CATV)最大手の中嘉網路を買収するとの観測が出ている。既に、中嘉の株式6割を保有するMBKパートナーズと交渉の最終段階に入っているという。7日付経済日報などが伝えた。
MBKパートナーズは中嘉株の売却先候補として、「中国時報」などを発行する旺旺中時媒体集団や通信キャリア大手の遠伝電信(ファーイーストーン)、新たに通信事業に参入する頂新国際グループなどと接触していた。鴻海とは、取引形態や価格の交渉が最終段階に入り、鴻海は639億〜648億台湾元(約2,180億〜2,210億円)でMBKパートナーズが保有する中嘉の株式をすべて取得する意向という。ただ、鴻海とMBKパートナーズ、中嘉の3社はいずれもコメントを控えている。
鴻海は、第4世代移動通信システム(4G)などネットワーク事業を拡大しており、今後は通信キャリア大手の台湾大哥大(台湾モバイル)との提携も強化するとされる。鴻海による中嘉の買収が実現すれば、鴻海と台湾大哥大を合わせた台湾CATV市場でのシェアは計54.8%に拡大する。台湾大哥大の鄭俊卿総経理は6日、「鴻海とは6〜7月に発売予定のスマートフォンで協力するが、ネットワークやその他の事業面での提携についてはまだ協議中だ」と話している。
国立大学の学長ら、学生の退去呼びかけ
国立大学の学長らが、立法院を占拠する学生たちの退去と、政府の寛容さを呼びかけた。台湾海峡両岸サービス貿易協定に抗議する学生たちが、立法院を占拠して7日で21日目。立法院の王金平・院長は6日、立法院に入り、「両岸協定監督条例が制定されなければ、両岸サービス貿易協定に関する与野党協議は行わない」と宣言したことで、学生たちが立法院を明け渡す可能性が高まったと見られている。
中山大学、台湾大学、交通大学、中興大学、成功大学などからなる国立大学協進会常務理事は7日、声明を発表し、学生グループ、立法院、行政院に対して三つの主張を行った。学生たちに対しては、一日も早く学校に戻り、両岸協定監督条例の立法に向けての進度に関心を寄せるとともに、学生の本分に立ち返り、台湾の未来の主人公としてふさわしいよう、より実力をつけることを求めた。
また、立法院に対しては、一日も早く正常な運営を回復し、関連の重要な法案を速やかに審議するよう求めた。そして政府に対しては、学生たちが3月18日に立法院を占拠してからこれまでに採ったさまざまな行動に対し、より寛容な態度で適切に対処することを求めた。
なお、教育部の蒋偉寧・部長は7日、抗議活動に参加した学生たちに対し、混乱が収まってから摘発したり、罰したりすることはしないと重ねて話している。
国家表演芸術センター発足、馬・総統が期待
国家表演(パフォーマンスアート)芸術センターが発足し、馬英九・総統が、パフォーマンスアートが全面的に発展するよう期待した。国家表演芸術センターは、文化部が管轄する行政法人で、蒋介石・元総統のメモリアルホール、中正記念堂にある国家シアターと国家コンサートホール、台湾中部・台中市の国家歌劇院(オペラハウス)、南部・高雄市の衛武営国家芸術文化センターを運営する。
7日に国家コンサートホールで行われた設立記念セレモニーで、文化部の龍応台・部長は、文化教育は国民すべてが願う最大公約数だとした上で、国家表演芸術センターの正式な発足後、台北の国家シアターとコンサートホール、高雄の衛武営国家芸術文化センター、台中のオペラハウスがつながって国民の「美学教室」となり、台湾の芸術家たちにより多くの公演機会を提供できるようにと希望した。
馬英九・総統も招きに応じて出席、「歴史的なときに居合わせることができてうれしい。これは、我々のパフォーマンスアートの全面的なテイクオフ、発展のスタートを象徴している」と喜んだ。
馬・総統は、高雄の衛武営国家芸術文化センターの主な建物はほぼ出来上がり、来年末にはオープンできるとして、南部に芸術文化の発展をもたらし、南北の地域格差の是正にも寄与すると指摘。そして、国家シアターとコンサートホールは過去30年で、クラウドゲイトダンスシアターや、ジュー・パーカッショングループなど、世界レベルのパフォーマンス団体を生み出すなど大きな貢献をしてきたとし、今後はより多くの人材を育てて、台湾の文化を世界に定着させられるようにと期待した。
日本人ジャーナリストの釣魚台問題に関する著作、台湾で中国語版発表
元共同通信台北支局長で同社客員論説委員の岡田充氏が書いた「尖閣諸島問題 領土ナショナリズムの魔力」の中国語版が台湾で出版され、同氏自らが来台、7日台北市内で発表会が行われた。
この本は2012年9月の釣魚台列嶼(日本名:尖閣諸島)の日本「国有化」をめぐって中国大陸や台湾から非難の声が上がったあと、同年11月日本で緊急出版されたもの。発表直後よりたちまち評判となり、2013年1月に香港誌・亜洲週刊(アジアウィーク)で紹介されたほか、同年4月、岡田氏は台湾・中央研究院近代史研究所の招きで講演を行った。研究者や政治家、台湾各メディア関係者などがその分析と見解を評価している。
同氏はこの著書の中で「グローバル化が進んだ結果、国民国家を支える主権・領土の観念は実態的ではなく、法の世界でしかない。排他的な領有権や国家間の論理で対決しても答えは出てこない」と主張。日本・大陸・台湾・アメリカの釣魚台をめぐる発言や経緯について説明し、最終章では台湾の馬英九総統が提唱した「東シナ海平和イニシアチブ」を評価。“領土争いの棚上げと共同利益の追求”の理念は数百年間この海域を共通生活圏としてきた人々の福祉に有益だと述べている。
出版発表会では出席者の一人、公共電視(PTS)の邵玉銘董事長が岡田氏の著作の中で触れられている大陸と日本双方での「国有化」の受け止め方の違いや1970年代以降の釣魚台をめぐる経緯についてふり返ったほか、紛争の回避と地下資源共同開発を目的に1950年代に発足した欧州石炭鉄鋼共同体がのちのEU(欧州連合)に発展した例を挙げながら、“福建−沖縄(石垣)−台湾(宜蘭)”を軸とする平和特区構想を評価。創意に富む岡田氏の発想は今は日本一般の考え方になじまないだろうが、台湾・中国大陸・日本の知識人の努力で状況を変えることができるのではないかと読後感を語った。
岡田氏は島々(釣魚台など)の問題が新たに現代東アジアの“火薬庫”となりつつあり、大国同士が強気の態度を誇示し合うことに陥る「安全保障上のジレンマ」からどうやって抜け出すかがこの本で一番書きたかったことで、問題の海域をめぐる「共通生活圏」の実現は今すぐは難しいが、人々が国境にとらわれることなく、大陸・台湾・琉球の間で自由に行き来し交流していた150年前まで立ち戻る“想像力”によって問題は必ず解決できるだろうとした。
さらに、日本で来年から使用される小学校の教科書に釣魚台を「日本固有の領土」とする記述が盛り込まれることについては、本来の教育のあり方に反して、子供たちが様々な主張を相対化しないまま政府と自分の意見を一致させてしまうことに最大の問題があると指摘した。
日本限定版パイナップルケーキ、台湾で初の予約販売 母の日ギフト狙い
5月第2日曜日(今年は5月11日)の母の日を控え、日本で限定発売されているパイナップルケーキが台湾で初めて販売されることがわかった。
昨年末に日本に初上陸した台湾のパイナップルケーキブランド、サニーヒルズ(微熱山丘)は、フランス伝統の発酵バター、エシレバターや夏に収穫されたパイナップルだけを厳選して使用するなど、日本市場向けの限定商品を専門に販売してきたが、今年は台湾の母の日向けギフト商戦にも参入する。
予約期間は5月1日〜11日で、インターネットのみの受け付け。10個入り600台湾元(約2000円)で販売され、1個あたりの価格は60元。これは同業他社のおよそ2倍となる値段だが、新たな味との出会いに興味津々の台湾の消費者にとって見逃せないチャンスとなりそうだ。
台湾・墾丁「音楽フェスタ」閉幕 喫煙者30人に罰金も
今月3日から続いていた野外音楽イベントが6日閉幕した。4日間で多くの観客が詰め掛けた一方で、今月1日から施行された国立公園内での禁煙規定に違反し、罰金の支払いを命じられた人は30人に上った。
屏東県衛生局によると、期間中に禁煙規定に違反し、2000台湾元(約6800円)の罰金を命じられた人は30人で、そのうち7人が中国大陸、香港、マレーシア、アメリカ、カナダ、南アフリカからの観光客だったという。
外国人違反者のうち、6人はその場で罰金を支払ったが、香港人観光客1人は所持金が不足していたことから台湾を離れる前に支払うよう命じたとしている。
この音楽フェスタは毎年春の恒例イベントとして多くの若者が集まるが、会場が墾丁国家公園の禁煙エリア内にあるため、喫煙者には2000〜1万元の罰金が科せられる恐れがある。
台湾鉄道で架線トラブル 9000人以上に影響
台湾鉄路宜蘭線の双渓−三貂嶺(ともに新北市)間で7日早朝、倒木により架線が切断されるトラブルが発生し、同線は一時運転を見合わせた。この影響で知本(台東県)行きの自強204号が80分遅延するなどおよそ9300人の足が乱れた。
台鉄によると午前7時25分ごろ自強号の乗務員から通報があり、倒木により架線が長さ150メートルにわたって落下し、架線柱などにも損傷が生じているのを確認したという。このトラブルにより現場周辺は同11時28分の完全復旧まで単線での運行を余儀なくされ、34本の列車が遅延した。
台鉄では6日午前10時55分にも屏東発嘉義行きの3138号区間車が、後壁駅(台南市)の北側約200メートルの地点で閉鎖中の線路に誤進入し、ポイントを破損させて立ち往生したため、列車18本、乗客約6230人に影響が出る事故が発生している。
その後の調べで6日の事故は乗務員の停止信号の見落としが原因だったことがわかり、台鉄は7日、区間車に乗務していた2人を異動処分、管理者など9人に対してもそれぞれ処分を言い渡した。
HTC:1−3月期は赤字、予想より悪化−売上高減少
4月7日(ブルームバーグ):台湾のスマートフォンメーカー、宏達国際電子(HTC)の1−3月(第1四半期)は3四半期で2度目の赤字となった。売上高減少が響いた。
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同社が7日発表した資料によれば、1−3月期は18億8000万台湾ドル(約64億円)の赤字。ブルームバーグがまとめたアナリスト13人の予想平均は17億1000万台湾ドルの赤字だった。HTCは2月10日、8億6000万−31億1000万台湾ドルの赤字予想を示していた。
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売上高は331億台湾ドルと、前年同期の428億台湾ドルから減少。ブルームバーグがまとめたアナリスト19人の予想平均(354億台湾ドル)にも届かなかった。HTCは340億−360億台湾ドルと見込んでいた。 .
営業損失は20億5000万台湾ドルで、予想平均の赤字(19億4000万台湾ドル)より大きかった。同社の予想は17億8000万−21億9000万台湾ドルの営業損失だった。
台湾学生代表「成果あった」…立法院から退去へ
台湾が中国と昨年締結した「サービス貿易協定」に反対して台北の立法院(国会に相当)を占拠している学生らは7日、10日午後に立法院から退去すると発表した。
3週間にわたって占拠が続いてきたが、事態収拾に向けて前進した形だ。
7日夜に議場で記者会見した学生らの代表は、王金平・立法院長(国会議長)が6日、中台間の協定に対し立法院などの監視機能を定めた法令が成立するまでは、サービス貿易協定の審査を進めない意向を示したことなどを評価。「成果があった」と主張した。
学生らは、バリケードが築かれた議場内を8〜9日に清掃するなど占拠前の状況に戻した上で、退去するとしている。ただ、一部の急進的な参加者は退去決定に「受け入れがたい」と反発しており、退去が予定通り行われるかは不透明だ。
大手テレビ局TVBSの世論調査(2〜3日)では、立法院からの退去と抗議活動の終結を主張する意見は33%で、占拠継続への支持(26%)を上回った。馬英九政権が学生らの要求に応じ、中台間協定の監視法令を制定する意向を3月末に表明するなど譲歩を示したこともあり、政権への世論の反発は沈静化している。
中小企業が犠牲vs雇用1万人創出 「サービス貿易協定」台湾の議論
「サービス貿易協定」は昨年6月の調印直後から台湾で議論の的になってきた。協定は中台双方の窓口機関が調印したもので、全24カ条。2010年9月に発効した事実上の自由貿易協定(FTA)にあたる「経済協力枠組み協定(ECFA)」の柱の一つで、金融、保険、医療など中国側が80項目、台湾側が64項目を新たに開放する。
台湾のサービス業は「GDP(域内総生産)の7割近くを占める主力産業」(馬英九総統)で、中華経済研究院は協定により、台湾で1万人以上の雇用創出効果があるとする。主要経済6団体は3月、早期承認を求める声明を発表した。
反対派は、協定は「中小企業を犠牲にするものだ」と訴える。最大野党、民主進歩党は、中国企業が台湾のどこにでも進出できるのに対し、台湾企業は電子商取引分野で中国福建省に株式保有率55%までの子会社しか設立できないなど、開放地域も開放比率も「対等でない」と批判する。
特に、台湾のサービス業の約85%が従業員5人以下の零細企業であり、中国の大規模チェーン店が進出すれば理髪業やクリーニング業など生活密着型産業が打撃を受けると主張し、経済規模を考えれば「中国がミサイルで攻めてくるのに、台湾は小銃で反撃するようなものだ」と訴えている。
反対派はさらに、印刷業や広告業への中国企業の進出で、間接的に言論の自由が侵害されたり、中国人労働者の流入で雇用が失われたりすると懸念している。一層の対中経済依存が「中台統一」につながりかねないとの警戒感も根強い。
これに対し、行政院(内閣)は協定に労働市場の開放は含まれておらず「誤解だ」などと反論している。
みずほ総合研究所の伊藤信悟中国室長は「他のFTAと同様、実際に運用してみなければ分からない面が多いが、中国が絡むことでより問題が複雑化している」と指摘する。
実際、学生指導者が貿易の自由化そのものに「疑問」を表明しているのに対し、民進党は過度の対中接近には反対しつつも貿易自由化は支持しており、反対派の中でも温度差がある
学生側「10日退去」発表 台湾議場占拠 馬総統、決定評価
中国と昨年調印した「サービス貿易協定」の議会承認に反対し、台湾の立法院(国会に相当)議場を占拠している学生らは7日夜、本会議の定例日前日の10日に議場から退去する方針を発表した。一連の騒動は議場占拠から3週間で収束に向かう見通しとなった。
王金平立法院長(国会議長)は6日、占拠後の議場を初めて訪れ、対中協議を監視する新法の制定まで、サービス貿易協定の政党間協議は行わない意向を表明。学生側に歩み寄る姿勢を示した。
学生らの代表の一人は「この段階での任務を達成した」と評価し、退去を決めたと述べた。また、「一つの中国」を建前とする行政院(内閣)の法案に対し、中台関係を「国と国」の関係とする学生側の新法案が「立法院に提出された」ことも理由として挙げた。
一方、与党の中国国民党の立法委員(国会議員)団は7日夜、同党主席の馬英九総統らも出席し、意見集約のための会議を開いた。馬総統は王氏の発言について、政権の主張と矛盾しないとの見解を示し、新法の会期内の制定と速やかな協定審議を呼びかけた。さらに、学生らの退去決定を評価する声明を発表した。
国民党内では王氏の意見表明には事前の調整がなかったとして反発も出ていた。半面、国民党の●龍斌台北市長や胡志強台中市長が王氏に同調姿勢を示すなど、党論が二分される危機が浮上。このため、馬総統としては、いわば善意に解釈する形で王氏に譲った格好となった。
ただ、馬総統は3月29日の記者会見では、新法制定と協定審議は「同時進行」との方針を打ち出していた。王氏とは反目する間柄とされ、11月には統一地方選も控えていることから、今後も両氏の確執が再燃する可能性も指摘されている。
民放世論調査で支持率が10%前後と低迷する馬総統は、対中対話の進展や貿易自由化促進という課題を抱えつつ、今後も厳しい政権運営を迫られそうだ。
世界最大手の最新装置故障で 半導体製造復活狙う日本勢
最新のEUV(極端紫外線)露光装置が故障した──。2月下旬、米カリフォルニア州で開催された国際光工学会。次世代の半導体製造技術の動向に注目する参加者の間で“隠れた大ニュース”になったのは、半導体製造大手、台湾TSMCの幹部の言葉だった。
半導体の微細化が限界に近づく中、EUVは次世代技術の本命とされてきた。半導体露光装置で世界シェア約8割のオランダASMLが巨費を投じて実用化に邁進。キヤノンとニコンはすでに開発を断念しており、EUVが主流になれば、ASMLは最新の露光装置の需要を“総取り”できる。
トラブルを起こしたASMLのEUV露光装置は、初の量産機としてTSMCに納入されたもの。だが、試作中にトラブルが起き、レーザーの照射位置がずれて装置の内部を損傷させたという。
「EUV露光装置の故障」というニュースに、半導体製造装置業界はざわめき始めている。
● キヤノンが大勝負
EUVの“手詰まり感”が漂う中、反転を懸けて勝負に出たのがキヤノンだ。「ナノインプリント」という新技術で高いノウハウを持つ米モレキュラーインプリント(MII)を4月に買収すると発表。買収額は非公表だが100億円以上とみられ、シェア約5%からの再浮上を目指す。
ナノインプリントは、光で半導体の回路を描写する露光装置とは異なり、型をウエハー上の樹脂に押し当てて回路を形成する。超微細な“はんこ”をイメージすればわかりやすいだろう。レンズや光源など高額な部品が不要なため露光装置よりも安く、解像度が高いメリットがある。一方、多数のウエハーを処理すると気泡やゴミが混入するなどの問題があり、量産には向かないとされてきた。
しかし、2009年からMIIと共同研究してきた結果、これらの課題に解決の道筋がつき、今回の買収に至った。処理能力は現行のASMLの数分の1程度だが、生駒俊明副社長兼最高技術責任者は「装置も安く小さいので、複数台並べて使えばトータルコストは安くなる」と自信を見せる。
試作機は提携する東芝の四日市工場(三重県)に納入したとみられ、装置の販売は15年に開始する見込み。2、3年後には年間販売台数200台以上、売上高2000億円を目指しており、生駒副社長は「勝算は五分五分以上。キヤノンの柱の一つとなる重要な事業にしたい」と意気込む。
一方、半導体製造装置の世界シェア約15%で2位のニコンは、ASMLに差をつけられていた処理能力で、ASMLと同等の能力を持つ新型装置の受注を4月から開始。ASMLよりも精度が高く、より微細な加工に向いていることをアピールし、シェア回復を狙う。
微細化が限界に近づきつつあるとはいえ、競合の半歩先を行けば1000億円単位の利益を生む可能性を秘めているのが半導体ビジネス。次世代の本命であるEUVが足踏みする中、一足先に装置の性能が認められれば、製造装置メーカーは巨額の設備投資の恩恵を享受できる。
台湾学生、国会から木曜夜に引き上げ・・・議会議長の約束受け入れ
台湾で、中国大陸とのサービス貿易協定締結に反対して立法院(国会)議場を占拠している学生らが、10日(木曜)午後6時の引き上げを決めた。王金平院長(議長)が示した、大陸との協定を監視する法の成立を先行させ、その後にサービス貿易協定の審議を行うとの言葉を受け入れた。学生側は「議会にサービス貿易協定撤回を要求する」としたが、「決議は議会の処理による」との考えを示した。また、議会選挙については「法的責任からは逃げない」と表明した。
7日夜に議場で記者会見を開催し、学生代表として陳為廷氏が考えを説明した。一連の運動は学生が自らの考えで行ったと強調。学生運動のエネルギーは全民運動に発展したと評価し、議場の占拠は「(協定を阻止し、民主を守るための)守り」だったと位置づけた。自主的な撤退について「全国の若者が攻めに転じる」、「社会への進軍だ」、「全台湾の各地で(運動の)種をまく時が来た」などと表明した。
撤退を決めた理由としては、まず国民党側に、大陸との協定を監督する法制を認めさせた「大きな成果」があったと説明。同法案について国民党に、民間案の提出を認めさせ、政府案とともに議会で審議することを承認させたという。
学生側は「協定監督法が成立した後に、サービス貿易協定を審議」と主張していた。国民党は「監督法とサービス貿易協定を同時に審議」と主張。学生側は「同時審議ではサービス貿易協定が骨抜きになる」と反発していた。
学生側が立法院からの撤収を決めた大きな理由が、王金平立法院長(議長。国民党所属)が6日、立法院を訪れ「先に協定監督法を成立させ、その後にサービス貿易協定を審議する」と約束したことだ。
しかし国民党は王議長の約束を党として認めていない。また王院長は国民党内で馬英九総統と厳しく対立している。学生側は、「約束が守られない場合には、立法院への再突入もある」としており、今後は王議長がどのように国民党と話をつけるかが、事態の成り行きに大きく影響すると考えられる。
学生代表として陳為廷氏はさらに、公民憲政会議を開くと宣言。すでに「草の根論壇」は作られているとして、民衆側で始まった「草の根」という運動が「全国いたるところで開花してほしい」と述べた。
サービス貿易協定については、あくまでも撤回を要求するが、「決議は議会による」とした。
陳氏は続けて、馬英九政権を「専権独断、人権破壊。(サービス貿易協定についての)事件は氷山の一角」、「国民党・共産党の密室談判、密室取り引きで」などと厳しく批判。「馬総統は統治の正当性を失った」、「人々の利益を抹殺するやりかたは破局したと宣言する」、「人々は立ち上がった。あなた方にはそのように振る舞う権利はないと宣言する」、「われわれこそが、この土地の主人なのだ」と述べた。
立法院を約20日間にわたり選挙したことについては「法律上の責任から逃げることはない」、「退去前に議場の原状回復を行う」と表明した。
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◆解説◆
台湾(中華民国)は一院制の議会制度を採用している。国会の正式名称は立法院だ。定員113人で、区域(選挙区)選出の立法委員(議員)が73人、不分区(比例代表)及び海外華僑枠が34人、原住民(先住民)枠が6人。
2012年の選挙の結果、立法委員(議員)数は国民党が65人、民進党が40人、親民党が3人、台湾団結同盟が3人などとなった。台湾団結同盟は2001年に国民党内の「台湾本土派」の議員が離党して結成した政党。李登輝元総統を精神的指導者としている。