海軍が4月初旬に太平島で実戦を想定した大規模演習を実施
国民党の林郁方立法委員(国会議員)は28日、今月10日に海軍陸戦隊(海兵隊に相当)が南沙(スプラトリー)諸島の太平島で大規模演習を行ったことを明らかにした。
今回実施された演習は「衛疆作戦」と呼ばれる離島奪還を想定したもの。成功級フリゲート艦や揚陸艦など6〜7隻からなる艦隊に乗り組んだ陸戦隊員が、迫撃砲や対戦車ロケット弾を装備し、20数台の水陸両用車で太平島の海岸に上陸したという。
演習の模様は国防部が現地に招待した外交・国防委員会の立法委員などに公開したほか、無人航空機に搭載したカメラで記録を行ったが、映像の一般公開については検討するとしている。
林委員によると、今回の「衛疆作戦」は2000年1月28日に陸戦隊の防衛任務が海岸巡防署(海上保安庁)に移管されて以降、これだけの規模の艦隊が太平島周辺海域に展開したのは初めてで、野戦部隊が同島に上陸したのも初だという。
日本の平戸市関係者らが鄭成功を祭る祠を訪問
台南市にある延平郡王祠で29日、鄭成功の台湾上陸353周年を記念する式典が行われた。
式典には内政部の陳威仁部長(=写真最前列左)、頼清徳台南市長(最前列右)、李沃土金門県長などをはじめ、鄭成功と縁がある日本の平戸市や中国大陸のアモイ、マレーシアのペナンの関係者なども参加した。
陳部長によると、鄭成功は353年前のきょう、午前6時30分に鹿耳門から上陸し、当時台湾を占領していたオランダ人を追放したという。また、頼市長は鄭成功を通じて各地のつながりがいっそう強まればと期待を寄せた。
平戸市の寺田勝嘉副市長は同市の親善団がすでに24回台湾を訪問しているとした上で、「鄭成功まつり」や昨年7月にオープンした「鄭成功記念館」が多くの台湾からの観光客を引き付けていると関係の深さを強調した。
外交部、靖国参拝の日本の政治家に建設的な行動を呼びかけ
外交部は28日に発表したプレスリリースで、靖国神社を参拝した日本の政治家に対してアジア周辺地域の安定を重視するよう求めた。
今月20日から22日にかけて複数の日本の閣僚や国会議員が靖国神社を参拝したが、これに続く28日、稲田朋美行政改革担当相も参拝を行った。
これを受けて外交部は、日本の政治家が先見の明を持って責任ある態度で建設的な行動を取り、各国との友好関係促進に取り組むよう呼びかけた。
日本・春の外国人叙勲に台湾から4人 “老台北”の蔡焜燦氏ら
日本政府による今年の春の外国人叙勲受章者が29日に発表され、台湾からは米国、ドイツに続き3番目に多い4人が選ばれた。司馬遼太郎の著書「台湾紀行」に登場する“老台北”こと蔡焜燦氏は旭日双光章を受章する。
日本の対台湾窓口機関の交流協会によれば、日本と台湾間の水産技術分野を通じた学術交流の促進に寄与した廖一久氏(77)は、旭日中綬章を受章。1960年に台湾大学動物学部漁業生物学科を卒業後、東京大学農学部水産学科に留学し、エビ類の養殖技術の研究に従事。その後台湾に戻り、ウシエビ(ブラックタイガー)の完全養殖技術を確立したほか、同技術の普及や指導などにも取り組んだ。廖氏の弟は台湾の対日窓口機関、亜東関係協会前会長の廖了以氏。
台湾における剣道の普及などに寄与した呉金璞氏(90)は旭日小綬章に選ばれた。日本統治時代、12歳から剣道を始め、戦後の国際社会人剣道世界大会では第1回から第7回まで台湾代表として連続出場。1967年の第3回大会では個人の部で準優勝を果たしたほか、第5回大会では団体の部で優勝に輝いている。
台湾における短歌を通じた日本文化の紹介に尽力した蔡焜燦氏(87)と日本の肢体不自由児者福祉の向上に寄与した鄭正秀氏(70)は旭日双光章をそれぞれ受章。蔡氏は1967年に設立された短歌の会「台湾歌壇」の第5代代表として活躍。2000年に出版された著書「台湾人と日本精神」でも日台間の相互理解の促進に貢献した。
一方の鄭氏は神戸大学医学部を卒業後、29歳の時に神戸博愛病院の院長に就任。兵庫県肢体不自由児協会の理事と会長を歴任したのち、兵庫県肢体不自由児者協会の理事長として障害者の環境改善や障害者に対する理解の促進に寄与した。また、西日本に在住する華僑の代表として、日台友好のための活動にも積極的に取り組んでいる。
1972年の交流協会設立後、台湾の人に対する叙勲は2005年以降で30人にのぼる。今年春の外国人叙勲では55人が選ばれた。交流協会では日を改めて受章者への勲章伝達式を行うとしている。
台湾北部の横断道路、ファンタスティックなホタル鑑賞スポットへ
台湾の北部を東西に走る自動車道、「北部横貫公路」(桃園−宜蘭)ではこの頃、沿線の各地がホタルの乱舞に出会える幻想的なスポットとなっている。これを受けて、桃園県政府ではこの5月、ホタル鑑賞イベントを開催することになった。
台湾には60種類を上回るホタルが生息しており、毎年4月から6月にかけてが繁殖期。北横公路沿線では黒翅蛍(タイワンボタル)など約17種類が確認されており、4月末にはホタルが飛び交う姿が毎晩のように見られ、特に午後7時〜9時はベストな鑑賞時間帯だとされている。
桃園県政府ではホタルの生息環境や自然環境保全の大切さなどに対する人々の理解が深まるよう、5月3日、4日、10日、11日の午後2時半から8時半までホタルの鑑賞会を予定しており、大渓鎮・石門水庫(ダム)環湖路や百吉小学校、百吉林蔭歩道(木陰遊歩道)などが鑑賞スポットとして挙げられている。
江・行政院長:第四原発凍結は最大の譲歩
行政院の江宜樺・院長が、第四原子力発電所の凍結は合法的な枠組み内で最大の譲歩だとしている。江・行政院長は28日午前に記者会見を開き、昨年の与野党協議の結論、24日の国民党議員団の大会、27日の国民党所属の県・市長会議を踏まえて、第四原発の1号機は安全検査後凍結、2号機は工事中断にすると宣言した。また、安全検査とすでに発注した工事以外、政府は今後予算を追加せず、国民投票が結論を出すまで燃料棒も挿入しないとしている。
江・行政院長は、「第四原発の凍結と工事中断は建設の中止ではない。当然、廃棄でもない。社会が第四原発の未来に対してコンセンサスが形成できないうち、あるいは国民投票で最高の民意としての決定が下されるまで、現在の方法を続け、次の世代に選択の余地を残す」と話した。
江・行政院長は、本来安全検査後の国民投票を望んだが、今回の決定により、国民投票の実施時期はさらにめどがたたなくなったとしている。江・行政院長は、「国民投票はさらに遅れるだろう。決定は、燃料棒をすぐに入れるとか、国民投票をただちに行うよう強制するとかという疑念に応じたもので、合法的な枠組み内で最大の譲歩だ」と話した。
また、経済部の張家祝・部長は28日、立法院が開かれない夏を利用して、9月までに全国エネルギー会議を開催する意向を示した。この会議には産官学の代表を招き、台湾の未来の代替エネルギーなどについて話し合うという。
第四原発で道路占拠の民衆を警察が排除
第四原子力発電所の建設中止を求め、台北市内の忠孝西路を占拠していた人たちが、28日早朝に警察によって排除された。これらの人たちは27日午後に、総統府前のケダガラン大通りから、228平和記念公園などを回る街頭デモを行った。デモの主催団体は、忠孝西路の1車線でのデモを申請していたが、人々はこの通りに差し掛かると、道路使用申請をしていた範囲を越えて忠孝西路全体を占拠する形となった。また、使用許可は27日の深夜12時までだったが、それを越えても1000人あまりが路上に寝転がったり座り込んだりして退去しようとしなかった。
このため、警察は28日未明2時40分に排除を開始、1人ずつ引っ張って立たせて退去させる他、高圧放水車なども利用、朝6時40分ごろになってようやく通りからデモの人たちをすべて排除することに成功、忠孝西路の交通が回復された。
4時間にわたる作業で、警察官5人が負傷し、そのうち2人が病院に送られた。デモ側では37人が病院に運ばれ、そのうち病院で様子を見ている5人を除いて帰宅した。
第四原発をめぐっては、最大野党・民進党でかつて主席を務めた林義雄氏が22日から、建設中止を訴えてハンストに入っていたが、7日目となった28日午後、林氏はハンストを行っていた教会を離れて病院で診察を受けた模様。
TSMC、生産能力拡大は「電力供給状況見て決定」
馬英九政権が第4原子力発電所(新北市貢寮区)建設凍結の方針を示したことを受け、半導体受託生産世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は28日、「生産展開には十分で安定的な電力供給が不可欠だ」とした上で、将来的な生産能力拡大について「電力供給の状況に応じて決定する」とコメントした。原発稼働の是非については姿勢を明らかにしなかった。
TSMC、アップルの「A9」過半受注も[IT]
ファウンドリー(半導体の受託製造)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は、16ナノメートルの「立体構造トランジスタ(FinFET)プラス」と称する製造プロセスでの量産を、来年1月にも開始する見通しだ。同プロセスは、従来計画していた16ナノのFinFETプロセスをさらに発展させたもの。これまで韓国サムスン電子が製造すると伝えられてきた米アップルの新型プロセッサー「A9」(仮称)を、TSMCが過半数受注する可能性があるとの見方も出ている。
28日付工商時報によると、TSMCはこれまで、16ナノのFinFETプロセスによる量産を今年末に開始する計画だったが、より高性能で低消費電力のFinFETプラスプロセスを新たに開発。月内にも、同プロセスを用いた初めての製品がテープアウト(設計の最終段階に入ること)される見込みだ。今年中にテープアウトされるFinFETプラス製品は16製品、来年には45製品に上るという。
蘋果日報が半導体製造装置メーカーの話として伝えたところによると、TSMCとサムスンの2社は、20ナノプロセスで製造する米アップルのプロセッサー「A8」(仮称)を受注。ただ、サムスンが製造歩留まりの課題を解決できないため、実質的にはTSMCが独占で供給している状況という。A8の次の世代となるA9は、これまでサムスンが14ナノプロセスで受注するとみられてきたが、ここに来てTSMCが16ナノのFinFETプラスで過半数を受注する可能性も出てきた。
アジア太平洋全体で「2014年に訪れたい国」「リピートしたい国」1位は日本
旅行情報を提供するオンラインメディア「Travelzoo」を運営するトラベルズー・ジャパン株式会社は、Travelzoo Asia Pacific(Travelzoo Inc. のアジアにおけるライセンシー)が日本、中国本土、香港、台湾、オーストラリアのアジア・パシフィック5か国でTravelzoo登録読者を対象に実施した旅行に関する意識・動向調査の結果から、アジア・パシフィックにおける2014年の旅行者の傾向をまとめた。調査の結果、旅行にかける年間予算が全体的に増加傾向にあり、さらに日本は「訪れたい国」第1位となった。 訪日外国人旅行も、日本人の旅行も、消費の拡大が大いに期待される。
旅行にかける年間予算は、アジア・パシフィック全体で前年比17%アップした。アジア全体の結果としては、2014年の平均旅行予定回数が4.7回となり、前年(4.5回)と比べると旅行予定回数が1.2回多い結果となった。また2014年の旅行予算はUSD 7,078となり、前年(USD 6,057)と比較して17%アップしている。
■中国本土の年間予定旅行回数6.5回と最多で、アジア・パシフィックの旅行市場をけん引
各国の調査結果を比較すると、中国本土では、2014年の1人あたりの平均旅行予定回数が6.5回とアジア・パシフィックの中で一番多く、1人あたりの旅行にかける平均年間予算はUSD 8,200だった。旅行予定回数では、続いて日本が5回(平均年間予算USD 4,780)、台湾4.4回(USD 6,170)、香港4.3回(USD 6,900)という結果となった。オーストラリアは、2014年の平均旅行回数が3.5回と一番低いかったものの、平均年間予算はUSD 9,340とアジア・パシフィックでは一番高額となった。
日本人の調査結果を詳しく見ると、旅行予定回数が昨年の4.7回から今年は5回に増えた。また、旅行にかける平均年間予算も365,280円(2013年)から490,420円(2014年)と125,140円増加、前年比34.3%アップし、2014年は旅行に対する意欲の高まりが期待される。
■2014年に訪れたい国Top5
日本は、アジア・パシフィック全体で、「2014年に訪れたい国」、「リピートしたい国」で1位だった。特に中華圏(中国本土、香港、台湾)での人気が高かった。「2014年に訪れたい国」および「リピートしたい国」を聞いたところ、日本はアジア・パシフィック全体で共に1位となった。特に「2014年に訪れたい国」では、昨年の3位から大幅にランクアップ。また各国のTop5を見ると、「2014年に訪れたい国」では中国本土、香港、台湾で、「リピートしたい国」では香港および台湾で日本が1位に選ばれており、特に中国からのインバウンド市場の拡大が期待される。
また、日本・香港・台湾は「観光」の旅、中国本土・オーストラリアは「ビーチ/リゾート」の旅に興味が集中していることがわかった。日本、香港、台湾では「観光」の旅に最も興味が高く、中国本土およびオーストラリアでは「ビーチ/リゾート」への旅と答えた人が最も多い結果となっている。2位以下の旅の種類を見ると、それぞれの国の旅行者が求めるポイントに違いがあることが分かる。
■レジャー旅行をする際の過ごし方は?
日本人、オーストラリア人は「自分のペースで旅行」、中華圏では「何もせずリラックスをする」人が最も多かった。レジャー旅行の際の過ごし方を聞いたところ、最も多い回答は、日本とオーストラリアでは「自分のペースで観光や街歩きをするのが好き」だった。一方で、中国本土や、香港、台湾の中華圏では、「何もせずリラックスするのが好き」と答えた人が最も多く、レジャー旅行での過ごし方の特徴が明らかになった。
今回のアンケート調査の結果についてトラベルズー・ジャパンの代表取締役社長 武藤友木子は、以下のように述べている。
「日本人の旅行にかける年間予算が前年比34%と大幅に増加したことは、日本における旅行消費が上向いている証といえます。また、2014年のアジア・パシフィックの旅行にかける平均年間予算が17%アップした上、行きたい国、リピートしたい国で日本が1位に選ばれたことで、インバウンド市場の拡大も期待されます。Travelzooはこのような市場動向結果や、世界25拠点に在籍するお得情報に精通したDeal Expertのリサーチによる最新の市場情報を駆使し、より質・価値の高い商品(Deal)を厳選してお客様に提供することで、旅行およびエンターテインメント市場の活性化にさらに貢献していきたいと考えています」
< 調査概要 >
■調査時期: 2013年12月上旬
■有効回答数: Travelzoo Asia Pacific登録読者: 3,430名
< 内訳: 日本697名、香港 1,199名、中国602名、台湾402名、オーストラリア530名 >
■調査対象: 旅行が好きな日本のTravelzoo登録会員
中国の訪日観光客が伸び続ける理由 衰え知らず
上海の中国人向け月刊誌「行楽」4月号。
日本各地の桜の名所が特集された
中国からの訪日客数が急増を続けている。査証(ビザ)発給数で中国全体の過半数を占める上海の日本総領事館の集計によると、3月の個人向け観光ビザ発給数は2万32件と初めて2万件を超え、過去最高となった。上海の総領事館は「6〜8月にかけて訪日ビザの申請数さらに増えるだろう」と“うれしい悲鳴”を上げている。
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急増したのは、日本での桜の開花タイミングに合わせた“お花見”特需とみられる。上海では団体観光ビザなども含む全体のビザ発給数は3月に6万7583件だった。3月は北京の日本大使館でもビザ発給総数は約3万5000件となり、中国全体では16万1000件にのぼったという。
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4月も前半の集計で、上海では全体で3万件以上のビザを発給した。上海でのビザ発給数は6年前から日本の在外公館で最大規模。上海市や周辺の地域には富裕層や中間層が数多い。
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2012年に尖閣諸島(沖縄県石垣市)問題をめぐり、中国全土の125都市以上で9月から10月にかけて反日デモが燃えさかり、日本企業の拠点や在留邦人が相次いで中国人の暴徒に襲われた前後から、日本を観光する中国人客も急減。しかし、上海での個人観光ビザ発給数は13年後半から伸び始め、春節(旧正月)連休が長かった今年2月を除くと、昨年12月から過去最高を毎月更新するハイペースだ。
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昨年12月には安倍晋三首相が靖国神社に参拝したことに中国政府が激しく反発するなど、日中関係に好転の兆しはほとんどみられない。それでも中国からの訪日客が伸び続ける理由については「中国の一般人は日中関係の問題に既に慣れた」(春秋航空の王正華会長)と、政治問題と切り離して旅行先を選ぶようになったとの指摘もある。
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航空会社を創業する前に、中国最大級の民間旅行会社を育て上げた王氏。「海外旅行が解禁された中国で、観光に関心の高い層は既に香港やマカオ、東南アジア、台湾も経験し、韓国にも行った。欧米も魅力的だが、数時間で飛べる日本は季節を問わず美しい景色があり、温泉があり、日本料理も伝統文化も一度の旅行では味わいきれないほど各地にある」と話す。
春秋航空が日中間の国際線を大幅に拡大する経営戦略をとるのも、王氏の旅行会社トップの経験からくる中国人の旅行パターンの変化予測に基づいたものだ。春秋航空は6月に日本の国内線にも参入するが、中国から成田空港や関西空港着で日本に入り、東京や大阪には何度も訪れたリピーターの中国人観光客を日本の地方都市に運ぶ狙いがある。温泉や料理、伝統は地方にこそ魅力がある。
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中国当局があおる反日感情に一般の中国人はそう簡単には振り回されなくなった、と受け止めることもできる。実際、安倍首相の靖国参拝後も懸念された反日デモは起きず、12年のような訪日観光客数の激減は起きなかった。むしろ訪日数が増え続けているのは、2年前とは正反対の動きが中国の中で起きていると判断してもいいだろう。
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13年1月に上海で発行が始まった月刊誌「行楽」。20万部の発行部数を誇るカラー刷りの美しい雑誌だが、中国では異例ながらもっぱら「訪日観光」を扱っている。同誌のチーフプロデューサーの袁静さんは「政治問題と民間交流は別次元の話と考える中国人が今後も増えると確信している」と断言する。
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同誌は上海や北京など都市部に暮らし、比較的収入が高い20代から40代が読者の中心で、袁さんによると、読者の70〜80%は訪日観光のリピーター。団体観光では行かない場所や、伝統文化や美しい自然、おいしい料理や和菓子など、中国ではまだ知られていない日本の魅力を伝えている。袁さんも取材など出張を含めて訪日観光のリピーターだが、「何といっても親切で温かい日本人との心のふれあいが日本の魅力だ」と話す。
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より現実的な要因は「円安元高」と中国国内の消費税率の高さだ。対ドルで円安基調が続く一方、人民元は最高値更新が続き、13年12月に1元=約14.5円だった元の対円レートは14年12月には約17.5円と1年間で約20%も上昇。現在も約16.5円前後の水準を保つ。中国人からみて、日本での買い物は為替のマジックで割安感がある。
しかも中国では品目によって10〜30%の消費税が内税で徴収されるため、日本での買い物は税率で有利な上、免税扱いの買い物も多い。中国の銀行が発行した「銀聯(ぎんれん)カード」で決済が可能な日本の商店やホテルなどが増えた。多額の日本円を持たなくても、中国国内の銀行口座にある人民元で決済が可能だ。
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小原雅博・上海総領事は「訪日経験のある中国人が増えれば増えるほど日中関係にはプラスになる」とみる。中国では反日教育や日中戦争を取り扱ったテレビドラマの氾濫もあり、日本や日本人を「色眼鏡」を通して見るケースは多い。だが「訪日経験のある中国人で『日本が嫌いになった』と話す人は聞いたことがない」(小原氏)という。笑顔のサービスや一般の日本人の立ち居振る舞いに好印象を抱く人がほとんどだからだ。