告発サイト「ウィキリークス」創設者のジュリアン・アサンジュ容疑者は5日、英国とスウェーデンの両政府が2010年以来、同容疑者を恣意(しい)的に拘束しているとの判断を国連作業部会が示したことを受け、勝利を宣言した。自信の主張の正しさが裏付けられたとしている。
ただ、今回の決定によりアサンジュ容疑者が自由の身となる気配はない。
アサンジュ容疑者はスウェーデンでの性的暴行疑惑により10年、英国で逮捕。12年にロンドンのエクアドル大使館に逃げ込み、以降、同大使館にとどまっている。同容疑者は、大使館を出た場合、米国に身柄を移送され、ウィキリークスを通じて政府機密を暴露したとして米国で死刑になる恐れがあると主張している。
アサンジュ容疑者は5日、ビデオを通じて報道陣に対し、今回の決定には「法的拘束力がある」と主張。この決定に基づいて行動しない場合、「英国のシステム」を損なうことになり影響が及ぶほか、英国とスウェーデンは「国際社会のプレーヤーとして真剣に扱われ」なくなると述べた。
ただ、国連の「恣意的拘束に関する作業部会」によれば、今回の決定を実行に移すかは加盟国次第で、同部会にできるのは、調査や釈放などの措置を求める勧告にとどまるとしている。
一方、英国のフィリップ・ハモンド外相は5日、アサンジュ容疑者をめぐる状況は何ら変わっていないと言及。「アサンジュ容疑者は司法の手から逃げており、エクアドル大使館に自分の意思で隠れている」と述べ、同作業部会の報告を拒絶する意向を示した。