米大統領選に向けた共和党候補指名争いの第3戦となる20日の南部サウスカロライナ州予備選を前に、候補討論会が13日、同州で開かれた。
序盤2州の戦いで候補は6人に絞り込まれ、主流派と非主流派の応酬は先鋭化。イラク戦争の是非や移民制度改革をめぐり議論を戦わせた。
当初は本命視されながら苦戦しているジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事(63)は15日、サウスカロライナ州で兄の前大統領の応援を受ける。非主流派の不動産王、ドナルド・トランプ氏(69)は前大統領による2003年のイラク開戦を批判した。
「前大統領は過ちを犯した。(米軍が)イラクに行くべきではなかった。中東を不安定にさせた」
トランプ氏は主流派が推すブッシュ氏を前大統領に見立てて、たたみかけるように批判した。
ブッシュ氏は「トランプ氏がリアリティー番組を作っているときに、兄は米国を安全にするための機構を作っていた」と反論したが、トランプ氏は01年9月11日の米中枢同時テロがブッシュ前政権下で起きたとし、安全は守られなかったと強弁し、聴衆からブーイングを受けていた。
これまでの2戦が行われたアイオワ、ニューハンプシャー両州に比べて人種の多様性が高いサウスカロライナ州では争点の中で移民問題の比重が大きい。ここでも非主流派は主流派を激しく攻撃した。
トランプ氏がブッシュ氏を不法移民の問題に関して「最も弱い」候補であると断じれば、強硬保守の論客、テッド・クルーズ上院議員(45)は主流派のマルコ・ルビオ上院議員(44)を「オバマ米大統領の違法な(不法移民に対する)恩赦を撤回しないと言った」と批判した。
これに対し、ルビオ氏はクルーズ陣営がアイオワ州党員集会の直前に元神経外科医、ベン・カーソン氏(64)が撤退するとの虚偽の情報を流したことを引き合いに出して、「クルーズ氏は嘘ばかりついている」と述べた。
サウスカロライナ州はキリスト教福音派、保守系草の根運動「ティーパーティー」(茶会)の影響力が強いが、クルーズ氏が勝利した初戦アイオワ州党員集会ほど強硬保守を選ぶ傾向は強くないとされる。
12年を除き、1980年以来、サウスカロライナ州で勝利した候補が指名候補になってきた。
米政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」による最近の世論調査平均値ではトランプ氏が35・3%でリード。クルーズ氏16%、ルビオ氏14%、ブッシュ氏11・3%、ケーシック氏11%、ベン・カーソン氏4%と続く。
(産経新聞)