立法院占拠の16団体、あすの退去拒否
立法院本会議場の占拠を続ける学生らは、あす10日夜に退去することを決めた。しかし、決定に不満な16団体は8日、急遽「自由台湾陣線」を組織し、立法院前での座り込みを続け、正門を死守することを決定した。同陣線は「中台サービス貿易協定は国と国との取り決め」など5項目の訴えを掲げている。一方、王金平・立法院長は8日、学生が退去する翌日の11日に本会議を開くよう強く指示した。本会議では中台両岸監督条例の審議と検察総長人事同意権の採決が行われ、すぐに散会となる。一部で議場の修理費用を学生に負担させるべきだとの意見が出ているが、王院長は「私が処理する」としている。
トヨタ社長が「台湾に恩返ししたい」
トヨタ自動車の豊田章男社長が8日に来台し、「台湾との技術協力を強化したい」との意向を示した。豊田社長は、台湾の協力メーカーである国瑞汽車の設立30周年記念式典に出席するため、経営幹部らとともに専用機で来台。国瑞汽車は昨年、台湾で17万3000台のトヨタ車を生産し、台湾全体の生産台数の半分以上を占めた。豊田社長は「私は台湾との深い友情を忘れない。台湾に対する恩に報いることは、トヨタグループそして私個人の使命だ」と語った。
大日本印刷子会社、米企業の子会社と合併
大日本印刷(DNP)の台湾子会社の台湾大日印光罩(DPTT)が、米フォトロニクスの台湾子会社である翔準先進光罩(PSMC)と合併し、台湾美日先進光罩公司(PDMC)が設立された。翔準の持ち株比率は50.01%で存続会社となる。DPTTは台湾と東南アジアの半導体メーカーに、主にロジック向け最先端フォトマスクを提供している。新会社はメモリー向けフォトマスク技術に強みを持つ。
エイスース、「携帯版のユニクロめざす」
華碩電脳(エイスース)は8日、超低価格スマートフォン「ZenFone」シリーズを発売した。今月18日から納品を開始する。今回発売したのは5インチと6インチモデルで、価格はそれぞれ4490台湾元と6990元。4インチの入門モデルも5月に発売する。施祟棠・董事長は、今年のスマホ出荷見込み台数を昨年の数倍の500万台超とし、低価格・高品質で「携帯電話界のユニクロ」を目指すと述べた。
宮崎県と新竹市、ガラス交流展開催
新竹市と宮崎県は8日から、「ガラスの美 台日ガラス交流展」を宮崎県立美術館で開催している。同日行われたセレモニーには新竹市から許明財市長やガラス工芸家ら約40人が参加した。 新竹市は日本統治時代にガラスの生産地として繁栄したことで知られる。許市長は今回の台湾と宮崎の文化交流をきっかけに、新竹のガラス工芸をグローバル化させ、市全体のクリエイティブ産業の発展につなげたいと意気込んだ。交流展は今月20日まで。
台北MRT松山線、新店線と直通運転
年内開業を目指して建設中の台北MRT松山線の開通後の運行計画が発表された。松山線は新店線と相互乗り入れし、1999年の新店線開業から続いていた淡水〜新店の直通列車は運転を取り止める。台北市のカク龍斌市長は8日、松山線は新店線と、淡水線は信義線とそれぞれ直通運転を行うと発表。台北の金融街とされる南京東路などを通ることから、沿線地域の経済活動や景観などに変化が出るのではないかと期待を示した。
台湾電力の累計赤字、2千億元超に
台湾電力は8日、3月までの累積赤字が2094億台湾元に達したと発表した。資本金3300億元の3分の2に当たる。今年一年で赤字幅は100億元縮小する見込みだという。電力料金の値上げ後は収入が500億元増加し、年間売上高は6000億元に届いた。しかし、全体の3割を占める天然ガス発電のコストを補うには至っていない。いまのところ増資の計画はなく、資産活用や経費削減、社債発行によって経営を維持する考えだ。
スタバがネット商店オープン
統一超商グループの傘下の統一スターバックスは、アジア初となる本格的ネット商店をあす10日に正式オープンする。昨年10月から同グループの大手ネット商店「博客来」と「セブンネット」に売り場を設置していた。今年の売上目標は75億台湾元で、ネット販売による初期の売上は1億元程度と予測。台湾の総店舗数は今年330店に増やし、特色ある店舗や限定商品、予約販売などを積極的に進める。
日月光と華亜科、SiP技術で提携[IT]
IC封止・検査大手の日月光半導体(ASE)と台湾プラスチック(台プラ)グループのDRAM大手、華亜科技(イノテラ)は7日、複数のICチップを1つのパッケージ内に封止するSiP(システム・イン・パッケージ)技術で提携すると発表した。華亜科が2.5D(2.5次元)と呼ばれる積層技術を提供し、日月光の封止ラインで製造する。
SiPは、ICの低消費電力化や小型化を実現できる技術で、基板の小型化が求められるモバイル端末などで需要が拡大している。生体認証やセンサー、ワイヤレスデバイス、電源管理、カメラモジュール、フロントエンドモジュール(FEM)、照明などの分野で利用される。
両社は提携に際し、米ガートナーのリポートを引用して「2017年までには携帯可能な超小型パソコン(PC)やタブレット端末、スマートフォンとIOT(モノのインターネット)を組み合わせた製品が主流になる」と指摘。高速で高性能なIC製品が求められる中、「提携によってより幅広い製品を提供できるようになる」としている。
電子時報は先ごろ、2社が合弁で3DIC(3次元集積回路)向けの封止工場を設立すると報じていた。ただ8日付蘋果日報によると、両社に合弁工場設立の計画はなく、受注や生産などの運営体制は変えないもようだ。
台湾関係法強化法案、米連邦議会下院を通過
台湾関係法の強化に関する法案がアメリカ連邦議会下院を通過した。アメリカ連邦議会下院は、アメリカ東部時間7日午後の本会議で、下院第3470号の「2014年台湾関係法と軍艦移転を確認する法案」を可決した。台湾関係法が発効して35周年の今年、この法案の重要性、およびオバマ政権による台湾へのオリバー・ハザード・ペリー級ミサイル・フリゲート供与の必要性が再度確認された。
アメリカ連邦議会下院外交委員会のエド・ロイス(Ed Royce)議長は、アメリカが今年、台湾への承諾と台湾関係法を再度確認したことの重要性について触れ、この法案の通過により、アメリカと中華民国台湾の関係が優先されることになると共に、台湾の防衛力も大幅に高められることになっていると喜んだ。
この法案が下院を通過した後、連邦議会の上院の審議を受けることになる。ロイス議長は、すでに上院外交委員会のロバート・メネンデス(Robert Menendez)委員長に、共同でこの法案を通過するよう期待する意向を伝えたとしている。
蕭万長・前副総統、ボアオで李克強氏と対面
蕭万長・前副総統がボアオアジアフォーラムに参加するため、9日、中国大陸に向かう。中国大陸に本拠を置く、非政府、非営利国際組織、ボアオアジアフォーラムの2014年の年次総会は8日から11日にかけて中国大陸の海南省で開催されている。今年、中国大陸の国務院総理、李克強氏は開幕式で講演を行う。李克強氏は、2012年中国大陸国務院副総理の名義で、その年のボウオアジアフォーラム年次総会に出席、当時、中華民国の副総統に就任したばかりの呉敦義・副総統と初めて対面した。
蕭万長・前副総統は、今年再度「両岸共同市場基金会」名誉董事長の名義で代表団を率いて出席、9日夕方、海南省に到着する予定。中国大陸の対台湾政策担当の国務院対台湾事務弁公室の陳元豊・副主任は空港まで出迎える。
両岸共同市場基金会の陳徳昇・執行長によると、10日の開幕式終了後、午後、蕭万長・前副総統は李克強・総理と正式に対面する。基金会は2人の会談終了後、記者会見を開き、会談の内容を説明するという。
陳徳昇・執行長は、「われわれは9日夕方、海南省に到着する。9日には決まったスケジュールはない。10日に正式な大会が開催される。午後、李克強氏と対面する。11日午後には両岸の実業家によるサミットが開催される。」と、中国大陸訪問中のスケジュールを説明した。
蕭万長・前副総統は、李克強・総理に中国大陸の旅行客による台湾での乗り継ぎの問題、台湾の地域的経済統合への参加問題などの議題を提起、中国大陸側が前向きな回答を示すよう促す。台湾と中国大陸のサービス業の相互投資の規制緩和を目指す、「台湾海峡両岸サービス貿易協定」が台湾で大きな波紋を呼んでいる中、2人はこの協定について話し合うかどうかに注目が集まっている。
蕭万長・前副総統は10日、李克強氏と対面、11日、両岸の実業家による円卓会議に出席、両岸間の経済協力の新たな原動力などについて話し合い、12日午前、現地の台湾企業関係者と対面してから帰国する。
与野党、11日国会での会議再開で合意
与野党の立法委員が、11日に国会の議場で会議を再開することについてコンセンサスに達した。台湾海峡両岸サービス貿易協定に反対して3月18日から国会の議場を占拠している学生らは10日の夕方に議場から退去する。
台湾の国会に当たる、立法院の王金平・院長は8日午前、与野党の立法委員を集め、協議を行った。各政党の立法院団体は11日、議場で会議を開き、7つのバージョンの「両岸協定監督条例草案」を会議に送り、「内政委員会」の審査を受けることに同意した。それと同時に、新任検察総長の人事同意権に関する議案も、「司法と法制委員会」、および「内政委員会」に送り、審査を受けるという。
王金平・立法院長は8日、与野党協議で得たコンセンサスを説明したほか、協議で得た結果は民意に答えるためだとし、立法院の会議を早期に再開する決意を示した。
外交部、説明会で台湾の経済自由化をPR
経済の自由化政策を実施する決意を示すため、外交部が説明会を行う。中華民国政府はTPP・環太平洋パートナーシップ協定、およびRCEP・東アジア地域包括的経済連携への参加に向けて積極的に取り組んでいる。その準備工作の一環として、「自由経済モデルエリア」の設立が挙げられる。
外交部国建司の頼建中・司長が8日に発表したところによると、4月25日、中華民国台湾に駐在している、諸外国の使節と代表を招き、「自由経済モデルエリアの推進に関する説明会」を行い、具体的な例と成果で、台湾が経済の自由化政策を推進するために尽くした努力を説明する。
頼建中・司長は、「国家発展委員会と積極的にコンタクトをとり、説明書を準備させると共に、関関連の部会の責任者を集め、知的物流、国際健康産業、農業の付加価値向上、金融サービス、教育面でのイノベーションなど、モデルエリアでの五項目の重点について、台湾に駐在している外国の使節に説明する。」と述べた。
頼建中・司長は、外交部は国際社会に台湾が経済の自由化、国際化を実現する決意を絶えず説明すると共に、法律における規制緩和、および市場の開放策の成果を見せることで、諸外国の産業との連携を促し、外国系企業の台湾での投資を誘致しようとすると説明した
台湾、フランスの豚肉輸入で価格安定図る
豚肉の供給と需要を調節するため、台湾が初めてフランスから豚肉を輸入する。今年の春、台湾では子豚の下痢が伝えられ、豚肉の価格が上昇している。政府は、豚肉価格の安定を図るため、初めてフランスから豚肉を輸入することにし、今年の3月、フランスからの豚肉の輸入を開放した。
フランス駐在の中華民国代表処によると、台湾に向けて輸出するフランスの豚肉第一陣は5月下旬、台湾南部の高雄港に到着、旧暦の5月5日の端午の節句(今年は6月2日)、および旧暦の7月15日の中元節(今年は8月10日)のニーズを満たす。
フランス駐在の代表処の幹部職員の話では、フランスの養豚業では牛や豚の肉の赤身を増やす化学物質、ラクトパミンなどの使用を禁止しており、過去10年余り、豚の伝染病なども報告されていないため、昨年6月、農業委員会、および衛生福利部食品薬物管理署はフランスに人員を派遣して加工工場などの施設を実地調査した結果、フランスの豚肉の輸入開放に踏み切ったという。
台北MRT松山線開通後、路線が再調整に
台北市民の通勤、通学の足、MRT・台北新交通システムの松山線開通後、現在の淡水線と新店線が別々の路線になる。台北市の郝龍斌・市長によると、台北市のMRTが18年前に開業して以来、新路線の建設に合わせて路線が複数回調整された。年末に開通が予定されている、松山線に合わせて、路線が再度調整される見通し。
松山線は同じ緑色をする、新店線と連結して一つの路線に独立する。そのときには、台北市の新交通システムの主な路線を色で分けると、ブラウン(文湖線、始発駅:動物園駅、終着駅:南港展覧館駅)、赤(淡水線+信義線、始発駅:淡水、終着駅:象山)、オレンジ色(南勢角線+蘆洲線+新荘線、始発駅:南勢角、終着駅:蘆洲、廻龍)、緑(松山線+新店線、始発駅:松山、終着駅:新店)、青(南港線+板南線+土城線、始発駅:南港展覧館、終着駅:永寧駅)になる。
松山線は、板南線、信義線に続き、台北市の東西方向を結ぶ三本目の路線で、「台北市のウォールストリート」と呼ばれる、南京東路を通って、在来線・台湾鉄道の松山駅、および現在建設中の、台湾桃園国際空港と台北市を結ぶ新交通システムと連結、台北市の東西方向の交通にプラスになると見られている。
松山線は全長が8.5キロメートル、駅が8つあり、すべて地下にある。この8つの駅とは、西門駅、北門駅、中山駅、松江南京駅、南京復興駅、台北小巨蛋(台北アリーナ)駅、南京三民駅、松山駅。全区間の所要時間は15分間。
なお、松山線の開通により、信義線の運行間隔はこれまでの6分から3分に、新店線の運行間隔は、これまでの6分から4分、または5分に短縮される。
台湾・中央研究院、“ひまわり学生運動”の資料を保存へ
台湾の中央研究院(台北市)は、中国大陸との「サービス貿易取り決め」をめぐる一連の抗議運動などで学生らが作成、使用したポスターや横断幕、スローガンなどを歴史的資料として保存し、将来の研究に役立てる方針であることがわかった。
同研究院の呉金洌秘書長が9日、立法院(国会)で取材に応じた際に明らかにしたもので、“太陽花(ひまわり)学生運動”と呼ばれる今回の抗議活動を、台湾の民主主義の発展の中で、学生が主導して行った歴史的に重要な意義を持つ運動だと評価した。
呉氏はこの学生運動では台湾の民主政治に対する意見や要求が多くのスローガンやポスター、ビラ、各種文書などで訴えられていると指摘。これらは歴史的価値のある資料だとして、中央研究院で保存する考えを明らかにした。
10日午後6時の退去が決まった立法院の議場内では、占拠している学生団体のメンバーらが自主的に大掃除を始めている。8日からは中央研究院の歴史言語研究所、社会研究所、台湾史研究所が議場の調査や撮影、収集を行っているという。
学生団体の施彦廷代表によると10日正午までに議場内の清掃を完了させる予定。占拠にともなう立法院の被害総額はまだ調査中だとしながらも、1億台湾元(約3億4000万円)を下回るだろうと話している。
豪華客船で台湾周遊、各地の異なる情緒を一度に満喫
豪華客船を利用して台湾を訪れる外国人観光客が今後、台湾北部・中部・南部の異なる南国情緒を一度に楽しめることになりそうだ。
台湾の海洋国家としての魅力や文化的多様性などに着目した台湾港務公司は、2012年後半から関係機関などに対して、海外のクルーズ船が訪台した際に高雄、台中、基隆などの複数の港湾に寄港し台湾一周の旅ができるよう働きかけを続けてきた。
そのかいあって大手クルーズ会社「スタークルーズ」は、旗艦船のスーパースター・ヴァーゴが台湾の複数の港湾に寄港するツアーの運航を発表。今年4月から10月まで計31回来台することになった。これにより訪台観光客数が6万人増加する計算で、台湾の観光市場に大きく貢献することが見込まれている。
昨年、クルーズ船で訪台した観光客数は延べ30万人。7億台湾元(約24億円)規模の経済効果がもたらされた。今年は少なくとも180隻の来航と55万人の観光客数が予測されているという。
今年はスーパースター・ヴァーゴのほかに、日本の技術が光るダイヤモンド・プリンセスなども台湾への入港が予定されている。
和牛はオージー・ビーフに負けない! 日豪EPAで畜産王国・九州
日本と豪州両政府が7日、経済連携協定(EPA)で大筋合意し、豪州産牛肉の輸入関税は38・5%から段階的に20%前後に引き下げられることが決まった。肉用牛産出額で全国の4割を占める畜産王国・九州。畜産農家は高品質な「和牛」の競争力に自信を持っており「決してオージー・ビーフには負けない」との声が上がった。
鴻海、CATV最大手の中嘉買収か
EMS(電子製品の受託製造サービス)世界最大手の鴻海精密工業が、ケーブルテレビ(CATV)最大手の中嘉網路を買収するとの観測が出ている。既に、中嘉の株式6割を保有するMBKパートナーズと交渉の最終段階に入っているという。7日付経済日報などが伝えた。
MBKパートナーズは中嘉株の売却先候補として、「中国時報」などを発行する旺旺中時媒体集団や通信キャリア大手の遠伝電信(ファーイーストーン)、新たに通信事業に参入する頂新国際グループなどと接触していた。鴻海とは、取引形態や価格の交渉が最終段階に入り、鴻海は639億〜648億台湾元(約2,180億〜2,210億円)でMBKパートナーズが保有する中嘉の株式をすべて取得する意向という。ただ、鴻海とMBKパートナーズ、中嘉の3社はいずれもコメントを控えている。
鴻海は、第4世代移動通信システム(4G)などネットワーク事業を拡大しており、今後は通信キャリア大手の台湾大哥大(台湾モバイル)との提携も強化するとされる。鴻海による中嘉の買収が実現すれば、鴻海と台湾大哥大を合わせた台湾CATV市場でのシェアは計54.8%に拡大する。台湾大哥大の鄭俊卿総経理は6日、「鴻海とは6〜7月に発売予定のスマートフォンで協力するが、ネットワークやその他の事業面での提携についてはまだ協議中だ」と話している。
動物虐待で金もうけ、ウミガメやワニの口を縛り、観光客に踏ませ写真撮影―海南省瓊海市
台湾ETtodayによると、中国海南省瓊海市の観光地・玉帯灘で、地元農民らが金もうけのため、ウミガメやワニの口をひもなどで縛り、観光客を背中に乗せたり、踏ませたりといった虐待行為を行っていることが明らかになった。
こうした虐待を気にも留めず、写真撮影に興じる観光客もいるが、反発も強く、地元政府に調査・対応を求める声が上がっている。
11日に立法院本会議 学生らの退去決定受け
中国との「サービス貿易協定」に反発し、立法院(国会に相当)議場を占拠した台湾の学生らが議場からの退去を決めたことを受け、王金平立法院長(国会議長)は8日、11日に本会議を開くことを決めた。学生らが法制化を訴えていた中台間の協定を監視する新法案などを委員会に送付する。
新法案は「一つの中国」を建前とする行政院(内閣)の案のほか、中台関係を「国と国」の関係と位置付ける学生らの案などが立法院に送付されている。
しかし、馬英九総統は8日、中国国民党の内部会議で、学生らの案は「一つの中国」を前提としない「両国論であり、執行できない」と一蹴した。
一部の学生らは、当局側が協定の「撤回」に応じなかったことを不服としており、議場からの退去後も立法院の敷地内で占拠を続ける意向を示している。
援助や大型プロジェクトで他国に大金を使う中国、好感を得られないのはなぜ?―SP華字紙
経済的に成長した中国だが、豊富な資金を使っているにもかかわらず、多国からの好感や親近感を得られていない。それはなぜか。
2014年4月7日、台湾で学生が立法院(国会に相当)を占拠してすでに2週間が経過した。中台間のサービス分野における市場開放をとり決める「サービス貿易協定」は台湾市民の間で受け入れられておらず、最新の世論調査でも支持率はわずか35%で、反対が42%と多数を占めているが、こうした状況は香港でも大差ないという。シンガポール華字紙・聯合早報が伝えた。
改革開放政策がとられる以前の中国は国力に劣り、日々の食糧にも事欠く状態だったが、そうした中でも政治思想を同じくするアルバニアやベトナム、北朝鮮などへの支援を続けていた。現在、国家主席が欧米各国を訪問し、次々に大型プロジェクトの契約を成立させ、経済・貿易協定を締結するようになった。しかし、中国は豊富な資金を使っているにもかかわらず、多国からの好感や親近感を得られていない。それはなぜか。
中国の援助や優遇政策は、多くの場合一般の人々が享受できるものではなく、既得権益者にとってより有利なものとなっていることが多い。また、対外援助に条件を付けないことが多く、対象国で人道主義の原則に反する重大な事件が起きると、中国もその悪事に荷担する結果となり、イメージを損なっている。さらに、中国政府の内政での失敗が海外におけるアピールの説得力不足を招いている。
中国は世界に認められるような国家理念と価値観を示すべきだとする見方が多くを占めている。しかし、中国国内にさえ満足な価値観がない状況で、突然そのようなものを海外においても期待できるはずがない。中国政府の海外における振る舞いの多くは国内の延長に過ぎないのだ。
台湾、学生らによる立法院占拠 米紙「中台のデタントは終焉か」
中国と台湾が一層の市場開放を目指して昨年6月に調印した「サービス貿易協定」の承認を阻止するため、台湾の学生らが立法院(国会に相当)の議場占拠を続けてきた。台湾では学生らの主張や行動への賛否が相半ばしているが、警戒の対象と位置づけられた中国では無論、学生らに否定的な論調が支配的だ。米国からは、学生らの主張に一定の理解を示しつつ、この事態が中台の将来に及ぼす影を危惧する見方も提示されている。
■中台のデタントは終焉か/ウォールストリート・ジャーナル・アジア版(米国)
米紙ウォールストリート・ジャーナル(アジア版)は3月28日付の論評記事で、台湾の学生らによる立法院の占拠は「中台間のサービス貿易協定の問題にとどまらない」とし、今回の政治的危機は中台間の緊張緩和(デタント)がまもなく終焉(しゅうえん)するシグナルかもしれないと指摘した。
デモの背景にある、中国への経済的依存が進むことへの懸念について、記事は「学生らと対立する馬英九総統ですら共有している」と分析。例証として、馬総統がここ数カ月にわたって米国主導の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加など中国以外の国との貿易関係を拡大する必要性を強調していることを挙げる。
では、デモ勢力と馬総統の相違点は何か。記事はこう解説する。「馬総統は、中国側の黙認があって初めて、台湾が新たな国際貿易関係を構築できると考えている。そのためには両岸(中台)のデタントが、サービス貿易協定などを通じて継続されなければならない」
現在の政治的混乱については、台湾の各勢力に厳しい見方を示した。馬総統と与党の中国国民党は「民衆に十分な説明をしなかった」と指摘し、学生らの行為についても「不法な占拠」と批判。最大野党の民主進歩党についても「機に乗じた」とし、「すべての勢力がまずい対応をした」と断じた。
ただ、現在の混乱は中国への警戒感や恐れという「台湾の政治的潮流」を象徴しているとも分析する。「台湾人は、中国の自国民に対する抑圧や、香港の自治権を認める約束を反故(ほご)にしたことなどを見てきた」と指摘する。
こうした潮流は、馬総統の任期満了より早く台湾の対中政策に影響する可能性があるとし、こう警鐘を鳴らす。「その際、中国の指導者たちは両岸関係を以前のあしき日々に逆戻りさせる決断をして、いっそう危険な状態にするかもしれない」(西見由章)
■協定は台湾統一をめざす重要な手段/自由時報(台湾)
台湾の最大野党、民進党寄りとされる有力紙、自由時報は3月28日付社説でサービス貿易協定を「中国が経済をもって(台湾)統一を推し進めるための重要な手段」だと批判的に断じた。
社説は「中国は政治、経済、武力などの手段で必ず台湾を併呑(へいどん)しようとする」「(協定で中国の)大小企業や金融業が押し寄せ、(台湾の)資金は流出し、リスクは激増する」と予測した。
また総統府前で30日に行われた大規模抗議デモを受け、31日付社説では、馬英九政権が推進した中国との自由貿易協定にあたる経済協力枠組み協定(ECFA)締結後も台湾の経済成長は実感できず、「特効薬ではなかった」と総括した。さらに「今日の香港は明日の台湾」として、中国経済の包囲網の中で台湾の自由が崩壊しかねないとの危機感をにじませ、デモは馬政権が民衆の支持を失った結果だと結論づけた。
一方、国民党寄りの有力紙、聯合報は23日付社説で「台湾の弱小産業が市場開放の影響を受けやすいのは事実」と一定のマイナスの影響を認めつつ、「協定は単に中国大陸に市場を開放するだけではない」と台湾側にもメリットがあることを台湾当局は住民に伝えるべきだと強調した。
同社説は「台湾の活路は中国との政治経済関係の改善にある」とし、台湾は必ず「(関係良好な)中国を経由して世界と向き合う」のであり、「中国を無視して世界に向き合う」ことは不可能と主張。その上で、この協定こそが「ECFAを完全なものにし、TPPや東アジア地域包括的経済連携(RCEP)への懸け橋」だと強調した。
そして、協定なしに台湾が「国際社会でさらに大きな経済貿易協定を結ぶことはできない」とし、「反協定ビラ」には「中国資本が台湾をむしばむ」と書いてあるかもしれないが、台湾はこの協定の先に「さらに多くのパートナー国と交易するチャンスがあり、中国依存も減じてゆける」と主張した。(台北 吉村剛史)
■学生に社会への不満が高まっている/人民日報・海外版(中国)
3月中旬から始まった台湾の学生らによる立法院占拠を中国メディアは抑制的に報じてきた。しかし、中国共産党機関紙、人民日報(海外版)は4月3日付で、「サービス貿易協定」を支持する団体がデモを行ったことに注目、学生らを批判するグループが「反撃に出た」と大きく取り上げた。同紙が取り上げたのは、「台湾労工福利連盟」が主導、約2千人が参加したとされる1日のデモだ。同連盟は馬英九政権を支持する労働団体という。デモ隊は「仕事、生存、サービスが必要だ」とアピール。その街宣車には、もともと、立法院占拠に加わっていた学生が上がり、学生らを「自分勝手で横暴だ」「同類を認めない」などと批判したと報じた。同紙は「立法院占拠は平穏を乱し、社会の不満の声が高まっている」「協定への反対の声は盛んだが、民意がそうであることは意味しない」などと主張。法曹関係者らが、立法院からの退去を求めて学生リーダーらを訴えたとも伝えている。
台湾の民意が反抗議運動に傾いているとの印象を強調する同紙は、台湾政界の論客の声を引用する形で、「学生たちはすでに最もよい退場のチャンスを逸した。現在、いかに引っ込みがつく機会を見つけたとしても、彼らは困難に直面する」と運動の行方に否定的な見方を寄せた。
一方、3月25日付で「サービス貿易協定で台湾と再交渉する必要は全くない」と題する論評記事を掲載し、抗議活動を「茶番だ」と批判した同紙傘下の国際情報紙、環球時報(電子版)も3日付で、アモイ大台湾研究院の陳先才副所長が台湾紙、旺報に寄せた評論を転載した。
陳氏は「2008年以来、両岸(中国と台湾)関係は大きく進展し、急進的な独立勢力の態勢は全体的に下降している。しかし、台湾社会には依然として“恐中”“反中”の雰囲気がある」と指摘。台湾の民意は中台関係の平和的発展の支持が主流だが、独立勢力がその促進を阻害していると断じている。
世界最大手の最新装置故障で 半導体製造復活狙う日本勢
最新のEUV(極端紫外線)露光装置が故障した──。2月下旬、米カリフォルニア州で開催された国際光工学会。次世代の半導体製造技術の動向に注目する参加者の間で“隠れた大ニュース”になったのは、半導体製造大手、台湾TSMCの幹部の言葉だった。
半導体の微細化が限界に近づく中、EUVは次世代技術の本命とされてきた。半導体露光装置で世界シェア約8割のオランダASMLが巨費を投じて実用化に邁進。キヤノンとニコンはすでに開発を断念しており、EUVが主流になれば、ASMLは最新の露光装置の需要を“総取り”できる。
トラブルを起こしたASMLのEUV露光装置は、初の量産機としてTSMCに納入されたもの。だが、試作中にトラブルが起き、レーザーの照射位置がずれて装置の内部を損傷させたという。
「EUV露光装置の故障」というニュースに、半導体製造装置業界はざわめき始めている。
● キヤノンが大勝負
EUVの“手詰まり感”が漂う中、反転を懸けて勝負に出たのがキヤノンだ。「ナノインプリント」という新技術で高いノウハウを持つ米モレキュラーインプリント(MII)を4月に買収すると発表。買収額は非公表だが100億円以上とみられ、シェア約5%からの再浮上を目指す。
ナノインプリントは、光で半導体の回路を描写する露光装置とは異なり、型をウエハー上の樹脂に押し当てて回路を形成する。超微細な“はんこ”をイメージすればわかりやすいだろう。レンズや光源など高額な部品が不要なため露光装置よりも安く、解像度が高いメリットがある。一方、多数のウエハーを処理すると気泡やゴミが混入するなどの問題があり、量産には向かないとされてきた。
しかし、2009年からMIIと共同研究してきた結果、これらの課題に解決の道筋がつき、今回の買収に至った。処理能力は現行のASMLの数分の1程度だが、生駒俊明副社長兼最高技術責任者は「装置も安く小さいので、複数台並べて使えばトータルコストは安くなる」と自信を見せる。
試作機は提携する東芝の四日市工場(三重県)に納入したとみられ、装置の販売は15年に開始する見込み。2、3年後には年間販売台数200台以上、売上高2000億円を目指しており、生駒副社長は「勝算は五分五分以上。キヤノンの柱の一つとなる重要な事業にしたい」と意気込む。
一方、半導体製造装置の世界シェア約15%で2位のニコンは、ASMLに差をつけられていた処理能力で、ASMLと同等の能力を持つ新型装置の受注を4月から開始。ASMLよりも精度が高く、より微細な加工に向いていることをアピールし、シェア回復を狙う。
微細化が限界に近づきつつあるとはいえ、競合の半歩先を行けば1000億円単位の利益を生む可能性を秘めているのが半導体ビジネス。次世代の本命であるEUVが足踏みする中、一足先に装置の性能が認められれば、製造装置メーカーは巨額の設備投資の恩恵を享受できる。
ASMLの後塵を拝してきた日本勢は、はたして存在感を発揮できるか。